健康経営優良法人2025年版を把握する意味
経済産業省が認定している健康優良法人認定制度は一度認定されると、以降永遠に権利を獲得できるものではなく、あくまでも1年間のみ認定されるものです。つまり、継続的に健康優良経営法人の認定を取得するためには毎年申請を行い、認定を受けなければなりません。そして認定基準は毎年変わります。決して「毎年大幅に異なる基準が設けられる」ではなく、制度の根幹である「健康的な職場環境づくり」から逸れるものではありませんが、時代の価値観に合わせて多少変化します。
2025年度、初めて健康経営優良法人の認定取得を目指す企業はもちろん、これまで継続して健康経営優良法人の認定を取得していた企業も、2025年度の基準に沿った施策を策定して申請しなければなりません。
あくまでも「基準を満たしているのか」が問われるため、過去の実績は関係ありません。これまで継続して健康経営優良法人の認定を取得していた企業も、2025年度に健康経営優良法人の認定を取得できるかは、「2025年度の基準を満たしているのか」のみが問われます。
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健康経営優良法人2025年度版のコンセプト
2025年度晩健康経営優良法人では、労働者不足が加速している状況から「人」の価値が高まっている点を踏まえ、「日本経済を支える基盤となるべく健康経営」を目指した制度設計が行われています。
大きなテーマとしては下記の3点が特徴です。
・健康経営の可視化と質の向上
・新たなマーケットの創出
・健康経営の社会への浸透・定着
ここでは大規模事業者向けと中小規模事業者向けそれぞれについて、2025年度のコンセプトを大まかに解説します。
大規模事業者向け
大規模事業者向けではPHRの活用促進や非正社員を対象にした企業の評価が新設されました。
一元システムの利用促進に加え、自社の正社員だけの健康ではなく、正社員・非正社員にかかわらず、「自社で働く人間」全ての健康促進を意識している点が挙げられます。
中小規模事業者向けや小規模法人
中小規模事業者向けや小規模法人に対しては新たな顕彰枠が拡大した点や特例制度の導入による要件緩和など、健康経営優良法人の敷居を下げ、認定を目指す企業を増やしたいとの狙いが伺えます。
健康経営優良法人2025年度版大規模事業者向け改訂ポイント
健康経営優良法人2025年度版の大規模事業者向け改訂ポイントとして、主に下記の8点が挙げられます。
・PHR(Personal Health Record)の活用促進
・40歳未満の従業員の健康診断データの提供
・健康の「質」の向上に向けて職場意識の醸成
・多種多様な働き方に対する柔軟性・促進
・海外法人を含めた健康経営推進に関する実態の把握
・育児・介護と就業の両立の支援
・常時使用ではない非正社員等も含めた企業評価
・プレコンセプションケア
上記について、それぞれ詳しく解説していきましょう。
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PHR(Personal Health Record)の活用促進
2025年度健康経営優良法人では、PHR活用に向けての環境整備状況についての設問が追加されています。
PHRとは個人の身体情報や健康情報のデータ、「Personal Health Record」の略称です。
日本国内は少子高齢化が加速していることから、現役世代が減少傾向にあります。そのため、世代を問わずに長く健康に働ける環境の構築が急務です。
そこで、それぞれの感覚に頼った健康促進ではなく病院のカルテ、お薬手帳等のPHRを一元管理することで、健康に寄与する情報の取得が容易になります。
健康寿命の延伸や介護予防への寄与が期待されているPHR活用は、2025年度に関してはあくまでも「設問のみ」で、具体的な活用状況までは問われていませんが、将来的にはさらに踏み込んだものになる可能性があるため、健康経営優良法人の認定を継続する企業では、PHRに関しての環境構築が求められます。
40歳未満の従業員の健康診断データの提供
健康経営優良法人2025年度版から、40歳未満の従業員の健康診断データを健康保険組合等保険者に提供していることで健康経営優良法人の加点事由となります。
40歳未満の従業員の健康診断データを提供・共有することで、今後を担う若手の健康に関心を持ってもらうこと、会社として若手の健康を管理することを期待したものです。
これにより、職場における将来の特定保健指導対象者率の減少に伴う生産性向上の可能性を高めます。
健康の「質」の向上に向けて職場意識の醸成
「質」とは、具体的に下記の2点が挙げられます。
・経営層の関与の強化
・「結果」を重視
それぞれ詳しく解説していきましょう。
