ストレスチェックを行うための役割分担
近年、従業員のメンタルヘルス不調が企業経営に及ぼす影響が広く知られるようになり、企業と従業員の双方にとって深刻な損失を防ぐための取り組みが強化されています。
ストレスチェック制度は、こうした流れの中で設けられた従業員のメンタルヘルス不調を予防するための企業の義務です。もともとは従業員50人以上の事業場にのみ実施・報告が義務づけられていましたが、2028年度からは50人未満の事業場にも義務化される見込みです。
ストレスチェックを適切に実施するためには、次のような役割を明確にし、それぞれの責任者を任命する必要があります。
事業者
ストレスチェック制度担当者(実務担当者)
実施者
実施事務従事者
面接指導を行う医師
これらの役割を確認したうえで、ストレスチェックの実施時期・質問票の内容・高ストレス者への面接指導を依頼する医師などを決定し、実施準備を整えます。
また、ストレスチェックでは従業員の健康情報を扱うため、個人情報の保護と守秘義務の徹底が不可欠です。各担当者が専門的知識と高い倫理観を持ち、適切に連携することで、従業員が安心して制度を利用できる体制が整います。その結果、ストレスチェック制度の本来の目的である「職場のメンタルヘルス不調の予防と改善」を的確に果たすことができます。
次に、それぞれの役割について具体的に見ていきましょう。
関連記事:ストレスチェックの項目|57・80・120項目の最適な選び方とは?
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責任者:事業者
事業者は、企業や法人そのもの、または個人事業主を指します。事業者は、ストレスチェック制度の導入から運用、費用負担、結果の活用に至るまで、幅広い責任と役割を担います。また、ストレスチェックの結果に基づき高ストレス者と判定された従業員から面接指導の申し出があった場合には、医師による面接指導の実施およびその後の就業上の措置を講じる責任があります。
「メンタルヘルス不調を予防するためにストレスチェックを実施する」という基本方針を会社として明確に打ち出し、従業員に周知することも事業者の重要な役割です。
人事権について、事業者は人事権限を持つことも、人事実務に関与することも可能です。
計画と調整:ストレスチェック制度担当者(実務担当者)
ストレスチェック制度の担当者は、制度運営の実務面を担い、計画の立案や全体調整を行う重要な役割を持ちます。
衛生管理者やメンタルヘルス推進担当者、または定期健診を担当する部署の職員などが、このポジションを担当するのが望ましいとされています。
主な業務には、実施スケジュールや運用計画の策定、外部委託先・使用ツールの選定および契約調整、質問票の内容と評価方法の決定、そして労働者への実施案内や周知などが含まれます。
こうした対応を通じて、ストレスチェック制度が滞りなく進行するための基盤を整えることが求められます。
なお、担当者はストレスチェックの個人結果を直接取り扱うことはないため、人事権を持つ職員がこの役職に就くことも可能です。
専門的な知識をもつストレスチェックの柱:実施者
ストレスチェック実施者は、各事業場の産業医など、労働衛生に関する専門的知識を有する者が担います。制度全体の実施計画を策定し、評価や判定を行うなど、ストレスチェック制度の中核的な役割を果たします。
ストレスチェックの実施者になれるのは、以下のいずれかに該当する者です。
医師
保健師
公認心理師
厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師または精神保健福祉士、歯科医師
なお、労働者の健康管理業務に3年以上従事した経験のある看護師または精神保健福祉士は、上記の研修受講が免除されます。
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ストレスチェック実施前の主な業務
事業場における調査票の選定
調査票に基づくストレスの程度の評価方法の決定
高ストレス者の選定基準の決定に関する意見提起
ストレスチェック実施後の主な業務
結果の確認・評価
医師による面接指導の要否の確認と判定
高ストレス者への面接指導結果の確認および事後措置に関する意見の提出(意見書作成)
実施者または実施事務従事者への指示により行う業務
調査票(紙ベース)の回収・集計プログラムへの入力と集計
受検労働者への結果通知
未受検労働者への受検勧奨
ストレスチェック結果の記録作成・保管
面接指導対象者への申し出勧奨
集団分析の実施および事業者への結果提供(実施する場合)
面接指導対象者のうち申し出を行わない者への相談・支援機関の案内・紹介・利用促進
ストレスチェック実施者には、期間の定めがない守秘義務が課せられています。この守秘義務は、従業員の個人情報を保護し、制度への信頼を維持するために極めて重要です。もし守秘義務に違反した場合、労働安全衛生法第119条に基づき、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます(守秘義務自体は同法第104条に規定)。
人事権を持つ者は、ストレスチェック実施者になることはできません。これは、結果の公平性とプライバシー保護を確保するための重要な規定です。
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実務者の補佐役:実施事務従事者
ストレスチェックに関わるすべての実務を実施者だけで行うのは現実的ではありません。そのため、実施者の補佐としてストレスチェック実施事務従事者を配置します。
実施事務従事者は、実施者の指示のもとで事務的な作業を担う役割を持ち、ストレスチェックに関するさまざまな実務を担当します。
実施者からの指示に基づき、以下の業務を行います。
調査票の回収・内容確認・データ入力および集計:評価点数の算出など、結果を出力するまでの健康情報を扱う事務
評価基準に基づく結果の出力および高ストレス者の確認・選定
結果通知に関する事務(封入・発送など、結果出力後から通知までの業務)
ストレスチェック結果の労働者への通知事務
未受検労働者への受検勧奨
ストレスチェック結果の記録作成・保管
面接指導対象者への申し出勧奨
集団分析に関する作業(※個人が特定できない状態のデータのみを取り扱う):および分析結果の出力・事業者への提供(実施する場合)
ストレスチェック実施事務従事者もまた、人事権限を持つ者であってはなりません。ストレスチェック実施実務従事者にもまた、期間の定めがない守秘義務が課せられています。
このほか、面接指導を行う医師は高ストレス者の面談を担当しています。面接指導を行う医師は、高ストレス者と判断された職員の就業上の制限の要否を判断し、面接指導・結果記録(意見書)を作成します。この医師にも、期間の定めがない守秘義務が課せられています。
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職場のストレスチェック+plusで円滑なストレスチェックを
ストレスチェック制度を実際に導入する際には、役割分担の他、法令遵守や運用上の配慮など、検討すべき点が数多く存在します。特に初めて実施する企業では、「どの質問票を選ぶべきか」「結果をどう保管・活用するか」といった課題に直面することも少なくありません。
そこで有効なのが、外部委託や専用システムの活用です。なかでも、導入後のフォローアップまで一貫して支援できる「職場のストレスチェック+plus」は、多くの企業に選ばれています。
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