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公開日:

2026/03/12

更新日:

2026/03/12

中途採用の定着率を上げる対策ガイド|離職原因の分析から職場改善まで解説

上田莉子(産業医)

中途採用の定着率を上げる対策ガイド|離職原因の分析から職場改善まで解説

中途採用者の長期定着を目指して

会社の人事において、

「中途採用の職員が、採用してすぐに辞めてしまった」

「即戦力として中途採用を雇ったが、なかなか会社に定着せず離れてしまう」

という苦い経験はありませんか。

厚生労働省の調査によれば、新規学卒者の3年以内離職率は大学卒で約3割に達します。

一方で、中途採用者については同様の公式な統計は存在しません。

公式な統計データは存在しませんが、中途採用者においても一定の割合で離職が発生しているのが実情です。

中途採用者は新卒とは求められているスキルやコミュニケーションが異なることが知られます。

このため、中途採用者の離職については、新卒の離職とはまた違う角度で原因を探る必要性がありそうです。

中途採用者が離職せずに、長く就業を継続するには、どのような対策が有効なのでしょうか。

中途採用者が定着しない原因と、その対策について解説します。

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参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00010.html

中途採用者の離職原因の2つの側面

中途採用者が離職する原因には、大きく分けて、

  • 就労条件や就労環境など企業と本人の就労に関する想定のギャップによる側面

  • オンボーディング不足の側面

があります。

順に説明します。

就労に関する想定の企業・従業員ギャップを狭める

想定していた職場環境や給料とのギャップが小さいと、中途採用者の定着は進みます。

では、どのような項目でイメージのギャップや、相互間でのミスマッチが生まれやすいのでしょうか。ざっと挙げてみると、次の通りです。

  • 雇用条件

  • 適性

  • 企業理念

  • 仕事内容

  • 社風

  • 人間関係

  • 業務量

これらのギャップを狭めるためには、採用段階で仕事の現実をなるべく詳しく伝えることが重要です。

これは「RJP(現実に即した情報提供)」と呼ばれる手法です。入社前にあえて「仕事の厳しさ」を含めた現実を伝えることで、入社後のミスマッチを劇的に減らす効果が実証されています。

また、入社前に仕事の現実を伝えることは、従業員の期待の調整を通じて、離職率を低下させる要因となるという報告もあります。

では、具体的にどのような仕事内容の開示をすると効果的かを解説します。

求人段階で企業理念を伝える

企業の価値観や理念を重視する組織では、理念への理解不足が早期離職の原因になることも少なくありません。

そのため、求人情報の中に企業理念を紹介する項目を設け、あらかじめ企業の考え方を伝えておくことが重要です。

また、求人媒体によっては「トップメッセージ」を掲載できる機能があります。

経営者や代表者が直接メッセージを発信することで、企業の方向性や大切にしている価値観を求職者に伝えやすくなります。

理念に共感した人材から応募を集められるため、結果的に価値観のズレによる離職を減らす効果が期待できます。

採用サイトで理念や価値観を深く説明する

求人広告だけでなく、自社の採用サイトや企業ホームページも重要な情報発信の場です。

求人広告は掲載スペースに制限がありますが、採用サイトであれば

  • 企業理念

  • 事業の方向性

  • 社員の働き方

  • 職場の雰囲気

などを詳しく紹介することができます。

理念や価値観を丁寧に説明することで、企業の考え方に共感した人材が応募しやすくなり、入社後の離職防止にもつながります。

複数の年収モデルを提示して給与イメージを明確にする

採用時のイメージとのギャップのなかでも多いのが、待遇に関する認識のズレです。入社後に「思っていたより収入が伸びない」と感じると、早期離職につながる可能性があります。

