健康診断は複数の種類がありますが、その中には特定業務従事者健康診断と特殊健康診断があります本記事では、特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の違いについて、対象者や検査項目、実施頻度の違いなどに焦点を当てて詳しく解説します。「健診業務の負担を減らすには?DXツールの成功事例」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します特定業務従事者健康診断とは?特定業務従事者健康診断とは、危険を伴う業務に従事している労働者を対象に行われます。対象となる業務内容は幅広く、重量物を扱う作業や強烈な騒音の中での作業 、深夜業を含む業務を行っている労働者などが特定業務従事者健康診断の対象となります。特定業務従事者健康診断 は一般健康診断に分類されています。そのため、検査内容は他の一般健康診断と同じです。一般健康診断には特定業務従事者健康診断のほかにも、雇入時の健康診断、定期健康診断、海外派遣労働者の健康診断、給食労働者の検便があります。特殊健康診断とは?特殊健康診断とは、労働安全衛生法に定められている高気圧業務や放射線業務、特定化学物質業務などの健康に害を被る可能性が高い業務に従事している労働者を対象に行われます。健康診断の内容は一般健康診断とは違い、業務内容に特化した検査が行われます。対象者の違いこれまで説明した通り、特定業務従事者健康診断と特殊健康診断はどちらとも健康被害のリスクが高い労働者の健康診断です。しかし、行う業務や扱う物質などにより健康診断の対象者に違いがあります。そこで、特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の対象者について詳しく説明します。「そのまま使える受診勧奨&受診報告フォーマット」資料ダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します特定業務従事者健康診断の対象者特定業務従事者健康診断の対象者は、労働安全衛生法第13条に掲げる業務に常時従事する労働者です。具体的には、以下の業務に従事する労働者となります。多量の高熱物体を取り扱う業務、および、著しく暑熱な場所における業務多量の低温物体を取り扱う業務、および、著しく寒冷な場所における業務ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務土石、獣毛などのじんあい、または、粉末を著しく飛散する場所における業務異常気圧下における業務さく岩機、鋲(びょう)打機などの使用によって、身体に著しい振動を与える業務重量物の取扱いなどの重激な業務ボイラー製造などの強烈な騒音を発する場所における業務坑内における業務深夜業を含む業務水銀、砒(ひ)素、黄りん、弗(ふつ)化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸、その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務鉛、水銀、クロム、砒(ひ)素、黄りん、弗(ふつ)化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリン、その他これらに準ずる有害物のガス、蒸気、粉じんを発散する場所における業務病原体によって汚染のおそれが著しい業務その他厚生労働大臣が定める業務特殊健康診断の対象者特殊健康診断の対象者は、労働安全衛生法第66条に掲げる業務とじん肺法で定められている業務に常時従事する労働者です。具体的には、以下の業務に従事する労働者となります。屋内作業場などにおける有機溶剤業務に常時従事する労働者鉛業務に常時従事する労働者四アルキル鉛などの業務に常時従事する労働者特定化学物質の製造、または、取り扱う業務に常時従事する労働者、および、過去に従事した在籍労働者(一部の物質に係る業務に限る)高圧室内業務、または、潜水業務に常時従事する労働者放射線業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入る者除染等業務に常時従事する除染等業務従事者石綿などの取扱いなどに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に常時従事する労働者、および、過去に従事したことのある在籍労働者検査項目の違い特定業務従事者健康診断は一般健康診断ですが、特殊健康診断はそれぞれの有害物質による健康への影響を把握するため、検査項目は異なります。それぞれの検査項目について詳しく説明します。「健康診断事後措置で抑えるポイント」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します特定業務従事者健康診断の検査項目特定業務従事者健康診断の検査項目は、以下の通りです。既往歴、および、業務歴の調査自覚症状、および、他覚症状の有無の検査身長、体重、腹囲、視力、聴力の検査胸部エックス線検査、および、喀痰(かくたん)検査血圧の測定貧血検査肝機能検査血中脂質検査血糖検査尿検査心電図検査ただし、医師が必要ではないと判断した場合には以下の項目の検査の省略が可能です。20歳以上の者の身長40歳未満のうち次のいずれにも該当しない者の胸部X線検査・5歳毎の節目年齢(20歳、25歳、30歳及び35歳)・感染症法で結核に係る定期の健康診断の対象とされている施設等で働いている・じん肺法で3年に1回のじん肺健康診断の対象とされている胸部X線検査を省略された者、胸部X線検査によって疾病の発見や結核発病のおそれがないと診断された人の喀痰検査35歳を除く40歳未満の者の貧血、肝機能、血中脂質、心電図の各検査以下対象者は腹囲の検査を医師の判断で省略可能です。