なぜ今、「人材定着」が急務なのか
かつて人事課題の中心は「採用」でした。かし現在は、多くの企業で優先順位が逆転しています。
問題は「採れるか」ではなく、「残るか」に移っています。
背景には、単一の要因ではなく、複数の経営環境の変化があります。
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関連記事:リテンションマネジメントとは?人材の定着を促す4ステップを解説
①採用の難しさ
現在の労働市場は、いわゆる「売り手市場」です。少子高齢化により労働人口は減少し、企業は人材の取り合い状態にあります。
その結果、
求人を出しても応募が来ない
採用単価が上昇する
内定辞退が増える
採用しても短期離職が起きる
という現象が同時に発生します。つまり、「欠員が出たら補充する」という従来の前提が成り立たなくなったということです。
②離職1人のコストの大きさ
人が辞めると「採用費がかかる」というイメージを持たれがちですが、実際の損失はそれだけではありません。離職によって発生するコストは、大きく3つに分かれます。
直接コスト:求人広告費、人材紹介手数料、採用担当の工数、研修費用
間接コスト:業務の停滞・残業増加、既存従業員の疲弊、顧客対応の質の低下、事故・ミスの増加
組織コスト:ノウハウの喪失、チームの心理的安全性の低下、連鎖退職の発生
特に気を付けるべきは、1人の離職がさらに離職を呼ぶ「ドミノ退職」です。
③管理職の負担増大が生む「第二の離職」
人材不足になると、最初に影響を受けるのは現場の管理職です。
欠員補填の業務対応
メンタル不調者の対応
若手育成の停滞
ハラスメントリスクへの配慮
1on1や評価面談の増加
などの業務が増え、「マネジメント」と「現場業務」と「ケア業務」を同時に担う状態になります。
この状態が続くと、管理職の疲弊、メンタル不調、管理職自身の退職が起きます。
採用よりも「定着」の方が費用対効果が高い
採用は不確実性の高い投資です。採っても、活躍するとは限らず、辞める可能性もあります。
一方、既存従業員は業務理解があり、人間関係が形成されている上に、教育コストが不要です。つまり企業にとってはすでに育成済みの資産です。
そのため現在の人事戦略は、「人を増やす」から「人を減らさない」へと転換しています。
現在、人材定着が急務となっている理由はシンプルです。
採用が難しく、辞めると損失が大きいこと。連鎖退職が起きること。管理職が先に崩れること。
だから企業は今、採用強化ではなく、離職予防に投資する段階に入っています。
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人材定着とは
では改めて、人材定着(retention、リテンション)とは、採用した従業員が組織で安心して長く働き続けられる状態を維持・向上を目指す組織的な取り組みを指します。
単なる離職防止(対症療法)に留まらず、従業員が「ここで働き続けたい」と感じる文化や制度を構築する本質的な改革といえます。
離職防止 | 人材定着 |
|---|---|
短期対応 | 中長期の経営戦略 |
面談・引き止め | 文化・制度改革 |
個人への働きかけ | 組織のありかたの見直し |
辞める人を止める | 辞めたくならない環境を作る |
このように、「辞めない人をつくること」ではなく、「辞めたいと思わせない組織をつくること」が人材定着なのです。
人材定着率の計算式
人材定着率(Employee Retention Rate)は、「一定期間のあいだに、どれだけの従業員が辞めずに残っているか」を示す指標です。
一定の期間が過ぎた時点に在籍している従業員数を、期間開始時の従業員数で割り、その数値に100を掛けて百分率にしたものが「定着率」です。
人材定着率(%)=ある一定の期間の最初の従業員数÷ある一定の期間の最初から在籍し続けている従業員数×100
人材定着率は「人が増えたか」ではなく「人が残ったか」を測る指標です。
ここで、人材定着は採用力ではなく、組織の維持力を測る指標であり、その時々の総人数で割ることはしません。
もし総人数で割ると、大量採用した会社や人員が増えている会社は定着率が良く見えるという錯覚が起きてしまうためです。このため、人材定着率は誰が残ったかを測る指標なので、スタート地点を固定します。
また、この式の分母には途中で採用した従業員や配属替えで来た従業員を含めません。含めてしまうと、「組織が人を維持できているか」が分からなくなります。
だから、最初の日にいたメンバーを基準に追跡するという考え方を取ります。
離職率の計算式
一方で、離職率の計算式も存在します。離職率とは、一定期間のあいだに、従業員がどれくらい退職したかを示す割合です。
