健康経営とは経営的視点から従業員の健康を戦略的に実践する取り組み健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することを指します。これは、従業員の健康を単なるコストではなく、企業の収益性等を高める投資であるという考え方に基づいています。健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標であり、多くの企業がこの概念を取り入れています。企業は、この取り組みを通じて、健康づくりへの具体的な方針を社内外に宣言し、従業員の健康課題の解決を目指します。「健康経営スタートブック」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します「~経営層251人に聞いた~効果を出す健康経営」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します企業価値向上と生産性向上への貢献健康経営における従業員への健康投資は、従業員の活力向上、生産性向上、組織の活性化をもたらし、結果的に企業の業績向上や株価向上につながると期待されています。この取り組みは、人材の定着促進や採用力の向上にも寄与し、企業の社会的責任(CSR)の達成にも繋がります。このように、健康経営は中長期的な視点から企業の持続的な成長と価値向上に貢献する重要な戦略です。従業員個人のウェルビーイング実現健康経営の根底にある目的の一つは、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、明るくイキイキと働き、最大のパフォーマンスを発揮できる状態を実現することです。個人の健康状態が整うことで、病気による生産性低下(プレゼンティーイズム)や欠勤(アブセンティーイズム)の改善が期待できるだけでなく、従業員の働きがいやエンゲージメント、満足度も向上します。これにより、従業員は仕事と私生活のバランスを保ちながら、充実した毎日を送ることが可能になります。「健康経営スタートブック」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します健康経営優良法人認定制度とは健康経営優良法人認定制度は、経済産業省と日本健康会議が共同で推進する、従業員の健康管理を経営的な視点で戦略的に実践している企業を顕彰する仕組みです。この制度の目的は、優れた健康経営を実践する法人を「見える化」し、企業が社会からの評価を高め、従業員の活力向上や生産性向上、ひいては企業価値向上に繋げることにあります。認定は企業の規模に応じて「大規模法人部門」(上位500法人は「ホワイト500」)と「中小規模法人部門」(上位500法人は「ブライト500」)に分かれて実施されています。健康経営優良法人の申請・認定状況直近の健康経営優良法人2025は、前回の認定数19,721を大幅に超える23,196の法人が健康経営優良法人として認定されました。中小規模法人部門申請数の推移に関しては、2016年度の申請数397、認定数318から始まり、2023年度には申請数17,316、認定数16,733に達しています。中小企業の中でも特に優良な取り組みを実践する法人に与えられる「ブライト500」には、2024年度は3,429件の申請があったことが報告されています。この認定状況は、中小企業においても健康経営への関心と実践が急速に広まっている現状を示しています。出典:ACTION !健康経営「健康経営優良法人2024 中小規模法人部門」経済産業省「「健康経営優良法人2025」認定法人が決定しました」健康経営優良法人を取得するには健康経営優良法人(大規模法人部門)の取得要件健康経営優良法人(大規模法人部門)の対象となるのは、業種ごとに定められた従業員数または資本金・出資金額の基準を満たす法人です。具体的には、卸売業およびサービス業は従業員101人以上、小売業は51人以上、製造業およびその他の業種は301人以上の従業員がいる企業が大規模法人として区分されます。これらの基準に該当する企業は、より包括的かつ戦略的な健康経営の推進が求められます。自社が大規模法人に該当するかを確認し、認定に向けた準備を進めることが第一歩となります。「~経営層251人に聞いた~効果を出す健康経営」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します認定取得のための5つの大項目健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定を受けるには、主に以下の5つの大項目すべてを満たす必要があります。経営理念・方針:健康経営に関する明確な理念や方針を社内外に発信していること。経営トップによる健康経営へのコミットメントが重要視されます。組織体制:経営層が従業員の健康維持・増進に積極的に関与し、推進体制を構築していること。担当者の配置や健保組合等保険者との協議・連携などが含まれます。制度・施策実行:健康経営を実現するための具体的な制度や施策を構築し、実行していること。この項目はさらに「従業員の健康課題の把握や必要な対策の検討」「健康経営の実践に向けた土台作り」「従業員の心と体の健康づくりに関する具体的対策」の3つの中項目に細分化されます。評価・改善:実施した制度や施策の効果を適切に評価し、PDCAサイクルを回して改善に繋げていること。法令遵守・リスクマネジメント:労働基準法や労働安全衛生法などの関連法令を遵守していること。これらのうち、大項目1、2、4、5は必須要件であり、大項目3の一部も必須要件となっています。詳細な評価項目については、経済産業省が公開している情報を参照することが重要です。出典:ACTION !健康経営「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)認定要件」健康経営優良法人(中小規模法人部門)の取得要件健康経営優良法人(中小規模法人部門)の対象となるのは、業種別に定められた従業員数または資本金・出資金額の基準を満たす法人です。