ストレスチェックにおける高ストレス者とは
ストレスチェックにおける高ストレス者とは、次のいずれかに該当する従業員を指します。
心身のストレス反応が強く現れている人
仕事の負担が大きく、かつ周囲からのサポートが少ない人
つまり、すでに強いストレス反応が見られる人、または今後ストレス反応が強く現れるおそれが高い状態にある人を意味します。
このような従業員が見出された場合には、産業医による面接指導(医師面談)が推奨されます。
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厚生労働省による高ストレス者の判定基準
なお、厚生労働省の基準では、職業性ストレス簡易調査票(57項目版)を用いた場合、次のいずれかの条件を満たす従業員が高ストレス者と判定されます。
「心身のストレス反応」(29項目)の合計点数が77点以上の者
「仕事のストレス要因」(17項目)と「周囲のサポート」(9項目)の合計点数が76点以上 かつ「心身のストレス反応」の合計点数が63点以上の者
また、高ストレス者を選定する際には、まず「心身のストレス反応」の得点が高い者を優先的に抽出することが推奨されています。
これは、心身の自覚症状が強く、早期の対応が必要となる可能性が高い労働者を確実に把握するためです。
関連記事:ストレスチェックと衛生委員会の関係|役割と進め方を解説
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参考:
厚生労働省「数値基準に基づいて「高ストレス者」を選定する方法(ストレスチェック制度実施マニュアル解説)」https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150803-1.pdf
厚生労働省「ストレスチェック制度導入ガイド」https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/160331-1.pdf
高ストレス者を放置するリスク
次に示す一節は、厚生労働省の「ストレスチェック制度実施マニュアル」からの引用です。
ストレスチェック制度は、メンタルヘルス不調を未然に防止することを目的としています。高ストレス者への対応を行わず放置すれば、心身の健康状態が悪化し、長期休業や退職につながるおそれがあります。
引用:厚生労働省「ストレスチェック制度実施マニュアル」https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/160331-1.pdf
このように、厚生労働省の「ストレスチェック制度実施マニュアル」や「労働安全衛生法の趣旨」によれば、高ストレス者を放置することは、本人・職場・企業全体に深刻なリスクをもたらすと明記・示唆されています。
では、高ストレス者を放置すると具体的にどのようなリスクやデメリットがあるのでしょうか。順にみていきましょう。
メンタルヘルス不調の発症・重症化
高ストレス者を放置すると、うつ病・不安障害・適応障害などの発症リスクが高まります。
特に、強いストレス反応を示す段階で介入しなければ、症状が固定化しやすく、回復までに長期間を要することが多いです。
精神的不調は、早期に気づき・対応することで予防可能です。放置により、休職や自殺に至るケースもあります。
労働災害・生産性低下
集中力低下や判断力の鈍化により、ヒューマンエラー・事故リスクが増大します。また、業務能率の低下、ミスの増加、チーム全体の士気低下を招く可能性があります。
長期休職・離職・職場復帰困難
高ストレス状態を放置すると、休職・離職率が上昇します。再発防止のための職場調整にもコストと時間がかかり、人的資源の損失になります。
安全配慮義務違反・法的リスク
労働安全衛生法第66条10に基づき、事業者はストレスチェック結果を踏まえた「必要な措置」を講じる義務があります。
高ストレス者を放置し、うつ病発症や自殺に至った場合、安全配慮義務違反(民法415条、709条)に問われる可能性があります。
ストレスチェック後に高ストレス者が判定された場合は、本人の希望に応じて医師の面接指導を実施し、必要な就業上の措置を行うことは事業者の責務です。
このように、高ストレス者を放置することは、企業にとっても従業員にとっても重大なリスクを伴います。
適切に介入し、対応することで、メンタル不調の悪化や離職の防止につながります。
関連記事:派遣社員のストレスチェック、義務は派遣元?派遣先?解説
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高ストレス者への対応の重要性と障壁
前述のように、高ストレス者を産業医面談を受けさせず、職場環境の改善も行わないまま放置することは、企業・従業員の双方にとって非常に大きな損失やリスクをもたらす可能性があります。
しかし、企業にはいくつかの制約があります。
まず、企業は従業員本人の同意なしにストレスチェックの結果を入手できません。
また、産業医面談を強制的に受けさせることもできないため、本人からの申し出がない限り、高ストレス者に該当する従業員を特定することすら難しいのが現状です。
さらに、高ストレス者に対して医師による面談や就業上の配慮を行うことは極めて重要ですが、案内をしても本人が面談を申し出ないケースが少なくありません。
実際、厚生労働省の調査によると、高ストレス者に選定された従業員のうち面接指導を申し出た人の割合が5%未満にとどまる企業は約8割にも上ります。
このように、制度上の制約や従業員の心理的ハードルによって、企業が高ストレス者に適切なフォローを行うことは容易ではありません。
関連記事:ストレスチェックにおける産業医の役割は?高ストレス者の面接指導まで解説
参考:厚生労働省「ストレスチェックの効果的な実施と活用にむけて」https://www.mhlw.go.jp/content/000917251.pdf
高ストレス者が安心して産業医面談を受けられるための工夫
企業が高ストレス者に対して適切な支援を行うためには、本人が安心して面談を受けられる環境づくりが欠かせません。以下のような取り組みが効果的です。
1. ストレスチェックの目的・趣旨を周知する
ストレスチェックの目的や趣旨を従業員にしっかりと伝えることで、高ストレス者が自ら面談の必要性に気づき、前向きに受けるきっかけを作ることができます。
また、面談は守秘義務のもとで行われることを周知することも重要です。
実施者である産業医から「産業保健活動の一環として実施する」旨を説明してもらうことで、従業員が安心して面談を申し出やすくなります。
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2. プライバシーへの十分な配慮
プライバシーへの不安から面談を避ける従業員も少なくありません。
そのため、ストレスチェック結果の取り扱いにおける情報管理体制を明確にし、従業員が安心できるように配慮することが大切です。
また、「職場で人の目が気になる」という心理的ハードルを下げるため、オンライン(Web面談)による実施環境を整えるのも有効な方法です。
3. 面談を申し出ない高ストレス者へのフォロー
産業医面談を申し出ない高ストレス者に対しても、間接的なケアの機会を提供することが重要です。
健康相談や社内外の相談窓口を設け、誰でも気軽に利用できる環境を整えましょう。
また、相談窓口の一覧を全従業員に周知したり、高ストレス者に対して繰り返しリマインドを行うことも効果的です。
さらに、高ストレス者に限定せず、全従業員にカウンセリング窓口を案内することで、早期のメンタル不調予防にもつながります。
これらの対策を継続的に行うことで、早期にケアが必要な高ストレス者に対しても、支援につながる仕組みを構築できます。
結果として、企業全体のメンタルヘルス体制の強化と、離職防止・生産性向上にも寄与します。
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参考:
厚生労働省「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて」https://www.mhlw.go.jp/content/000917251.pdf
厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳『ストレスチェック制度関係 Q&A』」https://www.mhlw.go.jp/content/000536414.pdf
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