離職率(%)=期首の従業員数÷期間中の退職者数×100
離職率は人材定着率の対極にある指標で、組織の安定性を測る基本データになります。この分母の退職者数は、自己都合・会社都合どちらも含めるのが一般的です。
同じ期間・同じ母数で計算した場合、
定着率=100-離職率
の関係となります。例えば、離職率が20%の場合、定着率は80%になります。
定着率・離職率から人材定着の戦略を練る
多くの企業では、人材定着の評価に「定着率」や「離職率」が用いられています。
しかし、定着率も離職率も、会社全体では比較的意味が薄く、部署別や上司別で見て初めて改善が可能です。
例えば、次のような区切り方をすると意味が見えてきます。
部署別
拠点別
上司別
入社1年未満の集団(早期離職率)
ただし、これらの指標には、ひとつ大きな欠点があります。それは、結果が出た後にしか分からない指標であるという点です。
退職が発生した時点で、定着率は下がります。つまり定着率は「予測指標」ではなく「結果指標」です。
管理職にとっては、問題が起きてから知らされる後追いの数字に過ぎません。
では、離職が起こる前に察知する方法はあるのでしょうか。
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定着率×高ストレス者率で「離職の予兆」を捉える
定着率は、ストレスチェックと組み合わせると、離職の予兆を捉えられる可能性があります。
ストレスチェックとは
まず、ストレスチェックとは、企業が設定したストレスに関する質問票に労働者が回答し、労働者のストレスの状態を把握するための検査です。これを定期的に実施することで、以下のような効果が期待できます。
労働者自身がストレスに気づき、メンタルヘルス不調の予防につながる
集団(部署・職場単位)での結果を分析することで、職場環境の改善につながる
このように、ストレスチェックは、メンタルヘルス不調の予防と職場環境の改善を目的とした重要な取り組みです。
また、ストレスチェック制度の導入は、労働者の心の健康を守り、職場の安全・安心な環境づくりを推進する国の重要な施策の一つです。ストレスチェックは単に個人の状態を把握するだけでなく、職場全体のストレス状況を把握して改善につなげることで、組織全体の生産性向上や労働環境の健全化に寄与することが期待されています。
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ストレスチェックと定着率の組み合わせ
さて、定着率が低いということは、すでに離職が発生している状態です。
一方、ストレスチェック検査で判明する「高ストレス者」の割合が高い状態とは、これから離職が起こる可能性が高まっている状態を意味します。
この2つの指標を組み合わせて見ることで、組織は「過去」と「未来」を同時に把握できます。
定着率 | 過去の結果を示す指標 |
|---|---|
高ストレス者率 | 未来のリスクを示す指標 |
つまりストレスチェックは、単なる従業員ケアや法令遵守のための制度ではありません。
離職やメンタルヘルス不調のリスクを早期に検知し、適切な対策を講じることで、休職・離職の抑制に寄与します。
起きた離職ではなく、これから起きる離職を管理しましょう。
なお、異なる時期に実施されるストレスチェック結果と、日々の勤怠データや定着率を突合させる作業は、手動では膨大な工数がかかります。これらを自動で一元管理し、リスクを可視化するのが健康管理システム「ハピネスパートナーズ」です。
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相談経路を「上司だけ」にしない仕組みが、離職を防ぐ
さらに、実際にストレス負荷が高い部署では、従業員が上司を介さず相談できる第三者窓口の存在が極めて有効です。
ストレスチェックの結果と、EAPなどの外部相談窓口を連動させることで、
従業員は問題が深刻化する前に専門家へ相談できる
管理職は抱え込みや対応遅れによるリスクから解放される
という双方のメリットが生まれます。
人材定着は、管理職個人のスキルに依存して達成できるものではありません。
重要なのは、組織として早期に気づき、早期に介入できる仕組みを持つことです。
離職は、突然起こる出来事ではありません。多くの場合、その前段階には必ず「ストレスの蓄積」というサインがあります。
だからこそ、定着率(過去)と高ストレス者率(未来)を同時に管理し、さらに第三者相談窓口を組み合わせることが、実効性の高い離職予防策の一つであり、ひいては強固な人材定着戦略に繋がります。
