進行の把握で巡回健診をよりスムーズに
従業員の健康診断を効率よく実施する方法として、「巡回健診」の導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。
巡回健診は、健診機関のスタッフや健診車が企業の事業所などを訪れ、その場で健康診断を実施する方法です。従業員がそれぞれ医療機関へ足を運ぶ必要がないため、業務への影響を抑えながら、多くの従業員の健診をまとめて実施できる点がメリットです。
一方で、初めて巡回健診を導入する担当者にとっては、「申し込みから実施まで、どのような準備が必要なのか」「当日はどのような流れで健診を行うのか」「会場や従業員への案内はどうすればよいのか」など、わからないことも多いでしょう。
巡回健診をスムーズに実施するためには、健診当日だけでなく、事前の健診機関との調整や対象者の確認、受診案内、実施後の結果管理まで、一連の流れを把握しておくことが重要です。
この記事では、巡回健診を検討している企業の人事・労務担当者に向けて、巡回健診の申し込みから事前準備、当日の実施、健診後の対応までを順番に解説します。
巡回健診の基本的な流れ

巡回健診は、大きく「健診機関の選定・申し込み」「実施内容の調整」「従業員への案内」「健診当日」「結果の確認・管理」という流れで進みます。
それぞれの段階で企業側に必要となる対応を見ていきましょう。
1.健診機関を選定し、申し込む
まずは、巡回健診に対応している健診機関を選び、実施を申し込みます。
健診機関を選ぶ際は、実施可能な地域や受診人数、健診項目、費用だけでなく、自社が希望する時期に対応できるかも確認しておきましょう。
特に、健康診断が集中する時期は希望日程が埋まりやすいため、余裕を持って相談することが重要です。
また、全国に複数の事業所がある企業の場合、拠点ごとに異なる健診機関との調整が必要になるケースもあります。どの拠点で何人が受診するのかをあらかじめ整理しておくと、その後の調整が進めやすくなります。
2.日程・会場・健診内容を調整する
健診機関が決まったら、実施日や会場、健診項目などを具体的に調整します。
巡回健診では、社内の会議室やホールなどを健診会場として使用するケースがあります。必要なスペースや部屋数、電源、動線などは健診内容によって異なるため、健診機関と事前に確認しておきましょう。
また、受診人数が多い場合は、一度に受診者が集中しないよう時間帯ごとに人数を割り振る必要があります。業務への影響を抑えるためにも、部署や勤務時間を考慮した受診スケジュールの作成が大切です。
3.対象者を確定し、従業員へ案内する
実施内容が決まったら、健診対象者を確定し、日時や場所、注意事項を従業員へ案内します。
健康診断の内容によっては、食事制限や採尿、問診票の記入など、事前準備が必要です。そのため、「いつ・どこで受診するのか」だけでなく、当日までに準備すべきこともわかりやすく伝える必要があります。
また、当日に受診できない従業員が発生することも想定しておかなければなりません。欠席者に対しては別日程や外部医療機関での受診を案内するなど、法定の健診実施義務を果たすための未受診者対応フローを定めておく必要があります。
4.巡回健診を実施する
健診当日は、会場設営後、受付から各検査へと順番に案内します。
一般的な定期健康診断での実施項目は、問診、身長・体重測定、血圧測定、視力・聴力検査、胸部X線検査、血液検査、尿検査、診察などです。
実際の項目や順番は健診機関や対象者によって異なります。
企業の担当者は、対象者が予定どおり受診しているかの確認に加え、欠席者や当日の変更対応なども行わなければなりません。
5.健診結果を確認・管理する
巡回健診は、実施して終わりではありません。
健診終了後は、健診機関から届いた結果を確認し、従業員ごとの受診状況や判定結果を管理します。また、異常の所見があると診断された従業員については、法律に基づき医師(産業医等)から就業上の措置に関する意見聴取を行う義務があります。あわせて、再検査や精密検査の受診勧奨を行い、適切なフォローアップを実施します。
複数の健診機関を利用している企業では、結果のフォーマットや受領方法が異なる場合があり、データをまとめるだけでも担当者の負担になりがちです。
さらに、巡回健診を受けられなかった従業員が外部の医療機関で受診する場合には、その結果も回収・管理しなければなりません。
巡回健診では「当日以外」の業務負担にも注意
巡回健診を導入すると、多くの従業員が社内でまとめて受診できるため、受診者側の利便性を高めやすくなります。
一方、人事・労務担当者の立場では、健診機関との日程調整、対象者リストの作成、従業員への案内、予約状況の確認、未受診者への連絡、結果の回収・登録など、変わらずさまざまな業務が発生します。
特に、従業員数や拠点数が増えるほど、Excelやメールを中心とした管理では情報が分散し、「誰が受診済みなのか」「誰の結果がまだ届いていないのか」を確認する作業も煩雑になります。
そのため、巡回健診を導入する際には、健診当日の進め方だけではなく、健診業務全体をどのように管理するかまで考えておくことが重要です。
健診代行サービスと健康管理システムで担当者の負担を軽減
巡回健診を含む健康診断業務の負担を軽減したい場合は、健診代行サービスを活用する方法があります。
健診機関との調整や予約管理、受診案内、受診状況の確認などを外部へ委託することで、人事・労務担当者が行う煩雑な作業を大幅に軽減できます。複数拠点や複数の健診機関を利用している企業では、窓口を一本化できることもメリットです。
さらに、健康管理システムを組み合わせれば、健診結果を従業員ごとに一元管理できます。受診状況や結果をシステム上で確認できるため、未受診者の把握や、再検査・精密検査が必要な従業員へのフォローにも活用できます。
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