人的資本経営で離職率を減らす
「人的資本の開示義務化にどう対応すべきか」「投資としての健康管理とは何か」――。
今、多くの人事担当者が直面しているこの課題の答えは、データに基づいた「離職防止策」にあります。本記事では、人的資本経営を軌道に乗せ、企業価値を最大化させるための具体的なステップと、それを支えるストレスチェック・EAPの活用法を詳説します。
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人的資本経営とは?
人的資本経営とは、会社の人材を、企業価値を生む「資本」として扱う経営モデルです。
従来の日本では、従業員は人件費という名のコストであり、人員削減はすなわち利益改善を指していました。
一方で、「人的資本経営」という概念では、
人材育成=投資
エンゲージメント=生産性
健康=経営資源
という考え方をします。
人的資本経営が注目を浴びるようになった背景には、2023年から有価証券報告書で人的資本開示が義務化されたことがあります。
2023年の義務化以降、企業は「多様性」「育成」「エンゲージメント」といった非財務情報の開示を求められています。その際の国際的な測定基準として注目されているのが「ISO30414(人的資本報告ガイドライン)」です。以下では、義務化の背景と具体的な開示内容について解説します。
人的資本開示の義務化とその背景
人的資本開示の義務化とは、「企業が人材にどれだけ投資しているか・どんな人材戦略をしているかを公開しなければならない制度」です。
日本では2023年3月から本格的に開始されています。
人的資本の開示が義務化された理由は大きく2つあります。
まずは、投資家の関心が高まったからです。
近年は、企業価値の大半が人材・技術・組織力と無形資産(人材・知識)となってきているためです。
次に、ESG投資が拡大したからです。
ESG投資は、環境、社会、管理の3要素を評価して持続的な成長が見込まれる企業に投資を行う投資手法です。この「社会」に、人的資本が含まれます。
投資家は働きやすい企業か、人材投資しているかを見て投資判断をするようになりました。
世界的にも人的資本の開示が相次ぎ、このような流れで「金融庁による企業内容等の開示に関する内閣府令の改正(2023年)」で、有価証券報告書に「人的資本の情報」を記載することが義務化されました。
人的資本開示の義務化で開示する内容
開示するのは、有価証券報告書に新設された「サステナビリティに関する考え方及び取組」という項目です。
ここで人的資本の開示の中で特に重要なのが「人材戦略」と「重要業績評価指標」のふたつです。
1.人材戦略
人材戦略は、企業が人材をどう活用するかの戦略のことです。
人材育成方針に、社内環境整備方針や、ダイバーシティ、リスキリング、人材投資などを指します。
2.重要業績評価指標
重要業績評価指標の目標(KPI:Key Performance Indicator)とは、企業が測定している人材指標と、その達成率のことです。
女性管理職比率
男女賃金格差
育休取得率
離職率
エンゲージメント
研修時間
などであり、特に男女賃金差と女性管理職比率、男性育休取得率は開示が義務化されました。
ISO30414(人的資本報告ガイドライン)とは何か
ISO30414の正式名称は、ISO 30414: Human resource management — Guidelines for internal and external human capital reportingです。
つまり、ISO30414は、
Human resource management(人事管理)
Human capital reporting(人的資本報告)
の国際標準です。
昨今、企業価値の多くが「人」に依存する時代になり、従来の企業評価として「人材の客観的な指標」が必要になりました。
売上や資産、利益だけでは組織の本当の強さが見えないため、
人材
スキル
エンゲージメント
離職率
ダイバーシティ
健康
などを 値で開示する国際基準が用いられるようになりました。
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健康とは生産性であり、不健康は人的資本の損失をきたしかねない
さて、人的資本経営では、従業員の健康を重視します。
つまり、プレゼンティーズム(健康上の理由で生産性が落ちること)や、高ストレス者率、休職率などは人的資本経営の考え方において「人的資本の損失」とみなされます。
ですので、昨今は、ストレスチェックや、EAP、健康経営が、経営戦略の一部になってきています。
人的資本経営におけるストレスチェックの役割
近年、適応障害をはじめとしたメンタルヘルス不調を訴える労働者の割合が増えてきています。こうした不調を未然に防ぐことを目的として、2015年12月1日から「ストレスチェック制度」が導入されました。この制度は、労働者が50人以上いる事業所に対し、労働安全衛生法により実施が義務付けられています。
