企業は法令を遵守して社員の健康や労働環境を維持するために、労基報告書を作成して労働基準監督署に提出する義務があります。もしミスがあったり、怠ったりすると再提出や罰金が科せられる場合がありますので、入念に作成する必要があります。「健康診断事後措置で抑えるポイント」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します労基報告書の目的労基報告書とは、企業が労働基準監督署に提出する法的な義務がある書類を指します。労基報告書は企業が社員の健康や労働環境を適切に管理しているかを証明する重要な書類であり、法令遵守を確保して社員の健康と安全を守ることが目的となっています。企業が適切な労働環境を維持しているかどうかを明確にすることで、労使間の信頼を向上させる効果があります。報告書の提出を通じて、企業自身が内部管理体制の整備状況を見直す契機となる効果も期待できます。健康診断の提出義務労働基準監督署への報告義務がある健康診断には、主に「一般健康診断」と「特殊健康診断」があります。以下の3つは労働基準監督署への提出義務が定められています。定期健康診断(一般健康診断)特定業務従事者の健康診断(一般健康診断)特殊健康診断それぞれの内容について詳しく解説します。「そのまま使える受診勧奨&受診報告フォーマット」資料ダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します定期健康診断定期健康診断は、「常時使用する従業員」を対象として年1回実施することが義務付けられています。社員の健康状態を把握し、病気の早期発見や予防に努めることを目的としていて、診断結果は労働基準法に基づいて適切に管理・報告する必要があります。具体的な検査内容は、以下の通りです。既往歴および業務歴の調査自覚症状および他覚症状の有無の検査身長、体重、腹囲、視力および聴力の検査胸部エックス線検査*および喀痰検査血圧の測定貧血検査(血色素量および赤血球数)肝機能検査(GOT、GPT、γ-GT(γ-GTP))血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)血糖検査(空腹時血糖またはHbA1c、やむを得ない場合は随時血糖(食後3.5時間以上経過))尿検査(尿中の糖および蛋白の有無の検査)心電図検査一部の項目はそれぞれの基準に基づき医師が必要でないと認めるときは省略することができます。例えば、喀痰検査は検査は、胸部X線検査によって病変の発見されない者または胸部X線検査によって結核発病の恐れがないと診断された者で、医師が必要でないと認めるときには省略できます。労働基準監督署への報告書の提出義務がある企業は「常時使用する労働者」を50人以上有する事業場と定められています。「常時使用する労働者」は正社員だけでなく、アルバイトやパートタイマーなども含まれます。この人数が満たない場合には、労働基準監督署への報告は不要です。特定業務従事者の健康診断特定業務とは、下記の労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる業務を指します。 •多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務異常気圧下における業務さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務重量物の取扱い等重激な業務ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務坑内における業務深夜業を含む業務水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務病原体によって汚染のおそれが著しい業務その他厚生労働大臣が定める業務特定業務従事者の健康診断は、特定業務への配置替えの際、6月以内ごとに1回行います。特定の業務に関連する検査が行われます。特定業務従事者の健康診断も、定期健康診断と同様「常時50人以上の労働者」を使用する企業は労働基準監督に報告する義務があります。参考:厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう」特殊健康診断特殊健康診断とは、労働安全衛生法第66条第2項・第3項に基づき、有害な影響のある業務に従事する社員を対象とする健康診断で、定期健康診断とは別に行われます。作業環境や業務内容に関連する健康影響の把握と健康障害の予防を目的としています。検査項目は業務により異なります。対象者は以下の8つの業務に従事する社員です。詳細はカッコ内の法令をご参照ください。・高気圧業務(高圧則第38条)放射線業務(電離則第56条)除染等業務(除染則第20条)特定化学物質業務(特化則第39条)石綿業務(石綿則第40条)鉛業務(鉛則第53条)四アルキル鉛業務(四アルキル鉛則第22条)有機溶剤業務(有機則第29条)実施後は人数に関わらず労働基準監督署へ報告書を提出することが義務付けられています。対象業務により報告書の様式が異なるため、間違えないよう注意が必要です。義務対象外となる健康診断健康診断の中には労働基準監督署への報告義務がない健康診断がいくつかあります。そのうちの1つに指導勧奨による特殊健康診断があります。指導勧奨による特殊健康診断とは、労働安全衛生法で定められた特殊健康診断には当てはまらないものの、化学物質を取り扱ったり危険な作業を行ったりする業務において、行政が介入して健康診断実施を勧める仕組みです。指導勧奨による特殊健康診断は努力義務となっており、実施する義務はない一方、無視すると指導が強化されたり、デメリットが大きくなったりするリスクもあります。適宜行う方が望ましいでしょう。定期健康診断結果の報告書作成の基本手順次に定期健康診断結果の報告書を作成する手順について解説します。主な手順は、以下の通りです。定期健康診断の結果確認厚生労働省指定の様式にしたがって報告書を作成提出前の確認それぞれの手順について詳しく解説します。「健康診断事後措置で抑えるポイント」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します定期健康診断の結果確認社員の健康診断結果を収集した後は、後日確認しやすいように適切な方法で整理します。スムーズに定期健康診断報告書を作成するためにも、社員一人ひとりのデータを正確かつ閲覧しやすいようにまとめることが重要です。しかし紙での管理ですと該当者を探すのも時間がかかり、集計に時間がかかってしまいます。