新卒社員の離職率の実際
新たに採用された新卒社員は、3年で3割離職し、全体の7割まで減るというデータがあります。
また、新卒社員の離職率は中小企業で高く、また、業種としてはサービス業で高いことが統計的に知られています。
この記事では、どのような会社で新卒社員が辞めやすく、新卒社員の定着率を上げるための方法にはどのようなものがあるのかを解説します。
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関連記事:
「第二新卒がすぐ辞める」を転機に―納得のキャリア再構築と離職を防ぐ組織術
【社員の退職引き止め】適切な対応とは?残ってほしい社員への伝え方
参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00010.html
新卒社員が辞めるデメリット
新卒の早期離職は「1人減る」だけの問題ではありません。
実際には、組織全体に連鎖的な損失を生みます。
ここでは、なぜ「定着」が経営課題になるのかを説明します。
採用コストが回収できない
新卒1人を採用するまでには、企業はすでに大きな投資をしています。
主な投資項目は次の通りで、企業規模にもよりますが、一般的に新卒1人あたり数十万〜100万円以上の採用コストがかかっています。
求人媒体費・紹介料
説明会運営費
面接工数(管理職・人事の時間)
内定フォロー
入社前研修
新人研修
新卒が1年以内に退職すると、その社員はまだ「利益を生む側」ではありません。
つまり投資回収前にプロジェクトが終了した状態になります。経営的には「回収不能な投資」となってしまうのです。
現場の生産性が大きく低下する
新卒が辞めると、育成がゼロからやり直しになります。
具体的には、OJT担当者の時間が再び奪われ、業務の引き継ぎと教え直しが発生します。
現場の人員計画が崩れて、繁忙期の戦力計算が狂うというのも重要なデメリットのひとつです。
新卒教育は、現場の「余力」を使って行われています。
そのため退職は単なる欠員ではなく、ベテランの生産性まで同時に下げます。
結果として、残業の増加やミスの増加、ひいてはクレーム増加に繋がる可能性もあります。
周囲の社員の離職リスクが上がる
いわゆる連鎖離職(ドミノ離職)が、見落とされがちですが、実は大きな損失です。
新卒が辞めると、現場では業務負担が周囲に分配され、指導していた先輩が疲弊します。
このため、新卒の離職は、中堅社員の離職リスクもはらんでいるのです。
新卒退職は、組織のキーパーソンのメンタル負荷を急上昇させます。
管理職の仕事が増える
新卒が辞めると、管理職の仕事は増えます。
具体的には次のような業務が増えます。
面談対応
人事報告書作成
退職理由ヒアリング
採用のやり直し調整
現場フォロー
そして最も大きいのは心理的負担です。
管理職自身が疲弊し、新卒に関与する仕事を避けるようになります。
結果として、指導が弱くなり、フィードバックが減り、若手が育たないという悪循環に陥る可能性があります。
会社の評判が下がり、さらに採用が難しくなる
現在の新卒採用では、学生は必ず企業の情報を調べます。
口コミサイトや、SNS、OB・OG訪問に、インターン情報などです。
ここで「新人がすぐ辞める会社」という評価が広がると、採用母集団の質と量が同時に低下します。
すると、採用難から人手不足となり、現場が疲弊してさらに退職者が出て、採用がさらに難しくなるという連鎖に陥ってしまう可能性があります。
これらが「定着率が経営課題」と言われる理由です。
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新卒社員が辞めやすい会社で起こっている特徴
入社前後のイメージの食い違い
採用時に抱いていた期待と、実際に働き始めてからの現場の様子に大きな差があると、社員は強い失望を感じやすくなります。
特に多いのは仕事内容に関するズレです。
想定していた業務内容と異なっていたり、希望していない部署へ配属されたり。また、いきなり責任の重い業務を任されることも新卒社員には重圧となりやすいです。
多くの求職者は「やりがい」や「仕事内容」への魅力を理由に入社を決めます。そのため、実務が想像とかけ離れている場合、入社の動機そのものが崩れてしまいます。
また、待遇面でもギャップは起こります。
給与や賞与の仕組みが思っていた内容と違う、福利厚生が制度として存在しても実際には使いにくいなどです。給与や賞与は生活の安定や会社への信頼に直結します。認識の違いがあると不信感が生まれやすくなります。福利厚生も同様で、「制度はあるが誰も利用していない」状態では、社員にとっては実質的に存在しないのと同じです。
このような期待との不一致が積み重なると、「この会社で働く意味」を見失い、退職の判断につながりやすくなります。
人間関係の問題
上司・先輩・同僚との関係性も、離職に大きく影響します。
新入社員は業務や職場環境に慣れておらず、不安が強い状態にあります。その中で相談や雑談ができない環境に置かれると、精神的負担は急激に高まります。
人間関係の課題はすぐに解決できないことが多く、本人にとって慢性的なストレスになります。
特にハラスメントが黙認されている職場では、長く働き続けたいと考える人は少なくなります。
