就業判定とは
就業判定は労働安全衛生法に基づき、健康診断後に有所見者へ産業医の意見を聴取し、就業上の措置を判断するものです。有所見者とは検査項目で異常所見がある人を指し、貧血、高血圧、高血糖、肝機能障害などが含まれます。
また、業種により検査内容が異なる場合があり、製造業では特定物質の曝露調査が追加されることもあります。
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雇い入れ時の健康診断とは
検査項目
厚生労働省は「雇い入れ時の健康診断」について、次の項目を必須としています。まず、既往歴や業務歴の調査、自覚症状および他覚症状の有無の検査を行います。さらに、身長・体重・腹囲・視力・聴力、胸部エックス線、血圧、貧血(赤血球数・血色素量)、肝機能(GOT、GPT、γ-GTP)、血中脂質(LDL・HDLコレステロール、血清トリグリセライド)、血糖、尿(糖・蛋白)検査、そして安静時心電図検査が含まれます。
これら11項目を満たす健康診断を医師に依頼します。雇い入れ時の健康診断の予約時に確認を徹底し、法令に基づいた対応を行いましょう。正確な診断の実施が、従業員の健康を守る第一歩となります。
雇い入れ時の健康診断の対象者
雇い入れ時の健康診断は、対象者を正確に把握する必要があります。対象者としては、「常時使用する労働者」に対して実施されることが義務付けられています。このため、正社員のみならず、1年以上の雇用が見込まれる等の パート・契約社員も該当します。ただし、契約期間が短期で1年以上の在籍が不明な場合は省略可能ですが、その後1年以上勤務する際は定期健康診断を行います。また、所定の労働時間の2分の1以上(正社員の労働時間が160時間/月なら、80時間/月以上労働するアルバイトも含む)の従業員には雇い入れ時の健康診断を実施することが望ましいです。一方、派遣社員は対象外です。
『費用負担』について明文化された法律はない
雇い入れ時の健康診断に関する費用負担について、法律では明確に定められていません。労働安全衛生規則第43条では、雇い入れ時の健康診断の実施義務のみが記載されており、費用の負担については触れられていません。
雇い入れ時の健康診断を実施する医療機関に指定はない
労働安全衛生規則第43条には医療機関の指定に関する規定はなく、雇い入れ時の健康診断を「どこで実施するか」については特に決まっていません。
そのため、入社予定の従業員が自分で医療機関を予約して受診することも問題なく、事業場指定の医療機関で雇い入れ時の健康診断を実施しても構いません。
雇い入れ時健康診断の実施時期
労働安全衛生規則第43条によれば、健康診断を受けで3ヶ月を経過しない者を雇入れる際に、その者が当該健康診断結果を証明する書面を提出した場合に、受けた項目については雇入れ時健康診断に替わるとされています 。
また実施時期としては、厚生労働省の通達(昭和23年1月16日基発第83号および昭和33年2月13日基発第90号)では、「雇入れ直前または直後」というタイミングを推奨しています。業務に影響を及ぼさないよう、可能な限り早期に実施することが求められます。
雇い入れ時の健康診断実施後の就業判定の流れ
下記では雇い入れ時の健康診断実施後の就業判定の流れについて紹介していきます。
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雇い入れ時の健康診断の実施
「労働安全衛生規則」第43条に基づき、常時使用する従業員を採用する際には、雇い入れ時の健康診断の実施が求められます。
健康診断結果の受領
健康診断を実施した後、医療機関または健診機関から受け取った結果をもとに、異常所見があるかどうかを確認して問題があった従業員を特定します。
さらに、企業は受け取った健康診断結果を5年間保管する必要があります。この結果は、『個人情報の保護に関する法律』第2条第3項に基づく「要配慮個人情報」として取り扱われるため、情報漏えいや改ざんを防ぐために、厳重かつ適切に管理しなければなりません。
健康診断結果を従業員に通知
事業者は従業員が自身の健康を把握し、適切に管理できるように健康診断の結果を速やかに通知する責任があります。これは、異常所見の有無に関わらず、遅滞なく行う必要があります。
さらに、もし従業員に健康上の異常所見が見つかった場合には、産業医や保健師が適切な保健指導を行うよう配慮することが重要です。加えて厚生労働省は、異常所見があった場合には、二次健康診断を受けることを推奨しています。
医師等の意見を聞く
健康診断で異常所見が確認された従業員には、就業に関する措置を決定するために医師の意見を聴取します。この意見聴取は、健康診断の実施日から3カ月以内に行う必要があります。
産業医がいない従業員50人未満の事業場では、まず健康診断を実施した医療機関に就業判定の依頼が可能か確認することが重要です。もしそれが難しい場合は、産業医がいる他の事業場に依頼するか、地域の産業保健センターを活用する方法もあります。
医師の意見聴取の際には、従業員の労働時間や作業環境、職場の巡視結果などの情報を提供する必要があることも忘れてはなりません。
聴取した医師等の意見を踏まえて、就業上の措置を講じる
