ハラスメント相談の対応フロー解説|事実確認から処分の手順まで 読み込まれました

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公開日:

2025/12/26

更新日:

2025/12/26

ハラスメント相談の対応フロー解説|事実確認から処分の手順まで

上田莉子(産業医)

ハラスメント相談の対応フロー解説|事実確認から処分の手順まで

ハラスメント発生時の対応フローの重要性

社内でハラスメントが発生した、あるいはその疑いが生じたとき、企業には迅速かつ冷静な対応が求められます。
場当たり的な対応や判断の遅れは、問題を深刻化させ、企業にとって大きなリスクとなりかねません。慌てず適切に対応するためには、あらかじめ対応フローを理解し、備えておくことが重要です。

本記事では、企業におけるハラスメント発生時の理想的な対応フローについて、また、いかにして「再発させない組織」を作るかについても解説します。

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ハラスメント対応フローの重要性と基本知識

まず、ハラスメント対応フローがなぜ重要なのかを整理しておきましょう。
中小企業を含むすべての企業は、労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)に基づき、ハラスメント防止のための措置を講じることが義務付けられています。具体的には、相談窓口の設置、相談者や関係者に対する不利益な取り扱いの禁止、適切な事後対応などが求められます。

こうした対応を怠り、ハラスメントを放置した場合、企業は安全配慮義務(労働契約法)違反として、損害賠償請求に発展するリスクを負うことになります。さらに、厚生労働大臣による指導や勧告の対象となり、悪質な場合には社名公表に至る可能性もあります。

しかし、ハラスメント放置によるリスクは、法的責任にとどまりません。
職場の雰囲気が悪化し、従業員のメンタル不調や休職・離職が増加すれば、生産性の低下や採用・教育コストの増大といった経営上の損失につながります。

また、ハラスメント問題がSNSなどを通じて外部に拡散された場合、企業イメージの毀損は避けられません。顧客離れや取引停止に発展する可能性もあり、ハラスメントは企業経営に直結する重要なリスクであると言えるでしょう。

だからこそ、ハラスメントが発生した際の対応フローをあらかじめ整備し、適切に運用できる体制を構築しておくことが不可欠なのです。

ハラスメント発生時の具体的な対応フロー

社内でハラスメントが発生してしまった時、対応は以下のフローにのって行うとよいでしょう。

  1. 相談の受付

  2. 事実確認

  3. 措置の検討・実施

  4. 再発防止策

それぞれについて、詳しく説明します。

相談の受付

まず、相談者が安心して話せる環境を整え、信頼関係を築きます。

そのために、

  • プライバシーを保護すること

  • 相談によって不利益な扱いは受けないこと

  • 今後の対応の流れ

について相談者に伝え、同意を得ます。

プライバシーの保護について、相談内容や個人的な情報を、最小限の範囲で共有し、むやみに吹聴しないことを約束します。また、相談を理由に解雇や異動など、不利な状況に置かれることはないと明確に伝えます。さらに、これからどのように進むのか、大まかにステップを説明し、相談者の同意を得ます。

なお、相談内容は客観的な記録を心がけましょう。ハラスメント対応では、過去の面談記録や勤怠データとの照合が不可欠です。健康管理システム「ハピネスパートナーズ」を活用すれば、健診結果や面談記録、ストレスチェックの結果を一元管理でき、事実確認の精度とスピードを向上させることが可能です。

では、具体的な記録方法についてお話します。

まずは、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を分かる範囲でひかえておきます。また、主観的な感情が混じった言葉でなく、具体的にどのようなハラスメントがあったのかを記載しましょう。相談者の感情は、「ひどく傷ついている様子だった」などと、客観的な所見としてメモします。

記録は施錠できる場所に保管し、アクセスできる担当者を限定することが重要です。

この相談の際に、相談者を評価・批判することや、安易な同調や約束をすること、犯人を探したり、憶測で話したりすることは避けるほうがいいでしょう。

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事実確認

事実確認では、中立的な立ち位置で丁寧に話を聞き、公平な調査を進めていくことを心がけます。

情報収集の順番としては、

  1. 相談者

  2. 行為者

  3. 第三者

の順番で進めるのが原則です。この順番は、手続の公正性を守るための配慮であり、デュープロセスの観点からも重要です。

対応の注意点として、複数名の担当者をつけて主観的な判断が混ざるのを防ぐのが良いです。関係者は個別に事実確認し、同席は避けます。また、事実確認で得た情報は、調査担当者以外には絶対に守秘しましょう。

では、順にみていきましょう。

相談者への事実確認

まず、相談者に改めて詳細な事実関係を確認します。争点(日時・場所・言動の内容)影響(就業環境への支障)、調査範囲を明らかにし、記録します。できれば、ハラスメント行為があった時に、周囲にだれがいたかまで聴取できればよいでしょう。

