ストレスチェックとは?
近年、適応障害をはじめとしたメンタルヘルス不調を訴える労働者の割合が増えてきています。こうした不調を未然に防ぐことを目的として、2015年12月1日から「ストレスチェック制度」が導入されました。この制度は、労働者が50人以上いる事業所に対し、労働安全衛生法により実施が義務付けられています。
ストレスチェックとは、企業が設定したストレスに関する質問票に労働者が回答し、労働者のストレスの状態を把握するための検査です。これを定期的に実施することで、以下のような効果が期待できます。
労働者自身がストレスに気づき、メンタルヘルス不調の予防につながる
集団(部署・職場単位)での結果を分析することで、職場環境の改善につながる
このように、ストレスチェックは、メンタルヘルス不調の予防と職場環境の改善を目的とした重要な取り組みです。
また、ストレスチェック制度の導入は、労働者の心の健康を守り、職場の安全・安心な環境づくりを推進する国の重要な施策の一つです。ストレスチェックは単に個人の状態を把握するだけでなく、職場全体のストレス状況を把握して改善につなげることで、組織全体の生産性向上や労働環境の健全化に寄与することが期待されています。
なお、労働者数が50人未満の事業所では、ストレスチェックの実施は努力義務となっていました。しかし、令和6年10月の厚生労働省の検討会において、50人未満の事業場でもストレスチェックを義務化する方向性が示されています。
関連記事:企業のストレスチェック実施手順|準備から報告まで徹底解説
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参考:厚生労働省「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会 第7回資料」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44232.html
ストレスチェックを行う必要性
メンタルヘルス不調は、労働者の休職や離職を引き起こし、職場の生産性を大きく低下させる要因となります。さらに、職種によっては集中力の低下が労働災害の原因となるケースもあり、重大な事故につながる可能性も否定できません。
また、企業が従業員のメンタルヘルス対策を怠った場合、損害賠償を請求されるなど、法的な責任を問われることもあります。特に、従業員のストレスが高い職場環境では、早急な対策と改善が求められます。
このような背景から、ストレスチェックの実施は、労働者の心の健康を守るだけでなく、企業のリスクマネジメントの一環としても非常に重要な取り組みと言えるでしょう。
さらに、厚生労働省が令和5年に公表した「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、仕事や職業生活に強い不安・悩み・ストレスを感じている労働者の割合は全体の約8割にのぼっています。これほど多くの労働者がストレスを抱えている現状を踏まえると、企業がメンタルヘルス対策を「個人の自己管理」に委ねるのではなく、組織的・計画的に取り組むことの必要性が浮き彫りになります。さらに、メンタルヘルス不調による労働損失コストは、年間数兆円規模にのぼるとの試算もあり、ストレスチェックを通じた早期介入と職場改善は、経済的観点からも企業経営に直結する課題となっています。このように、ストレスチェック制度の実施は、単なる法的義務を超えた経営戦略上の重要な取り組みと言えるでしょう。
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出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)「ものづくり中小企業における在職者訓練の役割と今後の方向性~生産性向上支援訓練の活用事例からみる~」https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2022/255.html
ストレスチェックの項目
ストレスチェック検査の質問内容は、企業ごとにある程度自由に設計できます。実施方法についても、紙による実施か、オンラインによる実施かは任意で選択可能です。
ただし、質問内容については、以下の3つの領域を必ず含める必要があります。
職場における心理的負担の原因に関する項目(=職場のストレス要因)
例:仕事の量・質、人間関係、職場の雰囲気など心理的負担による心身の自覚症状に関する項目(=心身のストレス反応)
例:不安感、イライラ、不眠、疲労感など職場内の他者からの支援に関する項目(=職場の支援)
例:上司や同僚からの相談・支援のしやすさ、理解の有無など
これらの質問項目から得られたストレスチェックの結果を、労働者自身が自己分析することで、自らのストレス状況に気づくきっかけとなり、メンタルヘルス不調の予防につながります。
さらに、企業側がこの結果を活用して集団分析を行い、職場環境の改善に取り組むことで、組織全体としてメンタルヘルス不調のリスクを低減させることが可能になります。
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集団分析とは
ストレスチェックは、個人のストレス状態に気づきを与えるだけでなく、「集団分析」を行うことで、事業所や職場単位におけるストレスの傾向を把握することも可能です。
集団分析では、部署ごとのストレスの平均値や傾向を集計・比較することで、特定の部署に過重な負担がかかっていないか、職場環境に問題がないかを客観的に把握できます。こうしたデータをもとに、組織としての課題を明らかにし、職場環境の改善につなげることが目的です。
集団分析による職場改善は、労働者のメンタルヘルスの維持・向上だけでなく、組織全体のリスクマネジメントや生産性向上にも資する取り組みです。厚生労働省が示すガイドラインでも、「職場の集団におけるストレスの状況を把握し、改善が必要な場合には環境改善の計画・実行を行うこと」が明記されており、集団分析は制度上の重要な位置づけとされています。