このような誤解を減らすためには、求人情報の給与欄に具体的な年収モデルを掲載する方法が効果的です。

例えば、複数のキャリアごとで、入社1年目、3年目、5年目…と平均的な年収例を提示しておくと、求職者は将来的な収入の見通しを具体的にイメージできます。

将来の報酬水準に納得したうえで応募してもらえるため、結果として入社後の不満や離職リスクを減らすことにつながります。

仕事内容はできるだけ具体的に伝える

「思っていた仕事と違う」という不満は、早期離職の大きな要因の一つです。

この問題の多くは、求人情報における仕事内容の説明が十分でないことによって起こります。

業務内容を簡単に紹介するだけでは、実際の働き方をイメージするのは難しいため、以下のような情報をできるだけ具体的に記載することが重要です。

  • 1日の業務の流れ

  • 担当する業務量

  • 商品・サービスの特徴

  • 顧客層

  • 関わる社内外のメンバー

仕事内容を詳細に示すことで、応募者が仕事の実態を理解しやすくなり、入社後の想定とのギャップを減らすことができます。

社風や職場の雰囲気を事前に共有する

会社の文化や職場の雰囲気も、定着率に大きく影響する要素です。

例えば、

  • 社内イベントが多い職場

  • 飲み会が活発な文化

  • 社員旅行が恒例になっている会社

などは、人によって魅力にも負担にもなります。

そのため、どのような職場環境なのかを求人段階で伝えておくと、価値観の合う人材からの応募が集まりやすくなります。

また、企業文化や職場の空気感は、文章だけでは十分に伝わらないこともあります。

そこで有効なのが、写真や動画の活用です。

例えば、オフィスの様子や社員の働く姿、ミーティングの風景などを視覚的に紹介することで、求職者は職場の雰囲気をより具体的にイメージできます。

視覚情報を活用した採用広報は、企業理解を深めるだけでなく、入社後の想定とのギャップを防ぐ手段としても有効です。

採用基準を再検討する

採用した人材が期待通りに力を発揮できず、結果的に離職してしまう場合は、採用基準そのものが適切でない可能性があります。

まず重要なのは、活躍できなかった原因を整理することです。その際には、次の2つの観点に分けて考えると整理しやすくなります。

  • 経験・知識・資格・スキルなどの能力面

  • 性格や価値観などのパーソナリティ面

例えば、業務によっては「指示に沿って丁寧に進める力」が求められる場合もあれば、「自ら考え行動する主体性」が重視される場合もあります。

このような価値観や行動特性の適合度も採用判断の重要な要素です。

実際にその職種で活躍している社員の意見も参考にしながら、求める人物像を改めて整理することで、採用後の定着率改善につながる可能性があります。

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参考:

Journal of Applied Psychology「Effects of a realistic job preview on job acceptance, job attitudes, and job survival.」
https://psycnet.apa.org/record/1974-28832-001

Journal of Applied Psychology「A meta-analysis of realistic job preview experiments.」https://psycnet.apa.org/record/1986-10593-001

「採用したら終わり」ではない、オンボーディングの重要性

オンボーディング(onboarding)とは、新しく組織に入った人が職場や仕事にスムーズに適応できるようにするための一連の支援・教育のことです。

もともとは「船や飛行機に乗る(on board)」という意味で、そこから 「組織の一員として迎え入れるプロセス」という意味で人事・組織マネジメントで使われています。

オンボーディングがうまくいくと、早期離職を防げる、職場へのエンゲージメントが高まる一方で、逆にオンボーディングが弱いと「入社前の期待とのギャップ」が開き、早期離職につながりやすいと言われています。

成功するオンボーディングは

  • Compliance(コンプライアンス)

  • Clarification(役割の明確化)

  • Culture(組織文化)

  • Connection(人間関係)

の4要素で構成されるとされています。

多くの会社が、コンプライアンス、役割の明確化、組織文化についてのオンボーディングはこなしているのですが、人間関係まで支援することは難しいとされています。人間関係の円滑化を図ることは、中途採用者の心理的安全性を高め、定着率向上に向けた土壌づくりに大きく寄与します。

