健康診断は労働安全衛生法により企業に義務付けられたものです。
実施しなかった場合、罰則を受ける可能性もあり、また従業員の健康管理の観点からも重要です。一方で、どの健康診断を従業員に受診させるべきかわからないという担当者の方もいらっしゃいます。
そこで本記事では、最低限受けなければならない健康診断とその項目について解説します。
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最低限把握しておくべき健康診断
製造業以外の企業の労務担当者が最低限把握しておくべき健康診断は、以下の3つです。
雇入れ時の健康診断
定期健康診断
特定業務従事者の健康診断
それぞれ、詳しく解説していきます。
雇入時の健康診断
労働安全衛生規則第43条に基づき、新たに従業員となる労働者の健康状態を確認するために実施されます。
検査項目(11項目)は以下の通りです。
既往歴及び業務歴の調査
自覚症状及び他覚症状の有無の検査
身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
胸部エックス線検査
血圧の測定
貧血検査(血色素量及び赤血球数)
肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
血糖検査
尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
心電図検査
労働安全衛生規則第43条では、上記の11項目をすべて実施する必要があると明記されています。
つまり、雇い入れ時の健康診断では、これらの項目を最低限行わなければなりません。
定期健康診断
定期健康診断は、1年以内ごとに1回、定期的に実施することが義務付けられた健康診断です。
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定期健康診断の目的
定期健康診断の目的は以下の通りです。
・従業員の健康状態の定期的な把握
・体調の変化・推移を把握し、予防・早期対策を行うこと
例えば、「年々体重が増えている」「毎年血圧が高くなっている」といった健康診断の継続的な結果を比較することで、健康状態の悪化を防ぐことが可能です。
検査項目(11項目)
• 既往歴及び業務歴の調査
• 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
• 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
• 胸部エックス線検査及び喀痰検査
• 血圧の測定
• 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
• 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
• 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
• 血糖検査
• 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
• 心電図検査
検査項目の省略について
下記の項目は、医師が不要と判断した場合に限り、省略が可能です。
• 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
• 胸部エックス線検査及び喀痰検査
• 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
• 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
• 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
• 血糖検査
• 心電図検査
省略の注意点
ただし、単に数値を見て機械的に省略することは好ましくありません。
あくまで、医師が総合的に判断し、適切な検査項目を決定することが重要です。
特定業務従事者の健康診断
労働安全衛生規則第13条第1項第2号に基づき、特定業務に従事する労働者には、6か月以内ごとに1回、定期的に健康診断を実施することが義務付けられています。
特定業務は、一般的な業務と比較して健康への影響が懸念される業務であるため、従業員の健康状態の把握が法律で定められています。
特定業務に該当する業務(労働安全衛生規則第13条第1項第2号)は以下の通りです。
多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
異常気圧下における業務
さく岩機、鋲打機等の使用によつて、身体に著しい振動を与える業務
重量物の取扱い等重激な業務
ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
坑内における業務
深夜業を含む業務
水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、苛性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
病原体によつて汚染のおそれが著しい業務
その他、厚生労働大臣が定める業務
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企業が最低限知っておくべき健康診断のポイント
企業にとって、健康診断の実施は法律で定められている業務です。
専門的な観点から覚えておくべき点は多々ありますが、最低限知っておくべき重要なポイントは以下の3点です。
企業には健康診断実施の義務がある
健康診断費用は原則として企業負担
人間ドックは定期健康診断の代用が可能
それぞれ詳しく解説します。
企業には健康診断実施の義務がある
健康診断は、企業が従業員に対して実施しなければならない義務であり、「健康診断を行うか・行わないか」は企業の裁量に委ねられるものではありません。
また、健康診断を受診しない従業員がいた場合、企業は労働基準監督署から指導を受ける可能性があります。さらに、指導を無視して健康診断を実施しない場合、企業には50万円以下の罰金が科される可能性があります。
健康診断費用は原則として企業負担
健康診断の費用は、企業負担となるケースが多いです。
ただし、以下のケースでは従業員負担となる場合もあります。
雇い入れ時健康診断→入社前に受診してもらうことで、従業員負担とすることが可能
二次検査(要精密検査・再検査)→基本的には従業員負担だが、受診率向上のために企業が負担するケースもある。
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人間ドックは定期健康診断の代用が可能
健康診断で最低限行うべき検査項目がすべて含まれており、かつその結果を証明する書面がある場合、人間ドックで定期健康診断の代用が可能です。
これは、労働安全衛生法第66条5項に基づき、以下のように定められています。
「事業所が定めた医師による健康診断を受けない場合でも、他の医師から規定の健康診断に匹敵する健康診断を受診し、診断書を事業所に提出することで代用可能である」
ただし、費用については企業の負担義務はありません。
定期健康診断と人間ドックの違い
定期健康診断は、法律に基づき、1年以内ごとに1回、企業が従業員に対して実施しなければならない義務があります。
一方で、人間ドックは個人の判断で受けるものであり、任意の検査です。
違いのポイントは以下の通りです。
定期健康診断は、健康状態を簡易的に確認するため、検査項目が限定されている。
人間ドックは全身を詳細に調べることができ、早期発見につながるメリットがある。
人間ドックの検査項目は医療機関ごとに異なり、日帰り・入院型などの受診形式も選択可能。
項目 | 定期健康診断 | 人間ドック |
実施義務 | 事業者に義務あり | 任意(個人の判断) |
費用負担 | 企業負担(原則) | 個人負担(原則) |
検査項目 | 基本的な健康状態の確認 | より詳細な検査が可能 |
保険適用 | なし(全額自己負担) | なし(補助制度がある場合あり) |
会社が負担する健康診断の費用相場
健康診断は保険適用外であるため、医療機関ごとに料金設定が異なります。
また受診形式や検査内容によっても費用が変動します。
定期健康診断・雇い入れ時健康診断の費用相場は、1人あたり5,000~15,000円です。
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健康診断の予約について
健康診断の予約と事前準備も忘れず行いましょう。
予約時に伝える情報は以下2つです。
受診する従業員の 氏名・住所
希望する健診コース・日時
予約確定後の流れは以下の通りです。
1. 医療機関から、受診に必要な書類や検便・検尿用の容器が送付される。
2. 内容を確認し、必要事項を記入のうえ、当日持参できるよう準備を進める。
健康診断の再検査、就業措置について
企業には、従業員の健康管理を行う責務があるため、健康診断で異常が見つかった場合は、必要に応じて再検査を勧めることが求められます。
労働安全衛生法では、「二次健康診断の受診推奨」や「産業医・保健師による保健指導の実施」が努力義務として明記されています。
企業対応の目安
健康診断の結果を踏まえ、3か月以内を目安に産業医や保健師の助言を受け、従業員の就業に関する適切な対応を検討することが重要。
通院や治療が必要な場合、業務への影響を考慮し、休業の検討・勤務時間の短縮・就業場所の変更の措置を講じる必要がある。
従業員の健康を守るためには、企業が適切なフォローアップ体制を整え、早期対応を行うことが不可欠です。
まとめ
製造業以外の企業の労務担当者が最低限把握しておくべき健康診断のポイントを解説しました。
健康診断は法律で定められており、対象者は必ず受診が必要です。
特定業務従事者の健康診断など、対象者の条件が複数あり、対象者の抽出や受診勧奨に手間がかかります。
健康管理システム「ハピネスパートナーズ」を活用すれば、従業員データと特殊業務歴や健診情報を紐づけて管理できるため、簡単に健康診断の対象者の抽出や、一括で受診勧奨が可能です。
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