出典:厚生労働省「ストレスチェック制度実施マニュアル」https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-1.pdf
集団分析を行うメリット、必要性
職場におけるストレスの多くは、労働者個人の努力だけでは解消できない構造的な要因に起因しています。こうした要因に対処するためには、事業者側の積極的な取り組みが欠かせません。
ストレスチェックの「集団分析」を行うことで、事業者は部署ごとのストレス傾向や職場環境に潜む課題を客観的に把握することができます。これにより、労働者自身では対処が難しいストレス要因に対して、組織的なアプローチを講じることが可能になります。
特定の部署にストレスが集中している場合、その背後には業務の偏りや人間関係の課題といった構造的な問題が潜んでいる可能性があり、早期に把握して対応することで、離職防止や労災リスクの低減にもつながり、生産性や職場全体の活力向上を目指すことができます。
関連記事:ストレスチェックの分析完全ガイド|集団分析の目的から職場改善への活用法まで
関連記事:【2025年最新】ストレスチェックの料金相場は?外注費用と内訳を徹底解説
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集団分析の実施状況
厚生労働省の調査によると、ストレスチェックを実施した事業所のうち、およそ70%が集団ごとの結果分析を行っており、そのうち約80%が分析結果を実際に活用していると報告されています。
このデータからも分かるように、多くの事業所がストレスチェックを「実施するだけ」で終わらせず、集団分析を通じて職場環境の改善に取り組んでいることがうかがえます。
ストレスチェックを行うのであれば、集団分析を実施し、その結果を積極的に活用することが、より効果的なメンタルヘルス対策につながるといえるでしょう。
出典:厚生労働省「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)の概要」https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r05-46-50_gaikyo.pdf
集団分析の実施手順
ストレスチェックの質問票には、以下の3つの要素に関する質問が含まれています。
職場のストレス要因(仕事の量・質、人間関係など)
心身のストレス反応(イライラ感、不安、不眠など)
職場の支援(上司や同僚からの支援、相談のしやすさなど)
集団分析では、このうち ①職場のストレス要因と③職場の支援に関する回答を対象に、部署や職場ごとの平均値を算出します。これにより、どの部署にストレスが集中しているか、あるいは支援体制が不十分であるかなど、職場環境の特徴や課題を客観的に把握することができます。
この結果を活用することで、部署ごとの働き方や人間関係の改善、組織全体のコミュニケーション強化につなげることが可能になります。
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集団分析結果の見方
集団分析の結果は、「仕事のストレス判定図」や「職場の総合健康リスク」などの形式で可視化され、職場のストレス状況を客観的に把握するために活用されます。
「仕事のストレス判定図」とは
ストレスチェックの集団分析では、以下の項目について調査票の平均値を算出し、判定図としてプロットします。
①職場のストレス要因
-(a)仕事の量的負荷
-(b)仕事のコントロール
→ これらの結果を「量-コントロール判定図」として表示します。
②職場の支援要因
-(c)上司の支援
-(d)同僚の支援
→ これらの結果を「職場の支援判定図」として表示します。
この2つの図をあわせて、「仕事のストレス判定図」と呼びます。

判定図を使えば、全国平均との比較や、事業所全体と部署単位の比較が可能です。また、(a)~(d)のうち、どの要素にストレス要因が集中しているかを視覚的に把握でき、改善すべきポイントの特定に役立ちます。
なお、仕事のストレス判定図上の斜めの線は、仕事のストレス要因から予想される疾病や休業などの健康問題のリスクを標準集団の平均を100として表しているものです。例えば、ある集団の位置が健康リスク120の線上にある場合には、その集団において健康問題が起きる可能性が全国平均とくらべて20%増加していると判断できます。これまでの調査事例では、健康リスクが120 を越えている場合には何らかの、仕事のストレスに関する問題が職場で生じている場合が多いので、評価の際の参考となります。
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出典:厚生労働省「ストレスチェック制度の効率的な実施と活用に向けて」https://www.mhlw.go.jp/content/000917251.pdf
引用:厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」https://www.mhlw.go.jp/content/000533925.pdf
職場の総合健康リスク
「職場のストレス要因」と「職場の支援」の評価値を組み合わせて算出されるのが、職場の総合健康リスクです。
計算式は以下の通りです:
総合健康リスク =(量-コントロール判定図の値) ×(職場の支援判定図の値) ÷ 100
この指標は、職場全体としてのメンタルヘルス不調リスクを表します。
職場の総合健康リスクの基準値は100です。数値が高いほど、ストレス要因が強く、支援が乏しい職場であることを示し、労働者のメンタルヘルス不調リスクも高くなる傾向があります。