なお、社員のストレスの度合いと周りのサポート状況は、ストレスチェックで客観的に観測ができます。
過重労働
残業の常態化や頻繁な休日出勤など、労働負荷が高い職場も離職率が上がります。
さらに、新人教育や雑務が労働時間として扱われないなどの扱いがあると、不公平感や不満が蓄積しやすくなります。
将来への不安
入社直後の社員にとって、会社や業界の先行きは重要な判断材料です。
将来像が見えない職場では、「ここでキャリアを積み続けてよいのか」という疑問が生じます。
業界自体の状況を変えることは難しくても、会社の方向性や育成方針、キャリアパスを明確に示すことで不安は軽減できます。
評価制度の不透明さ
評価には給与・賞与・昇進だけでなく、日常的なフィードバックも含まれます。
重要なのは評価の結果そのものではなく、「なぜその評価になったのか」が説明されているかどうかです。
基準が不明確で理由の説明がない場合、社員は「努力しても報われない」と感じやすくなり、モチベーションの低下を経て退職に結びつきやすくなります。
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新卒社員の定着率を上げるための「採用に関するコツ」
では、どのような対策をすれば新卒の定着率を上げることができるのでしょうか。
採用にまつわる手段は、次の通りです。
採用段階でのズレをつくらない
早期離職の多くは、能力や意欲の問題ではなく、業務内容や職場・人間環境などについての認識のズレが大きく関わっています。
求人票・会社説明会・面接で伝えられる内容と、実際の業務の現実が食い違うほど、社員は組織への信頼を失います。
そのため採用活動では、魅力だけを強調することが必ずしも得策とは言えません。
仕事の難しさ、忙しい時期、求められる姿勢、評価の基準なども含めて具体的に伝えることが重要です。
「厳しそうだ」と感じて辞退する応募者が出ることを恐れる必要はありません。
むしろ、その段階で離れる人は、入社後に辞めていた可能性が高い人材です。
現実を率直に説明する企業は、応募者にとって誠実な会社という評価につながり、結果的に定着率が上がります。
職場を体験させる機会をつくる
入社前の情報だけでは、仕事のイメージはどうしても抽象的になります。そこで効果的なのが、職場を実際に見せることです。
インターンシップや職場見学を通じて、職場の空気感や社員同士の関係性、忙しさの程度、仕事の進め方などを体感してもらうことで、応募者は「働く姿」を具体的に想像できるようになります。
ここで大切なのは、作り込んだ姿を見せないことです。普段通りの様子を見せるほうが、入社後のギャップは大幅に減ります。採用は、互いに「合うかどうか」を確認するすり合わせの場と捉えましょう。
選考を「対話の場」にする
面接が企業側の質問ばかりになると、応募者は評価される側に固定され、本音を出せません。
その状態で内定を出すと、入社後に「思っていた会社・仕事とは違う」という事態が起こります。
選考では、一方的な確認ではなく対話を重視してください。応募者の価値観、働き方の希望、不安点を引き出すことで、適性の見極めが可能になります。
必要であれば、内定前に追加面談や座談会を設けるのも有効です。採用段階での理解の深さは、そのまま入社後の定着に直結します。
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新卒社員の定着率を上げるための「社内での対応のコツ」
新卒の定着率を上げるには、採用の時点で厳重なすり合わせをすることが大事です。そして、入社後もできる限り離職リスクを減らすためにできることがあります。順に見ていきましょう。
オンボーディングを教育ではなく適応支援として設計する
新入社員は、仕事ができないことよりも「どう振る舞えばいいか分からない」ことに最もストレスを感じます。つまり問題は能力不足ではなく、適応の失敗です。
オンボーディングは単なる研修ではありません。会社のルール、人間関係、期待される行動を理解してもらうためのステップです。
オリエンテーション
OJT
メンター制度
定期フィードバック
これらを体系的に設計することで、新入社員は安心して行動できるようになります。
ポイントは「仕事を教える」と「組織に慣れさせる」を分けて考えることです。両方が揃って初めて、早期離職は減少します。
フォロー面談を仕組み化する
新入社員は、疑問や不安があっても自分から相談できないことが多いものです。
相談できない状態が続くと、孤立感が高まり、退職の意思が静かに固まっていきます。
これを防ぐために必要なのが、定期的な面談です。重要なのは「問題が起きたときに呼ぶ面談」ではなく、予定された面談にすることです。
面談は2系統に分けると効果的です。
直属上司の面談:業務上の課題、習熟度、困っている仕事を確認する
人事の面談:人間関係、職場の雰囲気、ギャップ、不満を確認する
この二つを分けることで、新入社員は本音を話しやすくなります。
継続して面談の機会を設けることは、離職の徴候を早期に掴む手助けになります。
キャリアの見通しを示す
若手社員が離職を決意する大きな理由の一つは、将来像が見えないことです。
また、いわゆるZ世代などの若い世代こそ、「この会社にいて成長できるのか」が判断材料になります。
