連鎖退職とは
「ひとりの従業員の辞職で業務量が増え、他にも辞めたいという声がちらほら出てきている」
「エース級の従業員が辞めてしまってから、職場で辞職者が続きそうだ」
このような状況に遭遇してしまったことはありませんか。
連鎖退職は、一人の退職から、まるでドミノが倒れるように次々と退職が起こることで、「ドミノ退職」とも呼ばれます。
連鎖退職が職場に及ぼす影響は想像の通り計り知れないもので、極力防止すべき状態といえます。
この記事では、どのようにすれば連鎖退職を防止することができるのかを解説します。
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退職が連鎖するメカニズム
なぜ退職は、ドミノ倒しのように次々と起こってしまうのでしょうか。
まず、同僚や関わりの深い従業員が退職すると、「辞めてもいいのかもしれない」という心理的なハードルが下がります。これまで迷っていた人にとって、身近な人の退職は大きな後押しになるのです。
また、誰かが退職すると、それまで水面下にあった職場への不満が表に出やすくなります。退職者が本音を語ることで、「自分だけではなく、みんな同じことを感じていたのだ」と気づき、不満が共有されることもあります。
業務面の影響も見逃せません。退職者が出ると、その人の仕事は残った従業員に振り分けられるため、業務負担が増え、ワークライフバランスが崩れてしまうことがあります。
さらに、優秀な人材が辞めた場合、「この会社に将来性はあるのだろうか」と不安を感じる従業員も出てきます。その不安が、次の退職を生む要因になることも少なくありません。
こうした心理的・組織的な要因が重なることで、退職は連鎖的に広がっていくのです。
連鎖退職が起こる組織の5つの特徴
連鎖退職は、単に「人が辞めたから続く」というより、組織の構造や文化に問題があると起きやすいことが多いです。
研究やHRの実務でよく指摘される、連鎖退職が起こりやすい組織の5つの特徴をご紹介します。
心理的安全性が低い
心理的安全性は、最も重要な要因の一つです。
心理的安全性が高い状態とは、「意見・疑問・ミスを安心して発言できる状態」を指します。
心理的安全性が低い組織では、問題が表面化しないことが特徴です。従業員が不満を言えず、ミスを隠し、さらに改善提案も出なくなります。その結果として、問題が改善されず不満が蓄積し、退職が相次ぐという流れが起きやすくなります。
研究でも、心理的安全性は離職意図を低下させる要因であることが示されています。
このように、心理的安全性が低い職場では、一人が辞めると一気に不満が顕在化して連鎖退職が起きやすいのです。
参考:Personnel Psychology「Psychological Safety: A Meta-Analytic Review And Extension」https://www.researchgate.net/publication/305488140_Psychological_Safety_A_Meta-Analytic_Review_And_Extension
評価・意思決定の基準が不透明
連鎖退職が起きる組織では、評価基準が曖昧で、昇進理由が不透明であったり、方針が頻繁に変わるという状態が多いです。
この場合、従業員は
「努力しても報われない」
「ここに将来性があるのか?」
と感じやすくなり、
優秀な人ほど先に辞める傾向があります。
そしてキーパーソンが退職すると残った従業員の不安が一気に高まり、退職が連鎖する可能性が生じます。
業務が特定の人に依存している
いわゆる属人化した組織です。
例えば、特定の人しかできない業務、情報共有やマニュアルの欠如といった属人化した組織では、1人が辞めることで業務が崩壊し、残業が増加する事態に陥ります。
すると、業務量に耐えられなくなった人が退職していき、短期間で退職が増えることがあります。
不満を共有する非公式ネットワークがある
例えば退職者が本音を語るLINEグループや同期コミュニティがある場合、「実はみんな不満だった」という認識が広がり、離職の心理的ハードルが一気に下がることがあります。
将来のキャリアが見えない
連鎖退職が起きやすい組織では
昇進の道が不明
スキルが身につかない
成長機会がない
という状態が多いです。
そのため「ここにいても将来がない」と感じて、最初の1人が辞め、そうすると一気に転職を考える人が増えます。
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連鎖退職の防止には特に「心理的安全性」が重要
心理的安全性を高めることは、離職連鎖の予防策として働くことが研究で示されています。
心理的安全性が高い組織では、不満が早期に共有され改善される一方で、心理的安全性が低い組織では、不満が蓄積し、突然退職として表出するという差があります。
さらに研究では心理的安全性が高い組織は人材の定着率が高いことも報告されています。
では心理的安全性のある職場環境を実現するためには、どのような対策が必要なのでしょうか。