健康診断後には、聴取した医師の意見を元に、従業員の就業に関する措置を決定する必要があります。
事業者は医師の判定結果と従業員の意見を踏まえて、必要に応じて労働時間の短縮や業務内容の調整を行うなど、適切に対応することが大切です。
こうした就業判定の記録や健康診断結果などは健康情報は個人ごとにまとめて管理する必要がありますが、紙での管理だと都度探して整理してという作業が煩雑になることが多いです。そんな煩雑な産業保健業務を効率化したい方には、健康管理システム「ハピネスパートナーズ」がおすすめです。個人の健康診断結果と合わせて就業判定や医師との面談記録、ストレスチェックや労働時間などを紐づけて管理することができます。ぜひご検討ください。
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就業判定の区分と措置
健康診断の結果、医師が必要と判断した従業員について意見聴取を行い、就業上の措置が必要かを検討します。就業判定は一般的に次の3つに分けられます。「通常業務」は特に措置不要、「就業制限」は労働時間短縮や深夜業の回数減少などの対応が必要です。例えば、以下のような措置があります。
類型1:重筋作業の制限や短縮
類型2:高所作業の禁止
類型3:夜勤の調整
「要休業」は療養を目的に一定期間の勤務停止が必要とされます。
雇い入れ時の健康診断で知っておくべき注意点
この見出しでは雇い入れ時の健康診断で知っておくべき注意点について解説していきます。
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入社前の従業員の「労働時間」と「契約期間」の把握
採用が決定した段階で、入社予定者の「労働時間」と「契約期間」をしっかり確認しておきましょう。健康診断を受けない従業員が出ないよう、早めに対応することが重要です。
他の業務に影響が出ないよう配慮する
雇い入れ時の健康診断に関連する業務では、医療機関の予約をはじめとして、多岐にわたるタスクが発生します。この作業により、場合によっては半日分の業務時間が割かれることもあり、他の業務に支障をきたす可能性があります。そのため、しっかりとした段取りを組むことが大切です。
たとえば、「給与計算や重要な決裁が予定されている日には健康診断の業務を避ける」といった時間管理に加え、日程調整にも十分に注意を払うことが求められます。
雇い入れ時の健康診断の費用は、内定段階で確保
雇い入れ時の健康診断にかかる費用は、内定が決まった時点で確保しておくことが重要です。これを怠ると、経理部門に負担をかけてしまう可能性があります。また、健康診断の費用については印紙税の処理が必要な場合があり、手続きに時間を要することもあります。そのため、早めに必要事項を伝え、スムーズに対応できる体制を整えておきましょう。
業務における適性とは関係ない疾病を把握しようとする行為は、「就職差別」になってしまう可能性がある
採用前に雇用時の健康診断を行い、業務適性とは無関係な疾病の有無を確認することは、「就職差別」に該当する可能性があります。
平成5年5月10日に労働省職業安定局が発出した事務連絡「採用選考時の健康診断について」では、雇い入れ時の健康診断は「応募者の採否を目的として実施するものではない」と明確にされています。
ただし、この通達は憲法22条および29条に基づく「採用の自由」の範囲内での健康診断を全面的に禁止するものではありません。このように非常にセンシティブな問題であり、健康診断を業務適性に結びつけて行うことは避けるべきと言えるでしょう。
検査項目の漏れの確認
3カ月以内に受けた健康診断結果を提出してもらう際には、法律で定められている11項目の検査がすべて含まれているかを確認することが大切です。もしも検査項目に不足がある場合は、不足している分の検査を追加で受けてもらうよう、適切に案内する必要があります。
入社後の健康診断について
雇い入れ時の健康診断が終了した後は、定期健康診断を実施する必要があります。定期健康診断は年に1回以上行うことが義務付けられています。ただし、入社時に雇い入れ時の健康診断を受けた従業員については、その年の定期健康診断を行う必要はありません。
ただし、「特定の業務」に従事する従業員については健康診断の実施時期が通常と異なる場合があるため、注意が必要です。例えば、深夜業や有機溶剤など有害業務に従事する場合は、労働安全衛生規則に基づき6カ月以内ごとに健康診断を行わなければなりません。
また、6カ月以上の海外赴任が決まっている従業員には、派遣時と帰国時に健康診断を実施する必要があります。職務内容を考慮し、適切なタイミングで健康診断を行いましょう。
雇い入れ時の健康診断を確実に実施しよう
雇い入れ時の健康診断では、従業員の健康状態を確認し、就業判定を行うことが事業者に義務付けられています。判定結果は、一般的には「通常業務」「就業制限」「要休業」のいずれかに区分され、労働者の健康を守るための指針となります。
これにより、従業員の健康リスクに応じて労働時間や作業内容を調整するなど、適切な職場環境を整えることが可能です。適切な措置を取ることで、安全な労働環境の実現と、労働者の健康維持を両立しましょう。
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