エムスリーヘルスデザインのEAPは、単なる従業員の「聞き役」ではありません。分析結果に基づき、人事や管理職へ「具体的な職場改善プラン」を提言。心理的安全性という抽象的な課題を、実効性のある施策へと落とし込みます。
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集団分析まで行える「職場のストレスチェック+plus」で従業員が離職しない土壌を育む
年1回のストレスチェックにおいて、高ストレス者への対応と、結果分析による職場のストレスの程度の把握を行うことで、大きなストレスがかかっている従業員や部署を把握し、職場環境の改善や早期のケアにつなげることで、メンタルヘルス不調による休職や離職を未然に防ぐ、組織の土壌づくりをサポートします。
また、厚生労働省の検討会において、50人未満の事業場についてもストレスチェック実施を義務付ける方針が示されました。今後、段階的な法改正が行われる可能性があるため、早期の準備が推奨されます。
ストレスチェック事業を開始して30年以上、年間1,400社、約35万人の導入実績を誇るエムスリーヘルスデザインは、ストレスチェックの委託サービスを提供しております。職場のストレスチェック+plusでは、単に検査を行うだけではありません。その結果を活かしてメンタルヘルス不調による休職をできるだけ防ぐために、臨床心理士などの専門家による実践的なアフターフォローを提供しています。結果を活かし、組織課題の把握や環境改善を通じて、働きやすい職場環境の構築を支援します。
主な支援内容は次の3つです。
アナリストレポート
経験豊富な心理職スタッフが、ストレスチェックの集計結果を分析し、課題に応じた改善プランを提案します。
また、安全衛生委員会などでのオンライン報告会にも対応しており、現場での共有・議論をスムーズに進めることができます。
オンラインセミナー
企業や官公庁での研修実績を持つ講師陣が、ヘルスリテラシー向上を目的とした教育プログラムを実施します。
内容は職場の課題に合わせてカスタマイズが可能で、たとえば次のようなテーマが人気です。
職場メンタルヘルスと管理職の役割
ストレスマネジメントの基本と実践方法
EAPサービス(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)
心理・医療・産業分野の専門家チームが、従業員と組織の両面から健康を支える仕組みづくりを包括的にサポートします。
相談体制の整備や教育、意識啓発まで、継続的に支援を行います。
ストレスチェックは「実施すること」が目的ではありません。
結果をどう活かすかこそが、従業員の健康を守り、働きやすい職場をつくるための鍵です。
「職場のストレスチェック+plus」なら、検査から職場改善、教育までを一括で支援。
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職場改善にはエムスリーヘルスデザインのEAP
ハラスメント対策の外部資源をはじめ、職場の環境改善の一手としておすすめなのが、エムスリーヘルスデザインの外部EAPサービスです。
エムスリーヘルスデザインでは、ストレスチェック委託と併用できるEAPサービスを提供できます。エムスリーヘルスデザインのEAPサービスでは、メンタル不調の予防と早期対応に特に力を入れています。
まず、人事・管理職の方々には、専任の心理士が企業や組織の環境改善について具体的な提言を行います。さらに、メンタル面に課題を感じながら働く従業員に対し、専門家とのカウンセリングを通じて心の健康維持や早期の適切な対応をサポートします。
また、ストレスチェック後の集団分析結果や現場の課題を踏まえた研修プログラムも提供。ラインケアに特化した内容はもちろん、セルフケアまで幅広くカバーします。企業・官公庁での豊富な研修実績を持つスタッフが、最適な内容で健康経営を力強く支援します。
エムスリーヘルスデザインのEAPは、単なる従業員向けの相談窓口にとどまりません。組織分析に基づき、人事・管理職に対して具体的な「職場改善の提言」を行うパートナーとして機能します。心理的安全性という抽象的な課題を、実効性のある施策へと落とし込みます。
提供サービスの概要
専門家による相談対応:
公認心理師など資格を持つカウンセラーが、従業員の相談に応じ、安心できる支援を行います。
人事・産業医との協働:
個人対応にとどまらず、職場環境の改善へとつなげる仕組みを構築。
ストレスチェックとの連動:
制度導入後の高ストレス者面談や職場改善まで一貫してサポートします。
充実したサポート体制
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