辞職を望む社員に対し、どのような対応が適切か?部下が辞職の意を示している。できれば、会社としても、上司としても、その部下に会社を辞めてほしくない。こういった場合、どのような対応が適切なのでしょうか。可能な限り引き止めたいところですが、労働者の退職の自由を侵害するような過度な引き留めはご法度です。では、そもそも、どのように対応するのが適切でしょうか。一人の中核社員の離職は、採用・教育コストの損失だけでなく、周囲のモチベーション低下という連鎖反応を招きかねません。この記事では、個別の引き止め術(傾聴)から、二度と離職者を出さないための「選ばれる組織」への変革法までを解説します。「ワーク・エンゲイジメント いきいきした職場づくりの方策」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します関連記事:新卒社員の離職率を下げるには?採用のズレを防ぎ定着率を高める方法2026年版|若手社員の離職を食い止める!健康経営とD&Iの戦略的アプローチ 退職希望の社員に対応するためのポイント給料の支払いを伸ばす、退職届を受理しない、などの方法はもちろん法に触れます。ここでは、辞職を望む社員に対し、落ち着いて対応し、そもそも会社側が社員を「引き留めることができるのかどうか」、社員が「会社に残る選択肢があるのかどうか」をお互い検討するためにも必要な姿勢や話の手順について説明します。最初の目標は辞職希望の社員に「話してもらうこと」です。さて、順に解説します。最初の目標は「退職理由の真意を理解する」こと退職希望の社員と対するときは、双方の「歩み寄り」が大切です。これには、会社側が「退職の理由」をできるだけ正確に把握することが大切です。そのためには、できるだけ中立的な立場で退職したい理由を尋ね、かつ、それが建前としての理由なのか、本音なのかを見極める必要があります。そもそも、本音で語られた退職理由でなければ、どれだけ会社側から譲歩案や折衷案を出したところで的外れになってしまいます。会話から真意を引き出せなければ、辞職したい社員を繋ぎとめることは難しいでしょう。では、どのようにすれば本当の退職理由を社員から引き出すことができるでしょうか。聞き方のコツは、「傾聴」です。話し合いには「傾聴する」「尊重する」姿勢が大切社員の立場で感じたことや仕事に対する思いを引き出すためには、「傾聴すること」がキーワードになります。傾聴(けいちょう)とは、相手の話を評価や否定をせずに、理解しようとする姿勢で注意深く聴くことを指します。相手の感情や背景まで理解しようとして聴く姿勢が大切です。なお、退職したい社員との話し合いで、「議論すること」はできるだけ避けた方がいいでしょう。問題は「正しいかどうか」ではありません。社員が、社員の立場と考え方でどのように状況を受け止めて、退職という結論を導き出したかを知ることが必要なのです。本音を引き出し、譲歩や折衷のための案を提示して、最終的に社員を引き止めることを目指すのであれば、まずは「傾聴」です。傾聴にはいくつかの基本姿勢があります。相手の話を途中で遮らない: 途中でアドバイスしたり、結論を急がないことが大切です。まずは相手が話し切るまで聴くことが基本です。評価や否定をしない:「それは違うよ」「気にしすぎじゃない?」このような言葉は相手を閉じさせてしまいます。正しいかどうかではなく、相手の感じ方を受け止めることが重要です。相づちやうなずきをする:「なるほど」「そうなんですね」「それは大変でしたね」こうした反応があると、相手は安心して話し続けることができます。相手の感情に注目する:言葉の内容だけでなく、不安や怒り、悲しさなどの感情をくみ取ることが傾聴の大切な要素です。こうした傾聴の態度は、相手が安心して話せる環境をつくり、信頼関係を築くために必要な土台です。「ワーク・エンゲイジメント いきいきした職場づくりの方策」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します上司側が先に共感と同調をもって自己開示し、社員の発言を促す方法もでは、退職前に話し合いの機会を設けても社員がなにかを話す姿勢を見せてくれなかった時は、どのように辞職理由の本音を引き出せばよいのでしょうか。「心理的安全性」という言葉があります。Google社が実施した「プロジェクト・アリストテレス」という研究から使われるようになった言葉で、ざっくりと「会社をよりよくするためにチームの一員が発言しやすくするための職場風土」のことを指します。心理的安全性を高めると、社員が発言しやすくなります。これは、退職前の面談でも同様です。1対1の面談の場合、心理的安全性を高めるテクニックのうち「上司が弱さを先に出す」という手段が使えます。人は「安全そうな人」にしか本音を言いません。「この仕事、私も最初よく間違えた」「このシステム分かりにくいよね」「私も判断に迷っているから、意見がほしい」このように、共感を示す言葉や、権威を下げる言葉が効果的です。