集団分析を生かした職場改善
集団分析を活用することで、職場における「仕事の負荷」や「周囲からのサポート状況」といったストレス要因を、数値や図表によって可視化することが可能になります。しかし、こうした結果を真に職場改善につなげるためには、単にデータを把握するだけでなく、実効性のあるアクションプランを策定し、実行に移すことが重要です。厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」においても、ストレスチェックの結果は「職場環境の評価および改善につなげること」が求められています。
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ストレスチェックの繰り返しによる継続的な評価と見直し
職場環境の改善は、単発的な施策に終始せず、中長期的な視点で継続して取り組む姿勢が重要です。厚生労働省の「職場環境改善のための簡易ツール」では、改善策の実行後にストレスチェックやヒアリングを再実施し、効果を評価して必要に応じて対策を見直すPDCAサイクルの運用が推奨されています。継続的な評価と見直しを行うことで、職場改善の取り組みが現場に根づきやすくなり、労働者一人ひとりが安心して働ける環境が整っていきます。また、改善の成果が可視化されることで、従業員の信頼感やエンゲージメントの向上にもつながるなど、好循環が生まれます。ストレスチェックから集団分析、そして職場改善へとつなげる一連のプロセスを定期的に実施していくことが、組織全体の健全な成長を支える基盤となるのです。
専門職との連携で進める実効性のある職場改善
こうした職場改善を実効性あるものとするには、専門職との連携が欠かせません。とくに高ストレス者と判定された従業員に対しては、産業医による面談指導を通じて、個別の健康支援と職場環境の調整を両面から行うことが求められます。これにより本人のストレス軽減だけでなく、同様の課題を抱える他の従業員への波及効果も期待できます。
また、集団分析で明らかになった課題に対しても、専門職の視点を交えた職場ヒアリングやリスク評価を行うことで、より客観的かつ現場に即した改善策の策定が可能となります。厚生労働省の指針でも、「専門職が中心となり、計画の立案、評価、改善の提案を継続的に行うこと」が推奨されています。
形式的な取り組みで終わらせず、専門職と協働して従業員の声を反映した現実的な改善策へとつなげていくことが、真に働きやすい職場づくりには欠かせません。
出典:
厚生労働省「ストレスチェック制度 導入ガイド」https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/160331-1.pdf
厚生労働省「職場における心の健康づくり」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000153859.pdf
集団分析まで対応可能なストレスチェックサービス
ストレスチェックを実施するだけでなく、集団分析まで行うことで、職場環境の課題を「見える化」し、実効性のある職場改善へとつなげることが可能になります。
しかし、これらすべてを自社内で対応しようとすると、担当部署の業務負担が大きくなる上に専門家の対応が必要なシーンも多いです。そこでおすすめしたいのが、「職場のストレスチェック+plusの活用です。
導入しやすく、機能も充実しており、次のような特長があります。
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職場のストレスチェック+plusの3つの特長
①コストを抑えた導入が可能
初めてストレスチェックを導入する企業様や、コストパフォーマンスを重視される企業様に最適。お手頃な価格でご提供します。
②管理・分析をシステムで一括対応
受検状況の把握や未受検者への通知、組織分析や労働基準監督署向けの報告書作成まで、すべてシステム上でスムーズに対応可能です。
③専門家による安心のサポート体制
臨床心理士などの専門家によるフォローアップ支援もオプションでご利用いただけるため、実施後の対応まで安心です。
そのほかにも、充実の機能・サービスを完備
実施形式に柔軟対応:Web版・紙版・併用も可能
選べる設問数:57項目・80項目・カスタマイズ設問に対応
多言語対応:英語対応(紙版のみ)
結果の活用もスムーズ:システム上で集団分析や面談申込が可能
迅速な提供:最短10営業日でご提供可能
安心の実績:年間1,400社以上の導入実績
ストレスチェックの導入・運用でお悩みの企業様も、検査から分析、報告書作成、専門家のアフターサポートまでトータルにサポートいたします。
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ストレスチェックの先へ:EAP(従業員支援プログラム)の活用
さらに一歩進んだ対策として、EAP(従業員支援プログラム)の導入が有効です 。EAPは、ストレスチェック後の対応だけでなく、より包括的に職場と従業員の健康をサポートする仕組みです 。
EAPでは、メンタルヘルス対策を以下の3つの段階で捉え、切れ目のない支援を提供します。
一次予防(未然防止):従業員のリテラシー向上のための研修や、過重労働・ハラスメント対策といった職場環境の改善を行います 。
二次予防(早期発見・対応):不調の兆候がある従業員に対し、上司や専門スタッフが早期に相談対応を行います 。
三次予防(職場復帰支援):休職してしまった従業員に対し、主治医とも連携しながら円滑な職場復帰をサポートします 。
このように、ストレスチェックをきっかけとしながら、予防から復職支援までを一貫してサポートするEAPは、真に働きやすい職場づくりに不可欠なパートナーと言えるでしょう。
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