健康診断ではバリウム検査を行うこともできますが、従業員は拒否することができます。なぜ拒否できるのかや従業員にバリウム検査を拒否された場合の事業所側の対応、さらにそもそもバリウム検査とは何を調べるものなのかなどを解説します。従業員にバリウム検査を拒否されて対応に困っている事業所の担当者様は是非ご覧ください。「健診業務の負担を減らすには?DXツールの成功事例」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移しますバリウム検査とはバリウム検査は、胃や食道、十二指腸の状態をX線を使って調べる検査であり、35歳以上の従業員の定期健康診断に含まれます。バリウムという造影剤を飲み、X線を当てることで粘膜の異常や病変を確認します。胃の疾患は初期症状が少ないことが多いため、早期発見が重要になります。バリウム検査は、胃の内部を可視化するための非侵襲的な方法であり、簡便に実施できます。主に胃がんや胃潰瘍、ポリープなどの早期発見に役立ち、日本では健康診断の一環として広く行われています。「そのまま使える受診勧奨&受診報告フォーマット」資料ダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移しますバリウム検査で診断できることバリウム検査では、以下のような疾患や異常を発見することができます。胃がん胃がんは、日本人に多いがんの1つです。初期の段階では自覚症状がほとんどないことが多いため、バリウム検査で早期発見することが重要です。ただし、バリウム検査だけでは確定診断ができないため、異常が見つかった場合は胃カメラ(内視鏡検査)による精密検査が必要になります。胃潰瘍・十二指腸潰瘍胃の粘膜に傷ができる疾患で、進行すると痛みや出血を伴うことがあります。原因としては、ピロリ菌感染やストレス、過剰なアルコール摂取、刺激物の摂取などが挙げられます。バリウム検査では、潰瘍の形や位置を確認できます。ポリープポリープは、胃の粘膜にできる良性の腫瘍ですが、一部はがん化する可能性があります。バリウム検査ではポリープの有無を調べることができます。その後、必要に応じて内視鏡検査でポリープの形状・大きさを詳しく調べ、ケースによってはポリープの一部を切除し悪性所見の有無を調べます。逆流性食道炎食道と胃の境目が緩んで胃酸が逆流することで、食道の粘膜が炎症を起こす疾患です。胸焼けや喉の違和感を感じることが多く、慢性化すると食道がんのリスクが高まります。食道裂孔ヘルニア胃の一部が横隔膜を越えて食道側に飛び出してしまう状態を指します。これが原因で逆流性食道炎を引き起こすこともあります。バリウム検査の方法バリウム検査の方法を、流れに沿って紹介します。「健康診断事後措置で抑えるポイント」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します事前準備検査の前日は、消化に良い食事を摂ることが推奨されます。そして検査当日は絶食が必要です。水やお茶は飲める場合もありますが、指示に従いましょう。バリウムの服用まず、胃を膨らませるために発泡剤(炭酸)を飲みます。結果、胃の内壁が広がり検査の精度が向上します。次に白い液体のバリウムを飲みます。バリウムは重く、胃の粘膜に均等に広がることで、X線画像が鮮明になります。体位変換検査台の上で、仰向け・横向き・うつ伏せなど、指示された体勢をとりながらバリウムを胃の中に行き渡らせます。体位変換を行うことで、バリウムにて胃の内壁全体を撮影できるようになります。X線撮影透視しながらX線撮影を行い、胃の形状や粘膜の異常を確認します。必要に応じて追加撮影を行う場合もあります。検査後の対応バリウムは体内に残ると固まりやすいため、検査後は水を多めに飲み、下剤を服用することが推奨されます。便が白くなることがありますが、バリウムが排出されている証拠なので心配ありません。もし便秘が続く場合は、医師に相談しましょう。バリウム検査と胃カメラの違いバリウム検査はしばしば胃カメラと比較されます。いずれも体内を調べるためのものですが、それぞれ異なる検査です。バリウム検査と胃カメラの違いは以下になります。バリウム検査胃カメラ検査方法バリウムを飲んでX線撮影口または鼻から内視鏡を挿入診断精度大まかな異常を発見しやすいより詳細な診断が可能痛み・負担比較的負担が少ない嘔吐反射が起こることがある追加処置生検(組織採取)不可生検やポリープ切除が可能検査後の影響バリウム排出のため下剤が必要のどの違和感や軽い出血の可能性バリウム検査は比較的短時間で済むため手軽に体内を検査したい場合に適しています。一方、胃カメラはピロリ菌感染のチェックや組織採取が必要になり、より詳細な診断を希望する場合や慢性的な胃痛や逆流性食道炎の症状がある人におすすめです。「健診業務の負担を減らすには?DXツールの成功事例」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移しますバリウム検査は拒否できる?結論からお伝えすると、企業の健康診断において、従業員はバリウム検査を受ける義務はありません。