ストレスチェックとは、企業が設定したストレスに関する質問票に労働者が回答し、労働者のストレスの状態を把握するための検査です。これを定期的に実施することで、以下のような効果が期待できます。
労働者自身がストレスに気づき、メンタルヘルス不調の未然防止をサポートする
集団(部署・職場単位)での結果を分析することで、職場環境の改善につながる
このように、ストレスチェックは、メンタルヘルス不調の予防と職場環境の改善を目的とした重要な取り組みです。
ストレスチェックは、人的資本経営を加速させる有効なツールです。高ストレス者の早期特定にとどまらず、部署・役職ごとの集団分析を徹底することで、組織的な課題へのアプローチが可能になります。ただし、ストレスチェックは「実施すること」自体が目的ではありません。高ストレスの結果をどう改善に繋げるか。その具体的な解決策となるのがEAPサービスです。当社では、チェックから改善支援までをシームレスに提供し、人的資本の損失を最小限に抑えます。
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人的資本経営におけるEAPの役割
人的資本経営では、EAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)の導入も効果的です。
EAPを導入すると、
メンタル不調の早期対応
プレゼンティーズム削減
離職防止
人的資本KPI改善
心理的安全性向上
が期待できます。詳しく説明します。
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メンタル不調の早期対応
EAPの導入により、従業員の心身の不調による生産性低下、またそこから離職に繋がってしまうという負の連鎖を、早い段階で止める手立てとなります。
EAPは、従業員が社外の専門家(心理士・カウンセラーなど)に相談できる仕組みです。
このため、EAPの導入はメンタル不調の「早期発見・早期対応」をするのに有効です。
EAPの導入で、上司に言えない悩みや職場の人間関係、家庭問題、キャリア不安などを重症化する前に相談できるようになります。
結果として、休職、長期欠勤、突然の退職を防ぎやすくなります。
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プレゼンティーズム削減
EAPの導入で、プレゼンティーズム(生産性低下)を減らすことができる可能性があります。
人的資本経営では「働いているけれどパフォーマンスが落ちている状態(プレゼンティーズム)」が大きな損失とされています。
研究では企業の健康関連コストの最大60%以上がプレゼンティーズムによるものと報告されています。
EAPによりストレスやメンタル不調、家庭問題をケアできると集中力・パフォーマンスの回復を支援します。
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離職防止
さらに、EAP導入は離職防止(リテンション)につながります。
従業員が辞める大きな理由は、人間関係、上司との関係、メンタル不調です。
EAPはカウンセリングや上司向けの相談、マネジメント支援などを通して離職リスクの低減に寄与することが期待されます。特にハイパフォーマー、中堅従業員の離職防止に有効です。
人的資本KPI改善
最近の人的資本開示では、健康、ウェルビーイング、エンゲージメントが重要な指標になっています。
EAPは以下の指標に直接作用し、人的資本開示の質を向上させます。
高ストレス者率
休職率
離職率
エンゲージメント
プレゼンティーズム
つまり、EAPの導入は「従業員を大事にしている企業」という人的資本の価値を高める施策になります。
心理的安全性向上
なお、EAPは心理的安全性の高い組織づくりにも寄与します。
EAPは単なるカウンセリングではなく、
管理職向け相談
ラインケア支援
ハラスメント相談
なども行います。
その結果、相談しやすい環境を育み、問題の早期共有が生まれ、心理的安全性の高い組織につながります。
このように、従業員を守る仕組みが、企業価値を高める投資となるのです。
参考:J Occup Environ Med「Total Health-Related Costs Due to Absenteeism, Presenteeism, and Medical and Pharmaceutical Expenses in Japanese Employers」https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5959215/
人的資本経営を加速させる「職場のストレスチェック+plus」
職場のストレスチェック+plusでは、メンタルヘルス不調による休職や離職のリスク低減をサポートし、さらには従業員が働き続けたいと思えるような組織の土壌づくりをサポートします。
なお、ストレスチェックは今まで50人未満の事業所では努力義務でしたが、厚生労働省の検討会において、50人未満の事業場についてもストレスチェック実施を義務付ける方針が示されました。今後、段階的な法改正が行われる可能性があるため、早期の準備が推奨されます。
