就業判定とはどのようなものか就業判定とは、労働安全衛生法に基づき、企業が実施した健康診断後に有所見者に対して産業医の意見を聴取し、就業上の措置に関する判断を行うことです。有所見者とは、健康診断の結果、いずれかの項目に異常所見が見られた人を指します。定期健康診断には、身体測定、視力・聴力検査、血液検査、尿検査、胸部レントゲン検査などが含まれます。異常所見として、貧血、高血圧、高血糖、肝機能障害、脂質異常症などが挙げられます。しかし、健康診断の項目や基準値は、業種や職場によって異なるため注意が必要です。例えば、製造業などでは特定の物質に対する曝露を調べる検査項目が追加されることがあります。「健康診断事後措置で抑えるポイント」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します就業判定には産業医が適任企業は労働者に対し、労働安全衛生法に基づき健康診断を実施する義務があります。そして、健康診断で異常所見が認められた場合、事業者は速やかに医師等の意見を聴取する必要があります。ところで、「医師等」とは具体的にどのような人物を指すのでしょうか。厚生労働省が定めた「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」では、産業医を有する事業場では産業医の意見を聴くことが推奨されています。その理由は、産業医が労働者個々の健康状態や業務内容、作業環境を深く理解しているためです。従業員が50人未満の事業場では産業医の選任義務がありませんが、産業医の助言を求めるのが望ましいです。事業場の規模が拡大すれば産業医の選任は義務化されますので、組織が小さいうちからその制度や、産業医への依頼手続きにも慣れておくことが大切でしょう。就業判定の流れここからは就業判定の流れについて解説していきます。「そのまま使える受診勧奨&受診報告フォーマット」資料ダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します医師による定期健康診断の実施事業者は、従業員に対して 、医師による定期健康診断を実施する義務があります。これは、従業員の健康状態を評価し、現在の労働環境が適しているかを確認するために行われます。健康診断は医療機関や地域の産業保健センターで実施され、従業員の健康情報を収集し、特定の健康問題の有無を把握することが一般的です。この取り組みは、従業員の健康維持と企業の安全な労働環境の確保を目的としています。健康診断結果の受領従業員の健康診断受診後、異常所見がある従業員を把握します。50人以上の人が働いている事業場では、健康診断結果報告書を作り、労働基準監督署に提出しなければいけません。また、結果は一定期間 保管する必要があります。さらに健康診断の結果は、個人情報のため他の人に知られたり、書き換えられたりしないように管理しなければなりません。健康診断結果を従業員に通知従業員が自身の健康状態を正しく把握し、主体的に健康管理を行えるよう、事業者は健康診断の結果を異常の有無にかかわらず速やかに通知する義務があります。加えて、異常所見があった従業員に対しては、産業医や保健師による保健指導を実施する努力が求められます。さらに、厚生労働省は、異常所見が確認された従業員には、二次健康診断の受診を積極的に勧奨することが望ましいと言及しています。医師等の意見聴取健康診断で異常所見があった従業員については、医師の意見を聞いて、就業上の措置を考える必要があります。この意見の聴取は、健康診断を受けてから3カ月以内に行わなければなりません。従業員が50人未満の事業場では、健康診断をした医療機関に、就業判定を依頼できます。また、本社に産業医がいる場合はその先生に相談を行う他、地域の産業保健センターに判断を仰ぐ方法もあります。さらに、医師から意見を聴取する時は、対象者の就業時間や労働環境などを伝えることが大切です。就業上の措置の検討健康診断の実施後、医師等から聴取した意見をもとに、就業上の措置を検討することが求められます。この際、医師等による就業判定は重要な判断材料の一つです。事業者は、就業判定の内容を確認しつつ従業員本人の意見も考慮した上で、労働時間の短縮や業務内容の変更など、必要な措置を決定します。これにより、従業員の健康維持と適切な労働環境の確保を目指します。就業判定の区分と措置以下の画像は就業判定の区分と措置内容です。引用:厚生労働省『健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針』健康診断で異常所見が見つかった場合、医師の意見を聴取して、働き方をどう調整するかを決めます。医師は「通常勤務」「就業制限」「要休業」の3つから適切な区分を決め、その結果をもとに事業場は対策を決めます。このとき、従業員としっかり話し合って、同意を得ることが大切です。対策を実行する時には、働いている場所の責任者にも説明をして、理解してもらう必要があります。また、対策を変更したりやめたりする時は、事業者が人事部門や医師と相談して決めます。もし健康状態が回復した場合には、医師の意見を参考にしながら、元の仕事に復帰可能かどうかを考えます。こうした就業判定の記録や健康診断結果などは健康情報は個人ごとにまとめて管理する必要がありますが、紙での管理だと都度探して整理してという作業が煩雑になることが多いです。そんな煩雑な産業保健業務を効率化したい方には、健康管理システム「ハピネスパートナーズ」がおすすめです。個人の健康診断結果と合わせて就業判定や医師との面談記録、ストレスチェックや労働時間などを紐づけて管理することができます。ぜひご検討ください。健康管理システム「ハピネスパートナーズ」資料をダウンロードする産業医の探し方これから、中小企業が産業医を探す方法についてご紹介します。すでに産業医を選任している事業場に相談最初の方法として、すでに産業医を選任している事業場に相談して、その事業場の産業保健の担当者と繋げてもらう方法があります。同じ業界の事業場から産業医を選ぶコツを教えてもらったり、実際に産業医を紹介してもらったりできる点がメリットです。しかし、紹介された産業医が自社に合わない場合、その契約を解消することは困難になる可能性があります。