法律では定期健康診断の実施が義務付けられていますが、胃の検査は定期健康診断の必須項目に含まれていません。定期健康診断では以下の11の項目が必須項目として定められています。既往歴及び業務歴の調査自覚症状及び他覚症状の有無の検査身長、体重、腹囲、視力、聴力の検査胸部エックス線検査及び喀痰検査血圧の測定貧血検査(血色素量、赤血球数)肝機能検査(GOT、GPT、γ-GT(γ-GTP))血中脂質検査(血清トリグリセライド、HDLコレステロール、LDLコレステロール)血糖検査(空腹時血糖またはHbA1c)尿検査(蛋白及び糖)心電図検査バリウム検査が必須のケースバリウム検査は、協会けんぽから補助金が出る「生活習慣病予防健診」の必須項目です。35歳以上が対象ではありますが、受診義務はありません。しかし生活習慣予防健診と健康診断が混同されて「35歳以上はバリム検査が義務で拒否できない」イメージが広がっていると思われます。繰り返しになりますが生活習慣予防健診は義務ではありません。しかし企業側が定期健康診断の代替として生活習慣予防検診の一般健診を受診させる場合は従業員は拒否できません。また、この場合のバリウム検査を含めた生活習慣予防検診の費用は全額企業負担となります。バリウム検査を拒否する社員がいる理由バリウム検査を拒否する社員がいる理由として、バリウム検査にデメリットがある点、バリウム検査を受けない方が良いとされる人がいることが挙げられます。ここではそれぞれについて、詳しく解説していきましょう。「そのまま使える受診勧奨&受診報告フォーマット」資料ダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移しますバリウム検査のデメリットバリウム検査のデメリットとして、以下が挙げられます。検査後に便秘になりやすい異常があっても確定診断できない検査時に苦痛を感じることがあるX線による被ばくリスクがある味が苦手な人もいる予約や検査後の管理が面倒それぞれについて、詳しく解説していきましょう。検査後に便秘になりやすいバリウムは体内で固まりやすい性質があるため、検査後に排出しないと便秘を引き起こす可能性があります。特に水分を十分に摂らないと、腸内で硬くなり、ひどい場合は腸閉塞のリスクもあるため注意が必要です。異常があっても確定診断できないバリウム検査では、胃の粘膜の異常を発見できますが、確定診断ができるわけではありません。例えば、がんやポリープが見つかった場合でも、良性か悪性かは判断できないため、結局追加で胃カメラ(内視鏡検査)が必要になることがあります。検査時に苦痛を感じることがあるバリウム検査では、検査台の上で何度も体勢を変える必要があるため、高齢者や体が不自由な人にとっては負担が大きいことがあります。また、発泡剤(炭酸)を飲むと胃が膨らんでゲップをしたくなりますが、ゲップをすると検査の精度が落ちるため、我慢しなければなりません。X線による被ばくリスクがあるバリウム検査ではX線を使用するため、ごくわずかですが被ばくのリスクがあります。特に、妊娠中の方は胎児への影響が懸念されます。味が苦手な人もいるバリウムはドロッとした液体で、独特のチョークのような味がします。飲みやすく改良されたものもありますが、それでも苦手に感じる人が多いです。予約や検査後の管理が面倒自らで予約を行う手間がかかる点に加え、バリウムを完全に排出するまで気をつけなければならないなど「検査以外」の面で手間がかかります。バリウム検査を受けない方がいい人は?過去にバリウム検査を受けて気分がすぐれなくなった経験がある人、上手く排出できないことでトラブルが発生した人は胃カメラに切り替えた方が良いでしょう。また以下の既往歴がある場合、要経過観察や精密検査の指示が出る可能性が高くなるので、この場合も胃カメラへの切り替えがおすすめです。胃の切除手術経験者胃や十二指腸の病気の治療中、あるいは経過観察中妊娠中や妊娠の可能性がある過去のバリウム検査でトラブルが起きた脳の疾患がある場合転落・転倒リスクがあって立位の保持が難しい場合大腸疾患・手術経験者腎臓・心臓の病気で水分制限しなければならない人バリウム検査受診の可否が分からない場合は詳しくは担当医に相談してみましょう。バリウム検査受診拒否への対応バリウム検査や胃カメラなどの法定外項目に関しては、受診の義務はありません。そのため、仮に従業員が法定外項目の検査を拒否したとしても、会社側が再受診を求めたり、産業医が個別対応を行ったりする必要は基本的にありません。まとめバリウム検査に関しては企業側で特別な対応は不要ですが、バリウム検査が含まれる定期健康診断の受診は義務であり、全ての常時使用雇用する従業員に受診してもらう必要があります。さらに特殊健康診断だと健康診断の対象者の条件が複数あり、対象者の抽出も手間がかかります。そんな課題に対して、健康管理システム「ハピネスパートナーズ」を活用すれば、従業員データに特殊業務歴など健康情報を紐づけることがでるので、対象者の抽出も容易で、一括で受診勧奨も行えます。煩雑な産業保健業務の効率化を考えている方は「ハピネスパートナーズ」の導入をぜひご検討ください。健康管理システム「ハピネスパートナーズ」資料をダウンロードする