では、中途採用者の人間関係について、どのようにオンボーディングをすれば定着率が上がるのかを解説します。

メンター制度の導入

新しく入社した社員をサポートする仕組みとして、メンター制度を導入している企業があります。

先輩社員が相談役となることで、業務だけでなく職業生活における不安も共有しやすくなります。

こうした支援体制は、新入社員が「組織に受け入れられている」と感じるきっかけになり、定着率向上に寄与します。

上司との定期的な面談

中途入社者の定着には、直属の上司との関係性が大きく影響します。

入社直後は環境に慣れるまで不安を抱えやすいため、定期的に面談の機会を設け、

  • 困っていること

  • 業務の不明点

  • 職場への適応状況

などを確認することが重要です。

一方的な指導ではなく、双方向のコミュニケーションを心がけることで、信頼関係を築きやすくなります。

人事や第三者との相談機会を設ける

直属の上司には相談しづらい悩みもあるため、人事担当者や第三者との面談機会を設けることも有効です。

上司以外に相談できる窓口があることで、心理的な安心感が生まれ、問題の早期発見にもつながります。

また、外部EAPサービスの導入を行うと、社員はより公平な立場で相談を行えます。

ハラスメント相談窓口の整備

安心して働ける環境を整えるためには、ハラスメント相談窓口の設置も欠かせません。

職場で問題が起きた際に、いつでも相談できる体制を整えておくことで、社員の不安を軽減し、離職の予防につながります。

職場内コミュニケーションを活性化する

中途入社者が孤立しないよう、周囲の社員が積極的に声をかけるなど、歓迎する雰囲気づくりも重要です。

小さな気配りや日常的なコミュニケーションが、職場への適応をスムーズにします。

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参考:SHRM Foundation's Effective Practice Guidelines Series「Onboarding New Employees: Maximizing Success」https://www.scribd.com/document/865611817/Onboarding-New-Employees-Maximizing-Success-pdf

EAPの導入で人間関係まで円滑化を

新しい職場に入った社員は、表面上は順調に働いているように見えても、内心では不安や戸惑いを抱えていることが少なくありません。

業務の進め方、暗黙のルール、周囲との距離感。分からないことがあっても「こんなことを聞いていいのだろうか」と迷い、誰にも相談できないまま時間だけが過ぎていくこともあります。

こうした小さな孤立は、やがて大きなストレスへと変わります。

最初は「少し疲れているだけ」と思っていた社員が、気づいたときには意欲を失い、離職を考え始めている。管理職としては、決して珍しい光景ではないでしょう。

もちろん、上司や人事が日頃から声をかけることは重要です。

しかし実際には、すべての悩みが職場の中で打ち明けられるわけではありません。上司には話しづらい問題や、プライベートに関わる不安もあるからです。

そこで近年、多くの企業が活用しているのが EAP(従業員支援プログラム) です。

EAPでは、社員が社外の専門家に匿名で相談できるため、職場では言いにくい悩みも安心して話すことができます。メンタルヘルスの不調に繋がる予兆への早期の気づきを促し、適切な専門相談機関の活用を支援します。

オンボーディングで人間関係を築き、日常のコミュニケーションで支える。

そして、職場だけでは受け止めきれない悩みを EAPという外部の相談窓口で補完する。それは結果として、定着率の向上や組織の安定にもつながっていくのです。

そこでおすすめなのが、エムスリーヘルスデザインのEAPサービスです。

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相談窓口だけじゃない、エムスリーヘルスデザインのEAPサービス