・35歳を除く40歳未満の者・妊娠中の女性その他の者であって腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断された・BMIが20未満の者・BMIが22未満で自ら腹囲を測定しその値を申告した者の腹囲の検査特殊健康診断の検査項目特殊健康診断の検査項目は、業務内容によって異なります。また検査項目の中でも、必ず実施しなければいけない項目と医師が必要と判断した場合に検査を行う必要がある項目があります。以下に特殊健康診断の検査内容の一例を記載します。高気圧業務高気圧業務の場合の検索項目は、以下の通りです。既往歴、および、高気圧業務歴の調査関節、腰、下肢の痛み、⽿鳴りなどの⾃覚症状、または、他覚症状の有無の検査四肢の運動機能の検査など放射線業務放射線業務の場合の検査内容は、以下の通りです。被ばく歴の有無の調査、および、その評価白⾎球数、および、白⾎球百分率の検査⾚⾎球数の検査、および、⾎⾊素量、または、ヘマトクリット値の検査など特定化学物質を扱う業務特定化学物質を扱う業務の場合の検査内容には、以下のようなものがありますが、特定化学物質の種類によって検査項目が設定されています。⾎尿、頻尿、排尿痛などの他覚症状、または、自覚症状の有無の検査皮膚炎などの皮膚所⾒の有無の検査尿中の潜⾎検査など石綿を扱う業務石綿を扱う業務の場合の検査内容は、以下の通りです。業務の経歴の調査石綿によるせき、たん、息切れ、胸痛などの他覚症状、または、⾃覚症状の既往歴の有無の検査せき、たん、息切れ、胸痛などの他覚症状、または、⾃覚症状の有無の検査など胸部X線検査<h4>鉛を扱う業務</h4>鉛を扱う業務の場合の検査内容は、以下の通りです。業務の経歴の調査鉛による⾃覚症状、または、他覚症状と通常認められる症状の有無の検査⾎液中の鉛の量の検査、尿中デルタアミノレブリン酸量の検査など四アルキル鉛を扱う業務四アルキル鉛を扱う業務の場合の検査内容は、以下の通りです。業務の経歴の調査作業条件の簡易な調査四アルキル鉛によるいらいら、不眠、悪夢、⾷欲不振、顔⾯蒼白、倦怠感、盗汗、頭痛、振顫、四肢の腱反射亢進、悪心、嘔吐、腹痛、不安、興奮、記憶障害、その他の神経障害、または、精神症状の⾃覚症状、および、他覚症状の既往歴の有無の検査など有機溶剤などを扱う業務有機溶剤などを扱う業務の場合の検査内容は、以下の通りです。業務の経歴の調査有機溶剤による健康障害の既往歴の有無の検査有機溶剤による⾃覚症状、または、他覚症状と通常認められる症状の有無の検査など粉じんなどを扱う業務粉じんなどを扱う業務の場合の検査内容は、以下の通りです。粉じん作業の職歴の調査胸部X線検査肺機能検査など実施頻度の違い特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の実施頻度には、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれ詳しく説明します。「健診業務の負担を減らすには?DXツールの成功事例」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します特定業務従事者健康診断の実施頻度特定業務従事者健康診断は6ヶ月以内に1回の頻度で実施しなければいけません。一般健康診断に含まれる定期健康診断は1年以内に一度ですので、特定業務従事者健康診断と頻度が異なる点に注意してください。また6ヶ月以内に1度以外にも、配置替えや業務変更の際には特定業務従事者健康診断の実施が必要です。特殊健康診断の実施頻度特殊健康診断は、基本的には6ヶ月以内に1度の頻度で実施しなければいけません。一方、令和5年4月1日より実施頻度が緩和されており、以下の基準を満たした場合は事業者の判断で1年以内ごとに1回となります。当該労働者が作業する単位作業場所における直近3回の作業環境測定結果が第一管理区分であること(四アルキル鉛を除く)直近3回の健康診断において、当該労働者に新たな異常所見がないこと直近の健康診断実施日から、ばく露の程度に大きな影響を与えるような作業内容の変更がないこと実施頻度の緩和については、労働基準監督署や労働局に対する届出は不要です。一方、配置替えや業務変更の際には特殊健康診断の実施が必要です。このように特定業務従事者健康診断と特殊健康診断は、労働者によって受診時期が異なる場合があります。また先ほど記載した通り、それぞれ対象者の条件が複数あり対象者の選定も複雑になりがちです。そこで健康管理システム「ハピネスパートナーズ」を利用すれば、労働者データに特殊業務歴や健康診断結果、就業判定などを紐づけて管理することができるので、対象者の選定から受診勧奨まで簡単に行えます。産業保健業務の効率化を考えている方はぜひ「ハピネスパートナーズ」の導入をご検討ください。費用負担の違い特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の費用負担者に違いはなく、どちらも事業所負担となります。またいずれの健康診断も労働時間に行わなければならず、労働時間外に健康診断を実施する際は時間外費用が発生する場合があります。また労働者が特定業務従事者健康診断や特殊健康診断を拒否して受診しなければ、事業所に50万円以下の罰金が科される可能性がある点に注意しましょう。まとめ特定業務従事者健康診断と特殊健康診断には、対象者や検査項目、実施頻度などに違いがあります。一方、特定業務従事者健康診断も特殊健康診断も事業所は労働者に受診させる義務があり、受診させなければ罰金が科される可能性がある点は共通しています。「健康診断事後措置で抑えるポイント」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します