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健康診断

公開日:

2026/08/31

更新日:

2026/08/31

健康診断の企業義務とは?対象となる7種類と実施時期を一覧解説

上田莉子(産業医)

健康診断の企業義務とは?対象となる7種類と実施時期を一覧解説

企業に必要な健康診断に関する法令義務対応とは?

「健康診断は毎年実施しているから、今年も例年どおり進めれば問題ない」

その一方で、対象者の範囲や実施時期、受診していない従業員への対応などに、不安を感じていないでしょうか。

企業が従業員に健康診断を実施することは、福利厚生の一環ではなく、労働安全衛生法に基づく事業者の義務です。常時使用する労働者に対しては、原則として1年以内ごとに1回、医師による定期健康診断を実施しなければなりません。

健康診断の担当者には、医療機関の手配や従業員への案内だけでなく、対象者の確認、受診状況の管理、結果の保存、その後の対応まで、さまざまな実務が求められます。本記事では、企業に健康診断が義務付けられている理由と、担当者が押さえておきたい基本的な対応について、わかりやすく解説します。

企業に実施が義務付けられている健康診断

企業が実施すべき健康診断は、年に1回の「定期健康診断」だけではありません。従業員を雇い入れるときや、特定の業務に従事させる場合など、対象者や働き方に応じて複数の健康診断が定められています。

まずは、労働安全衛生法に基づく主な健康診断の種類を確認しましょう。

1.雇入時の健康診断

雇入時の健康診断は、常時使用する労働者を雇い入れる際に実施する健康診断です。

既往歴や業務歴の調査、自覚症状・他覚症状の有無、身長、体重、腹囲、視力、聴力、胸部エックス線、血圧、貧血、肝機能、血中脂質、血糖、尿、心電図などの検査を行います。

定期健康診断では、年齢など一定の条件に該当し、医師が必要でないと認めた場合に一部の検査項目を省略できることがあります。一方、雇入時の健康診断については、原則として法定項目を省略できない点に注意が必要です。

なお、入社前3か月以内に本人が健康診断を受けており、その結果を証明する書面を提出した場合は、該当する項目を省略できる場合があります。

2.定期健康診断

定期健康診断は、常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回、定期的に実施する健康診断です。一般的に企業の「年次健診」として実施されているものが、これに該当します。

正社員だけでなく、契約社員やパートタイマー、アルバイトなども、契約期間や所定労働時間などの条件によって対象となる可能性があります。「正社員以外は対象外」と一律に判断せず、雇用契約や勤務実態を確認することが重要です。

また、健康診断を予約して案内するだけでは、企業の対応が完了したとはいえません。未受診者の把握や受診勧奨、結果の回収・通知、その後の対応まで計画的に進める必要があります。

3.特定業務従事者の健康診断

深夜業を含む業務や、著しく暑熱・寒冷な場所での業務など、一定の特定業務に常時従事する労働者には、当該業務への配置換え時と、その後6か月以内ごとに1回、健康診断を実施する必要があります。

特に見落としやすいのが、深夜業に従事する従業員です。交代勤務のある工場だけでなく、夜間対応を行う店舗、コールセンター、警備、運輸、医療・介護など、幅広い業種で対象者が発生する可能性があります。

深夜業従事者などの判定には、最新の勤務実態を正確に把握できる体制を整えることが重要です。

4.海外派遣労働者の健康診断

労働者を6か月以上海外に派遣する場合、企業は原則として派遣前と帰国後に健康診断を実施する必要があります。

通常の定期健康診断に含まれる項目に加え、派遣地域や本人の健康状態などを踏まえ、医師が必要と認める検査を行います。

海外赴任では、渡航日程やビザの手続きが優先され、健康診断の手配が後回しになりがちです。海外派遣の健康診断は派遣前に実施する必要があるため、赴任日程に合わせて計画的に受診機会を確保する必要があります。