行為者への事実確認

次に、相談者の主張内容を具体的に伝え、行為者の話を聞きます。この時、尋問や詰問にならないように、中立的な態度での質問を心がけましょう。

具体的には、次のように質問をするとよいでしょう。

〇月〇日に、〇〇さんとのやり取りの中で「△△」と受け取られる発言があったとされていますが、そのような発言を行った認識はありますか。その際、どのような考えや状況のもとで、その言葉を選んだのかを教えてください。その発言や態度が、相手の受け止め方や心理状態にどのような影響を及ぼした可能性があるとお考えでしょうか。

第三者への事実確認

最後に、当事者間で主張が食い違う場合など、必要に応じて第三者からも話を聞きます。周囲の同僚や、近い上司・部下などから、客観的な情報を集めます。

既知のやり取りを見たり聞いたりしたことはあるかと、事実を尋ねていく形式が望ましいです。

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措置の検討・実施

ハラスメント行為が事実として認定された場合には、就業規則に定められた懲戒規定に基づき、適切な措置を検討・実施します。

処分内容は、行為の悪質性や継続性、被害の程度、加害者の立場や役職などを総合的に考慮し、段階的に判断することが原則です。

以下に、一般的な懲戒処分の内容を紹介します。

  • 戒告・注意

口頭または書面による厳重注意です。初回の事案や比較的軽微な言動、悪意が小さいと判断される場合に選択されることが多く、再発防止のための指導や研修受講と併せて行われることもあります。

  • 譴責

始末書の提出を求める処分です。本人の責任を明確にし、事案を記録として残すことを目的とします。

  • 減給

一定期間、賃金の一部を減額する処分です。労働基準法第91条により、「1回の減給額は平均賃金の1日分の半額まで」「総額は1賃金支払期における賃金総額の10分の1まで」という制限があります。

  • 出勤停止(自宅待機)

一定期間の就業を禁止する措置で、無給または一部賃金支給とされる場合があります。被害者との物理的・心理的分離や、事実関係が確定するまでの暫定措置として用いられることもあります。

  • 降格・降職

管理職から外す、または役職を引き下げる処分です。パワーハラスメント事案では特に選択されることが多い措置とされています。

  • 配置転換

懲戒処分そのものではありませんが、再発防止措置として懲戒処分と併用されることがあります。原則として被害者保護を目的とし、被害者側に不利益が生じないよう十分な配慮が必要です。

  • 懲戒解雇

極めて悪質な場合に限り選択される処分です。暴行や性的強要、重大な人格侵害、長期または反復的な行為などが該当します。社会的相当性および客観的合理性が強く求められるため、適用のハードルは非常に高いとされています。

なお、懲戒処分は就業規則に明記されていることが前提となり、規定のない処分を行うことは原則として認められません。また、手続の公正性を確保するため、いわゆるデュープロセス(適正手続)を遵守し、事実認定や判断過程については必ず記録を残すことが重要です。

また、軽微な行為に対し、重い処分を下すと、法的に無効となる可能性があります。

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再発防止

ハラスメント問題は、懲戒処分を行えば終わりというものではありません。

個々の事案への対応だけで完結させるのではなく、ハラスメントが生じにくい組織文化そのものを醸成していくことこそが、企業に求められる本質的な責任です。

そのためには、ハラスメントに対する理解や問題意識を、組織全体で継続的に共有していく必要があります。中でも重要なのが、定期的な研修の実施です。研修は一律の内容ではなく、管理職と一般従業員など、立場や役割に応じた内容を設計することが求められます。

「指導」と「ハラスメント」の線引きは難しいと感じられることもあります。厚生労働省の定義によれば、職場におけるパワーハラスメントは以下の3つの要素をすべて満たすものとされています。

一つ目は、優越的な関係を背景とした言動であること。

二つ目は、業務上必要かつ相当な範囲を超えていること。

三つ目は、その結果として労働者の就業環境が害されていることです。

特に管理職は、一般従業員に対して優越的な立場にあるため、意図せずこれらの要件を満たしてしまうケースがあります。そのため、研修では抽象的な説明にとどまらず、具体的な事例や場面を示しながら理解を深めることが効果的です。

また、一方的に話を聞くだけの受動的な研修では、内容が定着しにくい傾向があります。受講者に問いかけを行ったり、グループディスカッションを取り入れたりするなど、参加型の研修とすることで、実践的な理解が促されます。