経営層の関与の強化
これまで、健康経営優良法人は現場社員の取り組みばかりが求められていたため、「経営層・上層部が策定し現場社員が実践する」意味合いが強いものになっていました。
このような現実を受け、2025年度健康経営優良法人では経営層が積極的に関与するよう求めています。
具体的には取締役会・経営会議で継続して取り上げること、さらに取り上げた内容を具体化することが評価対象であり、かつホワイト500の認定要件となりました。
「結果」を重視
これまでの健康経営優良法人は結果だけではなく取り組み状況も問われていました。
そのため、少々穿った見方をすると「結果が出なくても頑張っていれば良い」もので、「健康経営優良法人が意味ないものになっている」との指摘を受ける一因となっていました。
そこで2025年度からは「結果」が重視されます。
以下の8点に関しては、2025年度からは結果・成果のみの指標となります。
・受診勧奨
・ストレスチェック
・健康保持・増進に関する教育
・コミュニケーション促進
・食生活改善
・運動習慣の定着
これらに関しては、今後は「結果が求められる施策」の策定が求められます。
多種多様な働き方に対する柔軟性・促進
かつて仕事といえば「出社」が前提でしたが近年は在宅・テレワークも増えています。このような多種多様な労働スタイルを鑑み、柔軟な働き方が用意されているのかも評価の対象となりました。
在宅やテレワークだけではなく、育児・介護との両立を目指して休暇が取りやすいのかなども推奨されています。
海外法人を含めた健康経営推進に関する実態の把握
これまでの健康経営優良法人では対象は日本国内のみでした。そのため、海外法人を持つ企業の場合、海外拠点に関しては「対象外」となっていました。
しかし2025年度からは、国外での実施方法も問われます。
設問への回答に留まっており、評価対象には含まれていませんが、将来的にはさらに一歩踏み込んだ施策が求められる可能性もあります。
育児・介護と就業の両立の支援
かつてと比較すると、徐々にではありますが育児に関する職場環境にも変化が見えていますが、一方で介護に関してはまだまだ理解が進んでいないとの調査結果があります。
そこで「介護」にも力を入れることが求められました。
介護に関しては、以下の3つの具体的なステップに分類されています。
・経営層のコミットメント
・実態の把握と対応
・情報発信
この施策にて、育児同様、介護に関しても広い認知・普及を目指しています。
常時使用ではない非正社員等も含めた企業評価
大企業となれば正社員以外にもさまざまな派遣社員や短期雇用、さらには業務委託などさまざまな人間を抱えていることでしょう。
そこで2025年度の健康経営優良法人から常時使用しない非正社員や派遣社員も「会社組織の人間」と考え、それらの人材を含めて健康施策を実施しているのかも問われます。
ただし、対象者がいない企業向けには「対象者なし」の選択肢を用意しているため、認定において正社員以外の人間を抱えていない企業が不利になることはありません。
プレコンセプションケア
プレコンセプションケアとは妊娠を計画している女性・カップルへの医学的・行動学的・社会的な保険介入です。
少子化が顕著な日本国内において、女性が出産・育児の意識を高めることは、一企業にとどまらず国全体の課題です。
そこで若い世代に対し、質の高い生活を持T具現し、健康を実現することで健全な妊娠・出産の機会を増やそうとするためのものです。
具体的にはプレコンセプションケアに関する企業へのアンケートが項目に新設されます。
健康経営優良法人2025年度版中小規模事業者向け改訂ポイント
健康経営優良法人2025年度版の中小規模事業者向け改訂ポイントとしては下記の4点が挙げられます。
・ブライト500申請法人のフィードバックシート公開
・新たな顕彰枠設定
・小規模法人への特例制度の導入
・健康宣言事業未実施の国保組合・共済組合等加入法人への対応
こちらについてもそれぞれ詳しく解説していきましょう。
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ブライト500申請法人のフィードバックシート公開
これまでブライト500に申請した中小規模法人はフィードバックシートが交付されていましたが、公開までは求められていませんでした。
同じくフィードバックシートが交付される大規模法人部門のみで公開が求められていました。しかし2025年度からは、ブライト500申請した場合、大規模法人同様、中小規模法人も公開が求められます。
これにより、ブライト500への申請を検討している中小規模法人は、より厳格な施策策定・実践が求められることになります。
関連記事:健康経営優良法人のブライト500とは?認定条件やメリット、取り組み事例を紹介!