具体的には以下のいずれかの条件に該当する企業が中小規模法人として区分されます。卸売業:従業員1人以上100人以下、または資本金・出資金額1億円以下小売業:従業員1人以上50人以下、または資本金・出資金額5,000万円以下サービス業:従業員1人以上100人以下、または資本金・出資金額5,000万円以下製造業、その他:従業員1人以上300人以下、または資本金・出資金額3億円以下これらの基準に照らし合わせ、自社が中小規模法人部門に該当するかを確認することが、認定取得の第一歩です。「健康経営スタートブック」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します認定取得のための5つの大項目と前提条件中小規模法人部門の認定を受けるには、大規模法人部門と同様に、以下の5つの大項目すべてを満たす必要があります。必須5区分経営理念・方針(健康宣言+経営者健診受診)組織体制(健康づくり担当設置・40歳以上データ提出)受動喫煙対策評価・改善法令遵守(健診・ストレスチェック実施、労基法等違反送検なし)選択要件健康課題把握と対策①定期健診100% ②受診勧奨 ③小規模事業場ストレスチェックの中から2項目以上土台づくり④健康教育 ⑤働き方改革 ⑥コミュニケーション促進 ⑦仕事と治療の両立支援の中から1項目以上心身の健康づくり⑧保健指導〜⑮喫煙率低下の8項目から4項目以上(従業員50人未満は3項目)計15項目中13項目以上を実践すると、上位表彰「ブライト500/ネクストブライト1000」の対象となります。出典:ACTION !健康経営「健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)認定要件」大企業の健康経営への取り組み事例大企業における健康経営は、その規模と事業の複雑性から、戦略的かつ包括的なアプローチが不可欠です。本資料では、先進的な大企業の具体的な健康経営事例を紹介し、皆様が自社の取り組みを推進する上でのヒントを提供します。労務担当者、保健師、健康診断担当者、産業医の皆様の一助となれば幸いです。「~経営層251人に聞いた~効果を出す健康経営」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します味の素株式会社従業員の生活習慣病リスク(特にBMIやHbA1cの有所見率)の増加を重点課題と捉えています。この課題に対し、定期健診後の個別全員面談を実施し、従業員のセルフケア向上を支援しています。また、健康に関する情報を一元管理する総合健康管理システムを導入し、従業員が自身の健康状態を把握しやすい環境を整備。さらに、社員食堂で栄養バランスを重視した健康メニューを提供することで、自然な形で食生活の改善を促しています。出典:健康長寿産業連合会「健康経営先進企業事例集」キリンホールディングス株式会社ストレスチェックを実施し、「いきいき度」を2019年の112から2023年には115に改善しました。また、飲酒習慣スクリーニングテスト(AUDIT)で8点未満の割合を2024年度に73%以上にする目標を掲げ、プレゼンティーズムの改善にも取り組んでいます。従業員の健康リテラシー向上も継続的な課題です。出典:健康長寿産業連合会「健康経営先進企業事例集」イオン株式会社労働生産性の向上や人材定着を目指し、健康経営を推進しています。健診結果に基づく生活習慣病対策、敷地内禁煙や禁煙プログラムによる卒煙支援、ウォーキングイベントなど多岐にわたる施策を展開。メンタルヘルス対策や労働時間管理にも取り組み、イオングループで健康経営優良法人(ホワイト500含む)に多数が認定されています。出典:イオン株式会社「イオンの健康経営」TOPPANホールディングス株式会社TOPPANホールディングスは、従業員のWell-being実現を目指し、健康経営を推進しています。女性特有の健康課題(婦人科検診促進、セミナー)や運動習慣改善(ウォーキングアプリ「aruku&」活用)に注力。年間3,688名がイベントに参加し、健康意識と運動習慣の定着を図っています。自社事業「とどくすり薬局」も活用し、企業価値向上に貢献しています。出典:健康長寿産業連合会「健康経営先進企業事例集」日本電信電話株式会社(NTTグループ)日本電信電話株式会社(NTTグループ)は、従業員のパフォーマンス向上を目指し健康経営を推進しています。健診データやストレスチェック結果を一元管理するシステムを導入し、遺伝子検査サービス「Genovision」も提供。スマホアプリを活用した運動促進やICT特定保健指導を実施し、パルスサーベイでメンタルヘルス対策も強化しています。これにより、運動習慣者比率や適正体重維持者率の向上、メンタルヘルス休職者発生率の低下などの成果を上げています。出典:健康長寿産業連合会「健康経営先進企業事例集」NTTグループ「労働安全衛生・健康経営」「健康経営スタートブック」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します中小企業の健康経営への取り組み事例株式会社SACO「健康でライフスタイルを豊かにする」ビジョン実現のため健康経営を推進。従業員の運動不足解消に向け、勤務中の運動エリア開放やスタンディングデスク活用、外部講習を実施しました。これにより、従業員の運動実施率が50%から100%に向上し、離職防止にも貢献しています。出典:ACTION !健康経営「健康経営優良法人2024 中小規模法人部門」有限会社宮地商店座り仕事による従業員の不調解消へ健康経営を推進しています。スポーツジム利用が低調だった反省から、各従業員が個別の健康目標を「マイ健康宣言」として設定し、会社が費用補助。これにより参加率100%となり、従業員は自発的に楽しく取り組み、社内コミュニケーションも活性化しました。健康経営が自社商品のPRにも繋がり、顧客からの評価も向上しています。