参考:Human Resource Management Review「Psychological safety: A systematic review of the literature.」https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1053482217300013
連鎖退職を防止する会社の「心理的安全性」を高める取り組み
ここでは、制度設計を担う人事・組織レベルの取り組みと、日常的にチームを率いる直属の上司による取り組みの2つの観点から解説します。
まず重要なのは、心理的安全性は管理職の個人的な資質だけに任せて実現できるものではないという点です。人事部門が制度面で支え、組織として後押しする仕組みが整ってこそ、現場の取り組みは効果を発揮します。
人事・組織として行うべき施策
ミスの共有を「改善への貢献」として評価する
最初に整えるべきなのは、発言や報告をした人が不利益を受けない制度です。
心理的安全性は単なる雰囲気ではなく、評価制度や組織ルールと密接に関係しています。
多くの職場では、ミスを報告した人が責任を問われる構造になりがちです。しかしその状況では、従業員は問題を隠すようになります。
そのため、小さなミスや失敗の共有を組織改善のための情報提供として評価する仕組みに変えることが重要です。
例えば、ミス報告を「改善の材料」と捉え、報告が活発な部署を評価するなどの仕組みを導入すると、組織文化の転換につながります。
さらに、報告された内容を分析し、再発防止策を検討するプロセスまで整えることで、組織全体の学習につながります。
ハラスメントへの確実かつ迅速な対応
心理的安全性を損なう大きな要因の一つが、ハラスメントへの不十分な対応です。
相談しても何も変わらないという経験は、組織への信頼を大きく損ないます。
そのため、ハラスメントの相談があった場合には、明確な対応プロセスと迅速な初動対応を定めておく必要があります。
たとえば、相談受付後72時間以内に一次対応を行うなど、対応の期限をあらかじめ設定しておく方法が有効です。
対応が遅れると、被害の拡大だけでなく組織への不信感も生じやすくなります。
また、被害者と加害者が直接接触しないよう、組織として環境調整を行うことも重要です。
さらに、上司を経由しない相談窓口の設置も欠かせません。
社内だけで問題を抱え込まず、外部EAPなどの第三者相談ルートを確保することで、専門的な介入が可能になり、深刻化や離職の防止につながります。
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管理職研修の内容を見直す
3つ目の取り組みは、管理職教育の改善です。
部下の失敗に対して過度に厳しく叱責する文化があると、ミスの報告は減り、問題が深刻化してから表面化するようになります。
もちろん、個人の性格を変えることは容易ではありません。しかし、失敗を責めすぎない対応や、事実確認と再発防止を重視する姿勢などの基本的なマネジメント行動を教育することは可能です。
こうした研修は、チーム内の心理的安全性を高める上で大きな役割を果たします。
会議の進め方を見直す
会議の運営方法も、心理的安全性に大きく影響します。
例えば次のようなルールを設けると、発言の偏りを減らすことができます。
発言は役職の低いメンバーから順番に行う
上司は最後に意見を述べる
これにより、権威による発言抑制が起こりにくくなります。
また、「デビルズアドボケイト(反対意見役)」を公式の役割として設けるのも有効です。
反対意見を述べることが役割として認められることで、意見交換が活発になります。
職場アンケートの評価指標を見直す
職場アンケートを実施する際は、単なる満足度調査にとどまらず、発言のしやすさを測る項目を含めることが重要です。
例えば次のような質問です。
この職場では誤りを指摘しやすいと感じますか
上司に対して異なる意見を述べることはできますか
困ったときに周囲へ助けを求められますか
これらの項目は、心理的安全性を把握するための有効な指標になります。
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直属の上司が実践できる取り組み
チーム内の心理的安全性に最も大きな影響を与えるのは、日々のコミュニケーションを担う直属の上司です。
以下に具体的な方法を紹介します。
チームの前提ルールを共有する
新しいメンバーがチームに加わる際には、あらかじめ次のような考え方を共有しておくと効果的です。
最初は分からないことがあって当然
分からないときは遠慮せず質問してほしい
ミスを隠すことよりも、報告することが大切
人は「発言してもよい」という許可がなければ、なかなか声を上げません。
チームの一員として、組織改善のための意見を述べる権利があることを明確に伝えることが大切です。
ミス報告への対応パターンを決めておく
部下から失敗の報告を受けたときの最初の反応は非常に重要です。
いきなり原因追及を始めると、次から報告が上がらなくなる可能性があります。