新たな顕彰枠設定
優れた取り組みを行っている上位500社に与えられる「ブライト500」と通常認定の間、つまり上位501社~1500社に「ネクストブライト1000」と呼称される新しい顕彰枠が設定されます。
この結果、中小規模法人はブライト500、ネクストブライト1000、通常認定の3つのカテゴリーとなります。
どのカテゴリーを目指すか、より細かい目標設定が可能になることで中小規模法人の健康経営への意識を高めたいとの狙いがあります。
小規模法人への特例制度の導入
中小規模法人には特例が導入されます。
例えば「中小企業基本法における中小規模事業者」およびその他法人格における従業員数5人以下の法人を対象に、健康経営の具体的推進計画の認定要件を4項目中2項目にする特例措置が導入されるのもその一つです。
認定要件を緩和することで、これまで健康経営優良法人に興味がなかった中小企業や、興味はあっても実践するだけのリソースを確保できなかった中小企業に健康経営優良法人を実践してもらい、健康経営の裾野を広げる狙いがあります。
健康宣言事業未実施の国保組合・共済組合等加入法人への対応
これまで健康宣言事業を宣言していない一部の国保組合や共済組合や、積極的な広報を行っていない自治体に属していた場合、健康経営に力を入れようと思っても協力体制がないことから、現実的に取り組みが困難な環境の会社もありました。
しかし2025年度からは宣言事業の実施にかかわらず、自己宣言が認められたことで健康経営優良法人参加のハードルが低下します。
健康経営優良法人2025の認定取得のために必要なこと
健康経営優良法人2025年度版の認定取得のためには、下記の2点への意識が大切です。
・認定要件を正確に把握・実践する
・現場とのコミュニケーションを大切にする
それぞれ、なぜ大切なのかを解説していきましょう。
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認定要件を正確に把握・実践する
健康経営優良法人の認定を取得するためには、認定要件を正確に把握し、実践することが求められます。
決して「早いもの順」ではありませんし、これまでの実績も関係ありません。あくまでも「認定要件を満たしているのか」が問われます。裏を返せば、これまで何年も連続で健康経営優良法人の認定を取得していた企業でも、2025年度の認定要件を満たしていない場合、健康経営優良法人の認定を取得することはできません。
健康経営優良法人2025の認定要件は決してクローズなものではなく、公式サイトに掲載されています。評価項目・認定要件を確認し、必須とされている点を満たせる施策を打ち出しましょう。
関連記事:健康経営優良法人の認定基準とは?知っておくべきポイントを徹底解説
現場とのコミュニケーションを大切にする
健康経営優良法人の認定要件を満たす施策の策定は、経営層・上層部だけで勝手に決めるのではなく、実践する社員とのコミュニケーションを深めることも大切です。
数値だけで目標を定め、施策を策定するのではなく、策定された施策を実践することになる社員たちの実情を把握するために、実際にコミュニケーションを深め、社員が困っていること・有意義だと感じることを汲み取っての施策が求められます。
仮にコミュニケーションを深めることなく、数値目標だけを設定した身勝手な施策では、経営層・上層部と現場社員との分断化を招くリスクがあります。また、認定要件を満たしたとしても実践することができません。
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