研修に加えて、「ハラスメントを許さない」という企業としての姿勢を、継続的に社内へ発信していくことも重要です。

ハラスメントに対する会社の考え方や、就業規則に定められた懲戒の位置づけについては、社内報などの媒体を活用し、繰り返し周知していきましょう。あわせて、匿名性を確保した定期的な調査を実施し、職場の実情や潜在的な課題を把握する取り組みも、再発防止には欠かせません。単なるアンケートではなく、エムスリーヘルスデザインの「職場のストレスチェック+plus」の集団分析を活用しましょう。部署ごとのリスクを可視化し、心理士による具体的なコメント付きレポート(アナリストレポート)を受け取ることで、ハラスメントが発生しやすい組織の「歪み」を科学的に特定し、ピンポイントで対策を講じることができます。

定期的な情報収集には、相談窓口を設置することも重要です。なお、社内に相談窓口を置くだけでは、従業員が「人事や上司にバレるかも」と萎縮し、潜在的な問題を見逃すリスクがあります。エムスリーヘルスデザインのEAPサービスを「外部相談窓口」として活用すれば、匿名性が担保されるため、ハラスメントの早期発見率が飛躍的に高まります。

こうした継続的な取り組みの積み重ねが、ハラスメントの再発を防ぎ、誰もが安心して働ける職場環境の実現につながっていきます。

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専門家への相談—―ハラスメントから社員の心を守る

自社内だけで解決しようとすると、中立性の担保や専門知識の不足から二次被害を招く恐れがあります。そこで有効なのが、外部の専門機関の活用です。ハラスメントの発生を認めたとき、専門家への相談を並行して行うことも、社員のメンタルヘルス不調を防ぐために重要です。

この場合、外部EAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)などのサービスを用いるとよいでしょう。ここで、おすすめなのがエムスリーヘルスデザインのEAPサービスです。

エムスリーヘルスデザインが提供するEAPは、専門家によるカウンセリングと人事・産業医との連携を組み合わせ、従業員一人ひとりの悩みを早期にケアしながら、職場全体の活力と定着率を高める仕組みです。

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主なサービス内容

  • 専門家によるカウンセリング:

公認心理師などの資格を持つカウンセラーが、従業員の相談に丁寧に対応。

安心して話せる場を提供し、問題の早期解決をサポートします。

  • 人事・産業医との協働体制:

個人対応だけで終わらせず、企業の課題を踏まえた職場環境の改善へと発展させます。

  • ストレスチェックとの連動:

法定制度と連携し、高ストレス者への面談支援から職場改善までを一貫サポート。

ストレスチェック後のフォロー体制を強化します。

EAP導入による効果

企業にとって最も重要な資産は「人」です。

EAPを導入することで、次のような成果が期待できます。

  • 離職防止と定着率の向上

  • 生産性・モチベーションの改善

  • 企業ブランド価値・信頼性の向上

  • 予防と早期対応を支えるEAPの力

エムスリーヘルスデザインでは、「予防」と「早期対応」に特化したEAPサービスを展開しています。官公庁や企業での研修実績を持つ専門スタッフが、以下のような実践的な内容で健康経営の推進をサポートします。

  • 人事・管理職向け

専任の心理士が職場環境や人間関係に関する課題を分析し、改善提案を行うことで組織全体の健康度向上を支援

  • メンタル不調を抱えながら勤務する従業員向け

カウンセリングを通じて寄り添った支援を実施。ストレスチェック後の分析結果を活用し、ラインケア・セルフケア両面の研修も提供します。

充実したサポート体制

  • メンタル以外の相談も可能(ご契約プランに応じた回数設定が可能です。詳細はお問い合わせください)

  • 専門家(臨床心理士・公認心理師・EAPコンサルタントなど)による直接対応

  • 必要に応じた医療機関や専門機関への紹介

  • 大阪・京都エリアでは訪問対応にも対応

  • 職場復帰支援もトータルで対応

  • 復職支援に向けた本人・主治医・家族・人事担当者との連携

  • カウンセリングによる心理的サポート

  • 上司・人事・本人を交えた復職前面談の調整

  • 復帰後のフォローと再発防止のための助言

従業員の健康を守ることは、企業の持続的成長を支える最良の投資です。

エムスリーヘルスデザインのEAPサービスとともに、心と組織がともに健やかに成長する職場を目指しませんか。

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職場のストレスチェック+plusで高ストレス者の把握を

また、エムスリーヘルスデザインでは、集団分析まで対応し職場改善に繋げやすいストレスチェックの委託サービスも行っています。

ハラスメントの発生を察知するために、ハラスメントの有無を探るアンケートと並行して、社員のメンタルヘルス不調の有無をチェックしましょう。

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臨床心理士など専門資格を持つスタッフによるアフターフォローがオプションで利用可能。実施後のケアまでしっかりサポートします。

そのほかの充実機能

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