従業員に健康診断を受診させることは、労働安全衛生法により企業の義務とされています。しかし、「健康診断をいつ受診させるべきか?」「受診時間は出勤扱いになるのか?」と悩む企業も多いようです。本記事では、健康診断の勤務扱い・休日扱いのルールについて、厚生労働省の見解をもとに詳しく解説します。従業員の健康診断時の賃金について悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。「健診業務の負担を減らすには?DXツールの成功事例」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します健康診断の勤務扱いについてのルール健康診断の受診に関する取り扱いについて、厚生労働省は以下の見解を示しています。一般健康診断:賃金の支払いは労使間の協議で定めるのが基本。ただし、企業側が賃金を支払うことが望ましいとされる。特殊健康診断:賃金の支払いが必要(業務の遂行に直接関連するため)以下、それぞれ詳しく解説します。「健康診断事後措置で抑えるポイント」資料をダウンロードする一般健康診断の勤務扱いは労使間の協議厚生労働省の見解によると、一般健康診断は健康確保のためのものではあるものの、「業務遂行との直接の関連において行われるものではない」とされています。そのため、企業が必ず受診時間の賃金を支払う義務はなく、労使間の協議で決定することが原則です。しかし、企業側が賃金を支払うことが望ましいとの指針も示されています。その背景として以下があります。健康診断は法律上の義務であり、従業員には受診義務がある。職場の健康管理・安全衛生環境の向上につながる。従業員が積極的に健康診断を受けやすい環境を整えることが重要。実際には、多くの企業が「就業時間内に受診させる」受診時間の賃金を支払う対応をとっています。特殊健康診断は賃金の支払いが必要一方で、特殊健康診断は業務遂行に直接関連するものであり、賃金の支払いが義務付けられています。特殊健康診断が必要となる業務は以下の通りです。高気圧業務放射線業務特定化学物質業務石綿(アスベスト)業務鉛業務有機溶剤業務四アルキル鉛業務これらの業務は、健康への影響が懸念されるため、事業者には健康診断を適切に実施する義務があります。厚生労働省も特殊健康診断は、業務の遂行に必要なものであるため、賃金の支払いが必要であると明確に示しています。法律的見地:健康診断の勤務扱いについての法的根拠一般健康診断・特殊健康診断に関する厚生労働省の見解は、あくまで行政の解釈であり、法的拘束力はありません。つまり、健康診断を出勤扱いにすべきとする明確な法律の規定は存在しません。そのため、一般健康診断・特殊健康診断のいずれも出勤扱いしなかった場合でも、企業に対する罰則はありません。ただし、従業員の健康診断の受診を促進し、円滑な労使関係を構築するためには、法律に規定がないから出勤扱いしないという判断だけでなく、従業員の健康を考慮した対応が望ましいと言えます。健康診断は有給休暇扱いにできる?企業が健康診断の受診を有給休暇扱いとすることは可能ですが、適用するケースには注意が必要です。一般的に、有給休暇扱いとすることが多いケースは以下2つです。追加検査や再検査が必要となり、業務を離れる必要がある場合法定外の健康診断(人間ドックやがん検診など)を受診する場合「そのまま使える受診勧奨&受診報告フォーマット」資料ダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します有給休暇扱いにする際の注意点まず、有給休暇扱いとする際は、従業員の同意を得ることが重要です。しかし、貴重な休日に健康診断を受診したくないと考える従業員もいるため、従業員の同意を得た上で有給休暇扱いとするのが適切です。一方で、特殊健康診断を有給休暇扱いとすることは適切ではない可能性が高いです。特殊健康診断は有給休暇扱いにできる?特殊健康診断は業務遂行に不可欠なものであり、業務の一環として実施されるものです。そのため、有給休暇(=本来は休日に対して付与されるもの)として消化することは、休日に業務を強制することになり、不適切と解釈される可能性があります。厚生労働省のガイドラインにも、「特殊健康診断は所定労働時間内に行うことが求められる」と記載されており、有給休暇として処理するのは適切ではないでしょう。健康診断の出勤扱いに関するよくある質問休日に健康診断を受けさせるのは違法?結論:違法ではないが、特殊健康診断の場合は勤務時間内の実施が求められます健康診断は労働安全衛生法において、実施日について明確な規定はありません。しかし、昭和47年9月18日付の「基発第602号」において、行政の見解が示されています。一般健康診断は休日でも実施可能。平日に実施しなければならないとする規定はないため、休日の実施も問題はありません。特殊健康診断は原則として勤務時間内に行うべき。基発第602号の「Ⅰ法律関係」第13項第(2)号ロにより、「特殊健康診断は業務遂行に不可欠なものであり、原則として所定労働時間内に行うことが求められる」とされている。したがって、一般健康診断は休日実施が可能ですが、特殊健康診断については、特別な事情がない限り勤務時間内に実施するのが原則です。「健診業務の負担を減らすには?DXツールの成功事例」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します従業員が一般健康診断の日程変更を希望した場合、企業には労働時間内で調整する義務がある?結論:企業には明確な法的義務はないが、可能な範囲で配慮することが望ましいです。労働安全衛生法には、企業が健康診断の日程変更を労働時間内で調整する義務は明記されていません。しかし、労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を整えることは、労働安全衛生法の目的の一つであるため、企業が可能な範囲で協力することが推奨されています。従業員から健康診断を有給扱いにしないでほしいと言われた場合は?結論:企業が勝手に有給給扱いにすることはできません。健康診断の時間は「労使協議で定めるべき」とされているため、従業員が同意しない限り有給休暇として処理することは認められません。「健康診断事後措置で抑えるポイント」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します