ストレスチェック事業を開始して30年以上、年間1,400社、約35万人の導入実績を誇るエムスリーヘルスデザインは、ストレスチェックの委託サービスを提供しております。職場のストレスチェック+plusでは、単に検査を行うだけではありません。その結果を活かしてメンタルヘルス不調による休職リスクの早期発見と、迅速な対応を支援するために、公認心理師や臨床心理士などの専門家による実践的なアフターフォローを提供。これにより、現場のマネージャーが明日から取り組むべきアクションを明確化し、実効性の高い職場改善を支援します。
主な支援内容は次の3つです。
組織の「弱点」を特定するアナリストレポート
経験豊富な心理職スタッフが、ストレスチェックの集計結果を分析し、課題に応じた改善プランを提案します。
また、安全衛生委員会などでのオンライン報告会にも対応しており、現場での共有・議論をスムーズに進めることができます。
単なる数値報告ではなく、経験豊富な心理士による「アナリストレポート」を活用することで、「なぜこの部署で離職リスクの高い従業員が多いのか」という核心に迫る分析が可能になります。現場のマネージャーが明日から何をすべきかまで落とし込むことが、実効性の高い離職防止策の検討に役立ちます。
意識変容を促す教育・セミナープログラム
企業や官公庁での研修実績を持つ講師陣が、ヘルスリテラシー向上を目的とした教育プログラムを実施します。
内容は職場の課題に合わせてカスタマイズが可能で、たとえば次のようなテーマが人気です。
職場メンタルヘルスと管理職の役割
ストレスマネジメントの基本と実践方法
EAPサービス(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)
心理・医療・産業分野の専門家チームが、従業員と組織の両面から健康を支える仕組みづくりを包括的にサポートします。
相談体制の整備や教育、意識啓発まで、継続的に支援を行います。
ストレスチェックは「実施すること」が目的ではありません。
結果をどう活かすかこそが、従業員の健康を守り、働きやすい職場をつくるための鍵です。
単なる受検で終わらせず、アナリストレポートまで取得することで、「組織のどこに弱点があるのか」を共有できる可能性があります。
「職場のストレスチェック+plus」なら、検査から職場改善、教育までを一括で支援。
法改正への対応準備や、従業員のメンタルヘルス対策にお悩みの方は、累計導入実績豊富なエムスリーヘルスデザインへご相談ください。
まずは、自社の離職リスクがどこにあるのかを可視化してみませんか?
法改正への対応と定着率向上を同時に実現する具体的なプランを、無料でご提案します。
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参考:厚生労働省「第21回 労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に関する検討会 資料」https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000106347_00010.html
職場改善にはエムスリーヘルスデザインのEAP
エムスリーヘルスデザインのEAPは、単なる従業員向けの相談窓口にとどまりません。組織分析に基づき、人事・管理職に対して具体的な「職場改善の提言」を行うパートナーとして機能します。心理的安全性という抽象的な課題を、実効性のある施策へと昇華させます。
まず、人事・管理職の方々には、専任の心理士が企業や組織の環境改善について具体的な提言を行います。さらに、メンタル面に課題を感じながら働く従業員に対し、専門家とのカウンセリングを通じて心の健康維持や早期の適切な対応をサポートします。
また、ストレスチェック後の集団分析結果や現場の課題を踏まえた研修プログラムも提供。ラインケアに特化した内容はもちろん、セルフケアまで幅広くカバーします。企業・官公庁での豊富な研修実績を持つスタッフが、最適な内容で健康経営を力強く支援します。
また、ストレスチェック委託と併用もできます。エムスリーヘルスデザインのEAPサービスでは、メンタル不調の予防と早期対応に特に力を入れています。
提供サービスの概要
専門家による相談対応:
公認心理師など資格を持つカウンセラーが、従業員の相談に応じ、安心できる支援を行います。
人事・産業医との協働:
個人対応にとどまらず、職場環境の改善へとつなげる仕組みを構築。
ストレスチェックとの連動:
制度導入後の高ストレス者面談や職場改善まで一貫してサポートします。
充実したサポート体制
メンタルヘルス以外の問題も回数無制限で相談可能
専門家(国際EAPコンサルタント・臨床心理士・公認心理師など)が直接対応
必要に応じて適切な専門機関へ紹介
大阪・京都エリアでは訪問対応も可能
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