5.給食従業員の検便

事業に附属する食堂や炊事場で給食業務に従事する労働者については、雇入時や当該業務への配置換え時に、検便による健康診断を実施することが定められています。

社員食堂を自社で運営している企業などでは、調理業務に従事する従業員が対象となる可能性があります。給食業務を外部委託している場合は、委託先との役割分担や実施状況も確認しておくとよいでしょう。

6.歯科医師による健康診断

塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、フッ化水素など、歯やその支持組織に有害な物質のガス・蒸気・粉じんを発散する場所で働く労働者には、歯科医師による健康診断が必要です。

対象者に対しては、雇入時、対象業務への配置換え時、その後6か月以内ごとに1回、定期的に実施します。また、この歯科健康診断については、対象事業場の労働者数にかかわらず、結果報告が必要とされています。

7.有害業務に関する特殊健康診断

有機溶剤、鉛、特定化学物質、石綿、電離放射線など、一定の有害業務に従事する労働者には、それぞれの法令に基づく特殊健康診断が必要です。

対象となる物質や作業内容によって、検査項目、実施時期、保存期間、行政への報告方法が異なります。物質によっては、対象業務から離れた後も継続して健康診断を行ったり、健康診断個人票を長期間保存したりする必要があります。例えば、有機溶剤や鉛を取り扱う業務では、雇入れ時または配置換え時と、その後6か月以内ごとの実施が基本となります。

製造業や建設業、研究施設などでは、安全衛生担当者だけで判断せず、現場責任者や産業医、健診機関などと連携し、対象業務と対象者を正確に把握することが重要です。

健康診断は「実施したら終わり」ではない

健康診断の結果管理と保存の義務

企業には、健康診断を受ける機会を用意することに加え、結果に基づく対応も求められます。

一般健康診断の結果は5年間保存する必要がありますが、特殊健康診断の一部(石綿や電離放射線など)では30年や40年といった長期間の保存が義務付けられている項目がある点に注意が必要です。また、健康診断の結果は本人へ通知する必要があります。

異常の所見があると診断された従業員については、健康を保持するために必要な措置について、健康診断日から3か月以内に医師または歯科医師の意見を聴く必要があります。その意見を踏まえ、必要に応じて就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮などを検討します。

さらに、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、定期健康診断および特定業務従事者の健康診断(定期のもの)の結果を、所轄の労働基準監督署長へ報告する必要があります。

健診担当者が管理すべき実務の多岐

つまり、健康診断担当者が管理しなければならない業務は、次のように多岐にわたります。

  • 健診対象者の抽出
  • 健診機関の選定と予約
  • 従業員への案内
  • 日程変更への対応
  • 未予約者、未受診者への受診勧奨
  • 健診結果の回収と本人への通知
  • 健康診断個人票の作成、保存
  • 有所見者の抽出
  • 医師や産業医への意見聴取依頼
  • 就業上の措置や保健指導の進捗管理
  • 労働基準監督署への結果報告

従業員数や拠点数が増えるほど、表計算ソフトやメールだけで一連の業務を管理することは難しくなります。予約状況と受診状況が一致しない、紙の結果票が各拠点に分散する、過去の結果をすぐに確認できないといった問題も起こりやすくなるでしょう。

健診業務の負担を減らすには、代行サービスと健康管理システムの活用を

従業員の健康診断は、企業にとって欠かせない取り組みです。一方で、実際の運用には予約日程の調整、医療機関との連絡、対象者への案内、受診状況の確認など、多くの作業が発生します。多数の拠点や多くの従業員を抱える企業では、予約管理や受診確認などの工数が増大し、本来のコア業務に時間を割けなくなるという課題が多く聞かれます。

こうした問題を解決する手段として有効なのが、健診に関する実務を外部へ委託する健診代行サービスです。エムスリーヘルスデザインでは、企業ごとの課題や運用状況に応じ、必要な業務だけを組み合わせた支援を提供しています。