権威を下げることで、社員の発言が増える場合があります。「経営視点から紐解く アブセンティーイズムとプレゼンティーイズム」資料をダウンロードする※エムスリーグループのサイト(go100.jp)へ遷移します参考:Google re:Work「『効果的なチームとは何か』を知る」https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/introduction/「辞職の本音」が引き出せたら、いざ交渉へさて、最初の目標の「退職の真意」がつかめたら、まずは感謝、つぎはすり合わせです。今までの仕事に対しての評価の高さをシェアし、感謝を伝える傾聴が終われば、まず、社員が今まで会社に貢献してきたことに対して感謝を伝えましょう。いままでの仕事を「認める」というステップは、その後の円滑な交渉に向けた土台となります。優秀な人材ほど、本人は意識していなくても、承認され、適正に評価されることを望んでいる可能性があります。社員がいかに重要な存在だったかを伝え、心を動かすことを狙いましょう。できるだけ具体的なエピソードを交えながら、今までの仕事ぶりを改めて評価し、会社側の感謝を伝えましょう。急がず、間も使いながら、面談ができれば最高です。評価を再度共有したら、ついに交渉へ退職を引き止める交渉に移ります。引き出した「真の退職理由」に対して、会社側が出せる改善案や折衷案を呈示します。厚生労働省の調査では、辞職理由には次のような本音が隠れています。給料など収入が少なかった労働時間、休日などの労働条件が悪かった職場の人間関係が好ましくなかった例えば、給料が少ないという退職理由の場合には、場合によって昇進による給料アップなどを提示してみましょう。労働条件が合わないという理由には、テレワークなどの新しい働き方の提案を含めた労働条件の提案をするのが効果的でしょう。また、人間関係に問題があった場合には、配置転換の提案が引き止めに効くことがあります。こうした改善策を呈示することで、社員が退職を思いとどまってくれる可能性があります。参考:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/index.html退職希望者を引き止める際の注意事項こうして面談をすすめる間に、注意しなくてはいけないポイントがあります。それは、むやみやたらに退職者についての情報を触れまわらないことです。辞職したい社員についての情報は関係者内でとどめる退職希望者と面談をしていることが第三者に伝わると、せっかく交渉をして社員が「辞職を取りやめたい」と感じても退職の申し入れの撤回が難しくなってしまう場合があります。このため、周囲に退職の意向がむやみに伝わらないように配慮する必要があります。退職希望者に落ち着いて今後を考えてもらえるようにするためにも、情報の漏洩には注意が必要です。具体的には、退職希望者との面談のための声掛けはできるだけ周りに人がいないときにするなど配慮するとよいでしょう。次の退職者が出ないように組織を改善する仮に辞職希望者の引き止めが叶わなかった場合も、今後退職者が相次いでしまわないように、できるだけ職場を改善していくことが重要です。職場の改善には、客観的に社員のストレスの程度や上司や家庭含む周囲のサポートがどの程度生きているかを測定することができる「ストレスチェック」や、有事の際の外部相談窓口である「外部EAPサービス」の活用が効果的です。職場の風土を良くするには、心理的安全性を高める必要があり、また、心理的安全性を高めることで、会社全体としての業績アップや離職率低下および社員の定着が狙えます。事業を開始して30年以上、年間1,400社、約35万人の導入実績を誇るエムスリーヘルスデザインのサービスでは、ストレスチェックとEAPサービスを連動して導入できます。また、ストレスチェックをただ法令順守のために行うだけでなく、集団分析やアフターフォローまで行うことができれば、社員が退職しにくい職場づくりの一助となるでしょう。ストレスチェックサービス「職場のストレスチェック+plus」資料をダウンロードするエムスリーヘルスデザインの「EAPサービス」資料をダウンロードする集団分析まで行える「職場のストレスチェック+plus」で社員が働きやすい土壌を育む職場のストレスチェック+plusでは、メンタルヘルス不調による休職や離職のリスク低減をサポートし、さらには従業員が就労継続をしたいと望むような組織の土壌づくりをサポートします。なお、ストレスチェックは今まで50人未満の事業所では努力義務でしたが、厚生労働省の検討会において、50人未満の事業場についてもストレスチェック実施を義務付ける方針が示されました。今後、段階的な法改正が行われる可能性があるため、早期の準備が推奨されます。ストレスチェック事業を開始して30年以上、年間1,400社、約35万人の導入実績を誇るエムスリーヘルスデザインは、ストレスチェックの委託サービスを提供しております。