地域の医師会に相談産業医を見つける方法のひとつとして、地域の医師会に相談する方法もあります。医師会は、その地域で働く多くの医師を把握しており、産業医を希望する医師がいれば紹介してくれることもあります。無料で産業医を紹介してもらえる点がメリットです。特に地元の医師会なら、近くの医師を紹介してもらえるので、安心感があります。ただし、医師会は紹介をするのみで、仕事の詳細や報酬に関する交渉はすべて自分で進める必要がある点は注意が必要です。定期健康診断を依頼している病院や健診団体へ相談3つ目の方法として、定期健康診断を依頼している医療機関や健診機関に相談することが挙げられます。すでに医療機関と関わりがあり、事業場の状況を理解している医師に頼むことができる点がメリットです。また、複数の医療機関から選ぶ手間を減らせるのも便利です。産業医紹介会社に相談する産業医紹介事業場に相談する方法もあります。これらの事業場は、事業場のニーズに合った産業医を紹介してくれるサービスを提供しています。紹介会社の良いところは、多くの企業の事例を知っていて、幅広い医師の中から最適な人を選んでくれることです。ただし、紹介してもらうためには費用がかかる場合が多いです。料金やサービス内容が会社によって違うので、しっかり調べてから選ぶことが大切です。地域産業保健センター(地さんぽ)に相談地域産業保健センター(地さんぽ)に相談する方法もあります。これは、従業員数50人未満の小規模事業者やその従業員の健康管理を支援する機関で、全国に設置されています。提供されるサービスは医師による面接指導、健康相談窓口の開設、産業保健指導の実施、産業保健情報の提供などです。特に、面接指導や産業保健指導を無料で受けられる点が大きなメリットです。産業医を選任する義務がない小規模事業場でも、従業員からの申し出に応じて産業医による面接指導が受けられ、コスト削減が可能です。しかしデメリットとして、地域産業保健センターは従業員50人未満の事業場のみ無料で利用可能な事が多く 、利用回数にも制限があります。中小企業が産業医を選任するメリットここからは中小企業が産業医を選任するメリットについて解説していきます。「健康診断事後措置で抑えるポイント」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します従業員の生産性が上がる従業員が職務を全うし、最大限のパフォーマンスを発揮するためには、健康が何よりも重要です。心身の健康は、初期の小さな不調を放置することで、後々大きな問題へと進展してしまうことが少なくありません。「このくらいで相談してもいいのだろうか?」と迷って症状が悪化する前に、早い段階での介入が大切です。産業医の選任は、従業員が自分の不調を気軽に相談できる環境を整えるだけでなく、職場巡視を通じて問題を早期に発見したり、産業医面談で早期の対応が可能になったりするなど重要な役割を果たします。近年は健康経営が行われていることも重要視されている近年、求職者が企業を選ぶ際に重視する要素の一つとして、「健康経営」が重要な評価基準となってきており、従業員の健康や働きやすさを軽視する企業に対して社会的な評価が厳しくなりつつあります。たとえば産業医が不在の企業よりも、産業医がいる企業のほうが、従業員がメンタルヘルスに関する悩みを相談できたり、感染症の拡大時には事業場が適切な対策を講じられる体制が整っていると考えたりするため、働き手にとって安心感が増すのではないでしょうか。中小企業が産業医を選任するデメリット以下では中小企業が産業医を選任するデメリットについて解説していきます。「そのまま使える受診勧奨&受診報告フォーマット」資料ダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します経済的・労力・時間のコストがかかるこれまで述べたように、中小企業における産業医の選任には確かにメリットがありますが、同時にコスト面での課題も存在します。ここで言うコストには、直接的な経済的支出だけでなく、産業医を見つけて契約を結ぶためにかかる時間や労力も含まれます。とはいえ、最近では、中小企業向けに少額で始められる産業医紹介サービスも登場しています。これを利用することで、経済的な負担を軽減できるだけでなく、産業医探しの手間や時間も削減可能です。さらに、経費をできるだけ抑えたい場合、利用できる公的な助成金制度もあります。かつての「小規模事業場産業医活動助成金」は2021年度で廃止されましたが、2022年度からは「団体経由産業保健活動推進助成金」として提供されています。事業主団体を通じて産業保健サービスを利用する仕組みが整っており、詳細についてはJOHAS(労働者健康安全機構)の助成金ページや、所属する事業主団体に確認することをおすすめします。選任するだけでは産業医活動が形骸化する状態 となってしまう産業医の選任には、意外と見逃されがちな点があります。それは、産業医を「上手に活用しなければ、機能しない」ということです。ただ選任するだけでは、名ばかりの産業医になってしまうリスクもあります。大切なのは産業医が定期的に職場を訪れ、従業員の声をしっかりと聞き、企業のニーズに適したアドバイスをしてくれることです。自社に合った産業医を見つけ、積極的にその能力を引き出していくことが求められます。また、企業にとって自社のニーズに合った産業医を選ぶことも重要です。例えば、「製造業に豊富な経験を持つ産業医」や「メンタルヘルスの対応に長けた産業医」「中小企業の健康経営に精通した産業医」などそれぞれ異なる強みがあります。自社の業種や抱えている課題に最も適した産業医を選ぶことで、問題解決が迅速に進み、効果的な成果を期待できるでしょう。まとめ中小企業で産業医がいない場合でも、健康診断結果を基にした就業判定は適切に行う必要があります。医療機関や地域産業保健センターを活用することで、専門的な意見を得ることが可能です。また、従業員の健康状態に基づく措置を進める際には、職場全体の理解と連携を進めることが重要です。また限られたリソースの中でも、外部支援を活用することで適切な対応が実現できます。「健康診断事後措置で抑えるポイント」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します