出典:ACTION !健康経営「健康経営優良法人2024 中小規模法人部門」「~経営層251人に聞いた~効果を出す健康経営」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します健康経営を実践するためのステップ「健康経営を実践するためのステップ」は、企業が従業員の健康を経営戦略として位置づけ、効果的に推進するための具体的なプロセスを指します。これは、健康経営優良法人認定を目指す企業だけでなく、全ての企業にとって重要な取り組みです。経営層のコミットメントと健康推進体制の確立健康経営を成功させる第一歩は、経営層が健康への重要性を深く理解し、率先して従業員の健康づくりに取り組む姿勢を示すことです。経済産業省は健康経営を「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」と定義しており、その推進には経営トップの強い意思が不可欠です。次に、経営層を最高責任者とし、人事部門、健康管理部門、健康保険組合などが連携して活動を検討・実行する推進体制を確立します。プロジェクトチームを発足し、担当者の役割を明確にすることで、組織全体で健康経営に取り組む基盤を築くことができます。中小企業の場合でも、商工会議所などが実施する「健康企業宣言」に参加し、従業員の健康づくりへのコミットメントを社内外に宣言することから始められます。この段階で、組織としての健康経営への意識を高めることが重要です。「健康経営スタートブック」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します健康課題の明確化と具体的な目標設定次に、自社が抱える健康課題を正確に把握することが不可欠です。健康診断の結果、ストレスチェックのデータ、就労データ(労働時間、有給休暇取得日数)などを体系的に収集・管理し、従業員の健康状態を可視化します。厚生労働省が示す「データヘルス」の考え方に基づき、これらのデータを分析することで、生活習慣病のリスク傾向、メンタルヘルスの状況、運動不足や睡眠の質の課題など、具体的な健康課題を特定できます。また、健康保険組合から提供される「健康スコアリングレポート」などを活用し、同業他社と比較することで、自社の強みと弱みを客観的に評価することも有効です。特定された課題に対し、従業員のパフォーマンス向上や生産性改善といった経営上の目標に紐づけて、具体的な改善目標(例:特定保健指導対象者率の低減、運動習慣者比率の向上、高ストレス者割合の改善など)を定量的に設定します。健康管理システム「ハピネスパートナーズ」の活用ハピネスパートナーズは、健康診断やストレスチェックのデータを一元管理し、複雑な情報をシンプルなレポートで可視化します。これにより、労務担当者や保健師は、個別の健康課題から組織全体の傾向までを正確に把握し、具体的な目標設定へとスムーズに移行できます。健康管理システム「ハピネスパートナーズ」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します効果的な施策の企画と実行設定した健康課題と目標に基づき、従業員の心身の健康増進に繋がる具体的な施策を企画し、実行します。施策は多岐にわたりますが、主な重点課題としては、生活習慣改善(運動・睡眠・食生活)、がん対策、禁煙、シニア層の健康対策、女性の健康関連課題、メンタルヘルス対策などが挙げられます。例えば、運動習慣の定着を促すためにウォーキングイベントやアプリを活用した健康増進キャンペーンを実施したり、健康的な食生活を支援するために社食での健康メニュー提供や栄養指導を行ったりします。また、メンタルヘルス対策としてストレスチェック後の個別面談やラインケア研修、セルフケアセミナーを実施することも重要です。中小企業では、費用を抑えるために、商工会議所や保険会社が提供する無料の支援サービスや国の助成金を活用するのも効果的です。従業員が自発的に楽しく参加できるようなインセンティブやコミュニケーション活性化の工夫も、施策の定着に寄与します。成果評価と継続的な改善サイクル健康経営は一度実施して終わりではなく、継続的な改善が不可欠です。導入した施策が設定した目標に対してどの程度の成果をもたらしたかを定期的に評価します。具体的には、施策への参加率、健康診断の有所見率の推移、ストレスチェックのスコア変化、プレゼンティーズムやアブセンティーズムの改善状況などを継続的に測定し、目標達成度を確認します。この評価結果に基づき、施策の効果を検証し、課題が見つかれば内容やアプローチ方法を見直します。PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)を回しながら、より効果的な健康経営の実現を目指していくことが、持続的な企業価値向上につながります。評価のプロセスを通じて、従業員の健康リテラシー向上度や健康行動の実践・継続状況も確認し、次なる施策の改善点を見つけ出します。「~経営層251人に聞いた~効果を出す健康経営」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移しますまとめ本記事では、健康経営の基本から優良法人認定の要件、具体的な取り組み事例までを解説しました。味の素やイオンといった大企業から、特色ある中小企業まで、各社が自社の課題に合わせて多様な施策を実践していることがわかります。成功の鍵は、経営層の強い意志のもと、自社の健康課題を正確に把握し、計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Action)のサイクルを回し続けることです。従業員の活力と生産性を高め、企業の持続的な成長を実現するために、本記事の事例を参考に、自社ならではの健康経営への一歩を踏み出しましょう。「健康経営スタートブック」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します