エムスリーヘルスデザインのEAPでは、以下のサービスを提供しています。

提供サービスの概要

  • 専門家による相談対応
    公認心理師など資格を持つカウンセラーが、従業員の相談に応じ、安心できる支援を行います。

  • 人事・産業医との協働
    個人対応にとどまらず、職場環境の改善へとつなげる仕組みを構築。

  • ストレスチェックとの連動
    制度導入後の高ストレス者面談や職場改善まで一貫してサポートします。

充実したサポート体制

  • メンタルヘルス以外の問題も回数無制限で相談可能

  • 専門家(国際EAPコンサルタント・臨床心理士・公認心理師など)が直接対応

  • 必要に応じて適切な専門機関へ紹介

  • 大阪・京都エリアでは訪問対応も可能

職場復帰支援も万全

事業場内のご担当者やご家族、主治医と連携し、円滑な職場復帰をサポートします。

  • 本人へのカウンセリング

  • 復職に向けた受け入れ態勢整備への助言・提案

  • 本人・上司・人事などを交えた復職前面談

また、エムスリーヘルスデザインのEAPは、単なる従業員向けの相談窓口にとどまりません。組織分析に基づき、人事・管理職に対して具体的な「職場改善の提言」を行うパートナーとして機能します。心理的安全性という抽象的な課題を、実効性のある施策へと昇華させます。

まず、人事・管理職の方々には、専任の心理士が企業や組織の環境改善について具体的な提言を行います。さらに、メンタル面に課題を感じながら働く従業員に対し、専門家とのカウンセリングを通じて心の健康維持や早期の適切な対応をサポートします。

また、ストレスチェック後の集団分析結果や現場の課題を踏まえた研修プログラムも提供。ラインケアに特化した内容はもちろん、セルフケアまで幅広くカバーします。企業・官公庁での豊富な研修実績を持つスタッフが、最適な内容で健康経営を力強く支援します。

また、ストレスチェック委託と併用もできます。エムスリーヘルスデザインのEAPサービスでは、メンタル不調の予防と早期対応に特に力を入れています。

従業員の健康を守ることは、組織の成長を支える最も確かな投資です。

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集団分析まで行える「職場のストレスチェック+plus」で中途採用社員が働きやすい土壌を育む

また、ストレスチェック事業を開始して30年以上、年間1,400社、約35万人の導入実績を誇るエムスリーヘルスデザインは、ストレスチェックの委託サービスを提供しております。職場のストレスチェック+plusでは、単に検査を行うだけではありません。ストレスチェックを有効に活用することで、離職防止の対策をどのように練ればいいのかの方向性が決まります。その結果を活かしてメンタルヘルス不調による休職リスクの早期発見と、迅速な対応を支援するために、公認心理師や臨床心理士などの専門家による実践的なアフターフォローを提供しています。結果を活かし、組織課題の把握や環境改善を通じて、働きやすい職場環境の構築を支援します。

主な支援内容は次の3つです。

アナリストレポート

経験豊富な心理職スタッフが、ストレスチェックの集計結果を分析し、課題に応じた改善プランを提案します。

また、安全衛生委員会などでのオンライン報告会にも対応しており、現場での共有・議論をスムーズに進めることができます。

単なる数値報告ではなく、経験豊富な心理士による「アナリストレポート」を活用することで、「なぜこの部署で離職検討者が多いのか」という核心に迫る分析が可能になります。現場のマネージャーが明日から何をすべきかまで落とし込むことが、組織的な離職防止施策を検討する上での、重要な判断材料となります。

オンラインセミナー

企業や官公庁での研修実績を持つ講師陣が、ヘルスリテラシー向上を目的とした教育プログラムを実施します。

内容は職場の課題に合わせてカスタマイズが可能で、たとえば次のようなテーマが人気です。

  • 職場メンタルヘルスと管理職の役割

  • ストレスマネジメントの基本と実践方法

  • EAPサービス(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)

心理・医療・産業分野の専門家チームが、従業員と組織の両面から健康を支える仕組みづくりを包括的にサポートします。

相談体制の整備や教育、意識啓発まで、継続的に支援を行います。

ストレスチェックは「実施すること」が目的ではありません。

結果をどう活かすかこそが、従業員の健康を守り、働きやすい職場をつくるための鍵です。

単なる受検で終わらせず、アナリストレポートまで取得することで、「組織のどこに弱点があるのか」を共有できる可能性があります。

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