入社直後からキャリアの話を行いましょう。目標設定シートや面談を通じて、将来どのような役割を担うのか、必要なスキルは何か、いつまでに何ができればよいのかを具体的に共有します。
将来が描ける環境を整えることは、社員が組織に留まる大きな動機付けとなります。
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働き続けられる環境を整える
定着は個人の忍耐ではなく、環境の問題です。特に影響が大きいのは次の4点です。
コミュニケーション:
日常的な声かけや相談しやすい雰囲気は、心理的な安全性を生みます。
新人ほど「質問してよいのか」で悩んでいます。
労働時間:
慢性的な長時間労働は、モチベーション低下より先に退職の検討を引き起こします。
離職は疲労の結果ではなく、将来への不安の結果です。
評価制度:
評価の基準が不明確な組織では、努力の方向が分からず意欲が低下します。
公平性よりも「納得感」が重要です。
管理職の関わり方:
部下の定着は、直属上司の影響を最も強く受けます。
管理職への教育を充実させることは、企業の安全配慮義務を果たす上でも、また離職対策を推進する上でも極めて重要な施策です。
なお、ストレスチェックを分析すると、仕事そのものの負荷がどの程度か、職場・家庭を含め周囲のサポートがどの程度あるかを含めた、本人の負荷レベルを客観的に知る一助となります。
関連記事:新卒の健康診断ガイド|費用は誰持ち?検査項目や内定取り消しの可否、異常値が出た時の対応方法も解説
第三者の相談窓口を用意する
職場内では話せない悩みも存在します。ハラスメント、人間関係、メンタル不調などは、社内では相談されにくい問題です。
そのため、外部の相談窓口を設けることは大きな意味を持ちます。
外部EAPなどの第三者機関の存在は、実際の相談件数以上に、社員の安心感を高めます。
これらのサービスを導入することで、問題の早期発見や適切な対処を促し、休職や退職のリスクを低減させる一助となります。自社だけで解決しようとすると、かえって本音が隠れてしまうリスクがあります。そこで、40年の実績を持つ専門機関による客観的な支援が不可欠となります。例えば、エムスリーヘルスデザインのEAPがおすすめです。
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職場改善にはエムスリーヘルスデザインのEAP
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まず、人事・管理職の方々には、専任の心理士が企業や組織の環境改善について具体的な提言を行います。さらに、メンタル面に課題を感じながら働く従業員に対し、専門家とのカウンセリングを通じて心の健康維持や早期の適切な対応をサポートします。
また、ストレスチェック後の集団分析結果や現場の課題を踏まえた研修プログラムも提供。ラインケアに特化した内容はもちろん、セルフケアまで幅広くカバーします。企業・官公庁での豊富な研修実績を持つスタッフが、最適な内容で健康経営を力強く支援します。
また、ストレスチェック委託と併用もできます。エムスリーヘルスデザインのEAPサービスでは、メンタル不調の予防と早期対応に特に力を入れています。
提供サービスの概要
専門家による相談対応:
公認心理師など資格を持つカウンセラーが、従業員の相談に応じ、安心できる支援を行います。
人事・産業医との協働:
個人対応にとどまらず、職場環境の改善へとつなげる仕組みを構築。
ストレスチェックとの連動:
制度導入後の高ストレス者面談や職場改善まで一貫してサポートします。
充実したサポート体制
メンタルヘルス以外の問題も回数無制限で相談可能
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必要に応じて適切な専門機関へ紹介
大阪・京都エリアでは訪問対応も可能
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本人へのカウンセリング
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集団分析まで行える「職場のストレスチェック+plus」で新卒が定着する土壌を育む
職場のストレスチェック+plusでは、メンタルヘルス不調による休職や離職のリスク低減をサポートし、さらには従業員が就労継続をしたいと望むような組織の土壌づくりをサポートします。
なお、ストレスチェックは今まで50人未満の事業所では努力義務でしたが、厚生労働省の検討会において、50人未満の事業場についてもストレスチェック実施を義務付ける方針が示されました。今後、段階的な法改正が行われる可能性があるため、早期の準備が推奨されます。
参考:厚生労働省「第21回 労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に関する検討会 資料」https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000106347_00010.html
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