そうしたお困りがある担当者には、健康管理システム「ハピネスパートナーズ」の利用がおすすめです。ハピネスパートナーズならクラウド上で従業員の健康情報を一元管理することができ、実施者数や有所見数の集計も簡単です。健康管理業務の効率化を進めたい方は「ハピネスパートナーズ」のご利用を検討ください。厚生労働省指定の様式にしたがって報告書を作成労基報告書は厚生労働省が指定する様式を使用して、報告書を作成します。法令に準拠した形式で作成することが重要なので、以下のサイトから報告書を使ってください。参考:厚生労働省「各種健康診断結果報告書」提出前の確認定期健康診断結果を労働基準監督署に提出する前に、再度記載内容を確認しましょう。報告書の様式と記載内容ダブルチェックして、ミスを防ぐことが重要です。定期健康診断報告書の記入内容定期健康診断結果報告書は、以下の項目を記入します。労働保険番号対象年および健診年月日事業の種類および事業場の名称・所在地健康診断実施機関の名称・所在地労働安全衛生規則第13条第1項第3号に掲げる業務に従事する労働者数在籍労働者数および受診労働者数健康診断の項目とそれに対応する実施者数、有所見者数所見のあった者の人数および医師の指示人数事業者職や産業医の氏名それぞれの内容について詳しく解説します。「そのまま使える受診勧奨&受診報告フォーマット」資料ダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します労働保険番号労働保険番号とは、法人の保険番号を指します。雇用保険適用事業者番号とも呼ばれており、14桁の数字となっています。対象年および健診年月日対象年の項目に、健康診断を実施した年月日を記入します。定期健康診断報告書をまとめて提出する場合には、何月から何月にかけて健康診断を実施したかを記載する必要があります。なお健康診断を2日以上かけて行った場合には、健診年月日の項目に最後に実施した年月日を記入します。事業の種類および事業場の名称・所在地定期健康診断結果報告書における事業の種類は、日本標準産業分類の中分類から記入します。以下のサイトから参照して記載しましょう。厚生労働省「日本標準産業分類(中分類番号)表」健康診断実施機関の名称・所在地健康診断を実施した名称や所在地を記入します。複数の医療機関で診断した場合には、それぞれの名称と所在地をすべて記載しましょう。労働安全衛生規則第13条第1項第3号に掲げる業務に従事する労働者数特定業務に常時従事している従業員がいる場合のみ記入します。在籍労働者数および受診労働者数在籍労働者数には、常時使用している労働者数を記入します。一方受診労働者数には、実際に健康診断を受診した労働者の数を記入しましょう。健康診断項目における実施者数、有所見者数健康診断項目には、項目ごとに定期健康診断を実施者した社員の人数と有所見社員の人数を記入します。有所見者とは、何らかの異常所見がある者を指します。所見のあった者の人数および医師の指示人数「所見のあった者の人数」で、各健康診断項目の有所見者数の合計ではなく、1つ以上所見があった社員の人数を記載します。例えば1人で3項目に有所見があった場合でも、1とカウントされます。「医師の指示人数」には、定期健康診断の結果に基づいて医師が特定の指示を出した社員の人数を記入しましょう。なお、医師の指示で就業制限がかかった社員も人数に含めます。事業者職や産業医の氏名「事業者職氏名」には、会社の代表者および担当者の氏名を記入します。また産業医の氏名や配属先も記入します。労基報告書作成時の注意点労基報告書作成時の注意点は、以下の通りです。正確な情報の記載最新の法令に基づいた記載内容の確認それぞれの注意点について詳しく解説します。正確な情報の記載労基報告書では、すべてのデータを正確に記載する必要があります。特に数値データや社員個別の診断結果は間違えやすいので、慎重に取り扱う必要があります。もし誤記載が見つかった場合には修正や再提出が必要となりますので、手間がかかってしまいます。最新の法令に基づいた記載内容の確認報告書が最新の法令に準拠しているか確認することも重要です。近年労働関係の法令は頻繁に改正されるため、常に最新の情報を調べることが求められます。労基報告書に誤りがあったら罰則はあるのか?労基報告書は法令によって定められた書類であるため、正確な内容で遅滞なく提出する必要があります。しかし、労基報告書に誤りがあった場合も明確な罰則規定は定められておらず、再提出を求められる程度となっています。ただし、提出を怠ったり再提出が遅れたりすると労働基準監督署から注意を受けるケースがあります。また労働基準監督署から注意を受けてしまうと、企業が労働環境の整備に対して不誠実であることが周知されてしまう懸念がありますので、そうした意味でも労基報告書は正確に作成して遅滞なく提出する必要があると言えるでしょう。「健診業務の負担を減らすには?DXツールの成功事例」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します効率的な作成方法労基報告書の作成には、時間や手間がかかりがちです。そこで、スムーズに作成するための以下の方法をお伝えします。健康管理システムの利用厚労省の入力支援サービスの利用それぞれの方法について詳しく解説します。健康管理システムの利用健康管理システムを利用すれば、社員の労働時間や労働条件などの情報を一元管理することができます。健康管理システムではこのように必要な情報を迅速に検索・参照できますので、報告書作成がスムーズになります。健康管理システムは先述した「ハピネスパートナーズ」がおすすめです。またデータの分析や可視化も可能なので、報告書作成以外にも労働環境の改善や社員の健康ケアなどにも活用できる点も強みです。厚労省の入力支援サービスの利用厚生労働省はwebで定期健康診断結果報告書を提出できるサービスを提供しています。PCやスマートフォンで手軽に作成できることから、多くの法人に利用されています。以下のサイトから利用が可能です。厚生労働省「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」まとめ労基報告書の作成は、法令遵守と社員の健康・安全を守るために重要な業務です。基本手順を守り、デジタルツールを活用して効率よく正確な報告書を作成しましょう。労働関係では法令や規則が定期的に見直されていますので、最新の情報に基づいた報告書になっているか確認の上、提出をしましょう。「健康診断事後措置で抑えるポイント」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します