職場のストレスチェック+plusでは、単に検査を行うだけではありません。その結果を活かしてメンタルヘルス不調による休職リスクの早期発見と、迅速な対応を支援するために、公認心理師や臨床心理士などの専門家による実践的なアフターフォローを提供しています。結果を活かし、組織課題の把握や環境改善を通じて、働きやすい職場環境の構築を支援します。主な支援内容は次の3つです。アナリストレポート経験豊富な心理職スタッフが、ストレスチェックの集計結果を分析し、課題に応じた改善プランを提案します。また、安全衛生委員会などでのオンライン報告会にも対応しており、現場での共有・議論をスムーズに進めることができます。単なる数値報告ではなく、経験豊富な心理士による「アナリストレポート」を活用することで、「なぜこの部署で離職検討者が多いのか」という核心に迫る分析が可能になります。現場のマネージャーが明日から何をすべきかまで落とし込むことが、真の離職防止策となります。オンラインセミナー企業や官公庁での研修実績を持つ講師陣が、ヘルスリテラシー向上を目的とした教育プログラムを実施します。内容は職場の課題に合わせてカスタマイズが可能で、たとえば次のようなテーマが人気です。職場メンタルヘルスと管理職の役割ストレスマネジメントの基本と実践方法EAPサービス(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)心理・医療・産業分野の専門家チームが、従業員と組織の両面から健康を支える仕組みづくりを包括的にサポートします。相談体制の整備や教育、意識啓発まで、継続的に支援を行います。ストレスチェックは「実施すること」が目的ではありません。結果をどう活かすかこそが、従業員の健康を守り、働きやすい職場をつくるための鍵です。単なる受検で終わらせず、アナリストレポートまで取得することで、「組織のどこに弱点があるのか」を共有できる可能性があります。「職場のストレスチェック+plus」なら、検査から職場改善、教育までを一括で支援。法改正への対応準備や、従業員のメンタルヘルス対策にお悩みの方は、累計導入実績豊富なエムスリーヘルスデザインへご相談ください。まずは、自社の離職リスクがどこにあるのかを可視化してみませんか?法改正への対応と定着率向上を同時に実現する具体的なプランを、無料でご提案します。ストレスチェックサービス「職場のストレスチェック+plus」資料をダウンロードする参考:厚生労働省「第21回 労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に関する検討会 資料」https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000106347_00010.html職場改善にはエムスリーヘルスデザインのEAPエムスリーヘルスデザインのEAPは、単なる従業員向けの相談窓口にとどまりません。組織分析に基づき、人事・管理職に対して具体的な「職場改善の提言」を行うパートナーとして機能します。心理的安全性という抽象的な課題を、実効性のある施策へと昇華させます。まず、人事・管理職の方々には、専任の心理士が企業や組織の環境改善について具体的な提言を行います。さらに、メンタル面に課題を感じながら働く従業員に対し、専門家とのカウンセリングを通じて心の健康維持や早期の適切な対応をサポートします。また、ストレスチェック後の集団分析結果や現場の課題を踏まえた研修プログラムも提供。ラインケアに特化した内容はもちろん、セルフケアまで幅広くカバーします。企業・官公庁での豊富な研修実績を持つスタッフが、最適な内容で健康経営を力強く支援します。また、ストレスチェック委託と併用もできます。エムスリーヘルスデザインのEAPサービスでは、メンタル不調の予防と早期対応に特に力を入れています。提供サービスの概要専門家による相談対応:公認心理師など資格を持つカウンセラーが、従業員の相談に応じ、安心できる支援を行います。人事・産業医との協働:個人対応にとどまらず、職場環境の改善へとつなげる仕組みを構築。ストレスチェックとの連動:制度導入後の高ストレス者面談や職場改善まで一貫してサポートします。充実したサポート体制メンタルヘルス以外の問題も回数無制限で相談可能専門家(国際EAPコンサルタント・臨床心理士・公認心理師など)が直接対応必要に応じて適切な専門機関へ紹介大阪・京都エリアでは訪問対応も可能職場復帰支援も万全事業場内のご担当者やご家族、主治医と連携し、円滑な職場復帰をサポートします。本人へのカウンセリング復職に向けた受け入れ態勢整備への助言・提案本人・上司・人事などを交えた復職前面談従業員の健康を守ることは、組織の成長を支える最も確かな投資です。エムスリーヘルスデザインのEAPとともに、健康経営への第一歩を踏み出してみませんか。エムスリーヘルスデザインの「EAPサービス」資料をダウンロードする