例えば次のような言葉から始めると、報告しやすい環境を作ることができます。
「報告してくれてありがとう」
「まず状況を一緒に整理しよう」
最初に感謝と安心を示すことが、心理的安全性を高めるポイントです。
上司自身が弱さを見せる
部下は「安全だと感じる相手」にしか本音を言いません。
そのため、上司が完璧さを強調しすぎると、意見は出にくくなります。
例えば、
「この仕事、私も最初はよく失敗したよ」
「この仕組み、少し分かりづらいよね」
「判断に迷っているから意見を聞かせてほしい」
といった言葉は、上司の権威を少し下げ、意見交換を促す効果があります。
1on1を評価面談にしない
定期的な1on1面談は、本来は信頼関係を築く場です。
しかし業績評価の話ばかりになると、本音を話しにくくなってしまいます。
1on1では次のようなテーマを扱うことも有効です。
最近困っていること
業務上の不安
上司に改善してほしいこと
上司へのフィードバックを受け入れる姿勢が、心理的安全性を高めます。
会議で発言機会を意図的に配る
会議で「誰か意見はありますか」と聞くだけでは、発言は偏りがちです。
そこで、「この点についてどう思いますか?」などとメンバーに個別に問いかける方法が有効です。
このとき、評価する姿勢ではなく純粋に意見を知りたいという態度で聞くことが重要です。
こうした積み重ねが、チーム内の発言しやすさを高めていきます。
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連鎖退職を予防するために 職場改善にはエムスリーヘルスデザインのEAP
連鎖退職を予防し心理的安全性を高めるなど、職場の環境改善の一手としておすすめなのが、エムスリーヘルスデザインの外部EAPサービスです。
エムスリーヘルスデザインでは、ストレスチェック委託と併用できるEAPサービスを提供できます。エムスリーヘルスデザインのEAPサービスでは、メンタル不調の予防と早期対応に特に力を入れています。
まず、人事・管理職の方々には、専任の心理士が企業や組織の環境改善について具体的な提言を行います。さらに、メンタル面に課題を感じながら働く従業員に対し、専門家とのカウンセリングを通じて心の健康維持や早期の適切な対応をサポートします。
また、ストレスチェック後の集団分析結果や現場の課題を踏まえた研修プログラムも提供。ラインケアに特化した内容はもちろん、セルフケアまで幅広くカバーします。企業・官公庁での豊富な研修実績を持つスタッフが、最適な内容で健康経営を力強く支援します。
エムスリーヘルスデザインのEAPは、単なる従業員向けの相談窓口にとどまりません。組織分析に基づき、人事・管理職に対して具体的な「職場改善の提言」を行うパートナーとして機能します。心理的安全性という抽象的な課題を、実効性のある施策へと落とし込みます。
提供サービスの概要
専門家による相談対応:
公認心理師など資格を持つカウンセラーが、従業員の相談に応じ、安心できる支援を行います。
人事・産業医との協働:
個人対応にとどまらず、職場環境の改善へとつなげる仕組みを構築。
ストレスチェックとの連動:
制度導入後の高ストレス者面談や職場改善まで一貫してサポートします。
充実したサポート体制
メンタルヘルス以外の問題も回数無制限で相談可能
専門家(国際EAPコンサルタント・臨床心理士・公認心理師など)が直接対応
必要に応じて適切な専門機関へ紹介
大阪・京都エリアでは訪問対応も可能
職場復帰支援も万全
事業場内のご担当者やご家族、主治医と連携し、円滑な職場復帰をサポートします。
本人へのカウンセリング
復職に向けた受け入れ態勢整備への助言・提案
本人・上司・人事などを交えた復職前面談
従業員の健康を守ることは、組織の成長を支える最も確かな投資です。
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集団分析まで行える「職場のストレスチェック+plus」で従業員が離職しない土壌を育む
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また、厚生労働省の検討会において、50人未満の事業場についてもストレスチェック実施を義務化する方針が報告書に盛り込まれました。数年以内の法改正・施行が見込まれるため、早期の体制整備が推奨されます。
ストレスチェック事業を開始して30年以上、年間1,400社、約35万人の導入実績を誇るエムスリーヘルスデザインは、ストレスチェックの委託サービスを提供しております。職場のストレスチェック+plusでは、単に検査を行うだけではありません。その結果を活かしてメンタルヘルス不調による休職をできるだけ防ぐために、臨床心理士などの専門家による実践的なアフターフォローを提供しています。結果を活かし、組織課題の把握や環境改善を通じて、働きやすい職場環境の構築を支援します。
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