健診に伴う煩雑な作業をまとめて委託

健診代行サービスを活用すると、医療機関への予約手配をはじめ、従業員から寄せられる質問への対応、予約変更やキャンセルの処理、請求内容の確認などを任せられます。健診全体の業務手順を見直し、より効率的な運用フローを設計することも可能です。

請求情報が整理された状態で納品されるため、バラバラに届く請求書の処理や確認といった事務負担を大幅に軽減できます。人事労務担当者だけでなく、経理担当者の事務負担軽減にもつながる点は、大きな利点といえるでしょう。

企業ごとの事情に合わせた柔軟な運用

企業によって、勤務形態や拠点数、従業員の働く場所、現在利用している医療機関は異なります。そのため、画一的な仕組みでは現場に合わないケースも少なくありません。

エムスリーヘルスデザインの健診代行サービスでは、既存の業務手順を踏まえながら、企業に適した方法を個別に設計します。企業側であらかじめ予約枠を確保する方法や、従業員から希望日を集めて調整する方法など、現在の運用を大きく変えずに導入することもできます。

新たな地域や拠点で健診を行う場合には、これまで取引のなかった医療機関についても相談可能です。追加費用なしで新規医療機関の開拓に対応できるため、事業所の新設や従業員の居住地の分散にも対応しやすくなります。

受診票や問診票、検尿キットなどの送付方法についても、事業所への一括配送だけでなく、従業員の自宅への個別配送を選べます。テレワーク中心の企業や全国に従業員がいる組織でも、実態に合わせた運用が可能です。

対応範囲は定期健康診断に限りません。入社時に実施する雇用時健診、海外赴任の前後に必要となる健診、企業独自の検査コースなど、さまざまなニーズに対応できます。また、医療スタッフが職場を訪れる巡回健診を取り入れれば、従業員が医療機関まで移動する時間を減らせます。勤務時間への影響を抑えながら受診機会を確保できるため、企業と従業員の双方にメリットがあります。

健康管理システムとの連携でデータを経営資源へ

健診業務をさらに効率化するには、健康管理システム「ハピネスパートナーズ」との併用が効果的です。紙の書類や複数のExcelファイルに分散していた情報をクラウド上へ集約し、予約状況、受診の進捗、健診結果などを一元的に確認できます。

転記作業や確認作業が減ることで、入力ミスや受診勧奨の漏れを防ぎやすくなります。定型的な事務処理に費やしていた時間を削減できれば、人事担当者は職場環境の改善、健康施策の企画、組織課題の分析といった、より重要な業務に取り組めるようになります。

健康情報を扱ううえでは、安全性も重要です。ハピネスパートナーズは、情報セキュリティ管理に関するISO 27001および、クラウドサービスの情報セキュリティに特化したISO 27017を取得しています。 人事担当者、産業医、保健師など、利用者の役割に応じて閲覧範囲や操作権限を設定できるため、必要な情報のみを安全に共有できます。

面談や健康施策の質を高める

健診結果をクラウド上で確認できれば、産業医は面談前に対象者の過去の数値や注意点を把握できます。当日に初めて情報を確認する場合と比べ、面談時間を生活習慣の改善提案やメンタル面の支援に有効活用できます。

さらに、蓄積されたデータを部署別・年代別などで可視化することで、組織全体の健康傾向も把握しやすくなります。従業員個人には行動改善につながる情報を提供し、企業側は根拠に基づいて優先施策を決定できます。健診結果を保管するだけで終わらせず、生産性向上や健康経営の推進に役立つデータへ変えられるのです。

ストレスチェックやEAPサービスと組み合わせれば、身体面の健診情報と心理的なストレス状況を総合的に確認できます。不調の兆候を早い段階で捉えることで、休職や離職に発展するリスクを軽減するための対応を検討しやすくなります。

健診代行サービスとハピネスパートナーズを併用することで、予約から受診管理、結果の活用、産業保健スタッフとの連携までを一貫して効率化できます。管理部門の作業負担を減らしながら、従業員の健康維持と組織の持続的な成長を両立したい企業にとって、有力な選択肢となるでしょう。

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