健康診断の経費扱いになる? 福利厚生費にする条件と注意点 | エムスリーヘルスデザイン株式会社 読み込まれました

健康診断

公開日:

2026/08/03

更新日:

2026/08/03

健康診断の経費扱いになる? 福利厚生費にする条件と注意点

上田莉子(産業医)

健康診断の経費扱いになる? 福利厚生費にする条件と注意点

健康診断の費用は経費にできる?

「自分が受けた健康診断の費用は、事業の経費にできるのだろうか?」

個人事業主や会社経営者の中には、健康診断の領収書を前にして、どの勘定科目で処理すべきか迷っている方も多いでしょう。

健康管理は仕事を続けるうえで欠かせませんが、健康診断の費用がすべて経費として認められるわけではありません。本人が受診した場合と従業員に受診させた場合では、税務上の扱いも異なります。

この記事では、健康診断の費用を経費にできるケースとできないケース、仕訳に使う勘定科目、経費処理する際の注意点を、事業主向けにわかりやすく解説します。

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本人と従業員で異なる、健康診断費用の経費処理

健康診断の費用を経費にできるかどうかは、誰が受診したのか、どのような目的で実施したのかによって判断が異なります。

結論からいうと、従業員の健康管理を目的として会社や事業主が負担する健康診断費用は、一定の条件を満たせば経費にできます。一方、個人事業主本人が受けた健康診断の費用は、原則として必要経費にはできません。

法人の代表者が受診する場合も、役員や特定の人物だけを対象にしたものなのか、従業員を含む全社的な制度として行われたものなのかによって扱いが変わります。

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健康診断の費用を経費にできるケース

従業員を対象に健康診断を実施した場合

労働安全衛生法で義務付けられている一般健康診断等の費用は、法的に事業者が負担すべきものです。これらを公平な受診機会などの一定条件のもとで負担した場合、福利厚生費として処理できます。したがって、会社や個人事業主が従業員の健康診断費用を負担した場合は、通常、福利厚生のための支出として処理します。

たとえば、次のような費用が該当します。

  • 従業員の雇入れ時健康診断
  • 年1回の定期健康診断
  • 深夜業などに従事する従業員の健康診断
  • 法令に基づいて実施する特殊健康診断

健康診断を医療機関で一斉に実施するケースだけでなく、従業員が指定された医療機関で受診し、会社が費用を精算するケースもあります。ただし、経費として処理するためには、従業員の健康管理を目的とした制度であり、対象となる従業員が公平に受診できる状態にしておくことが重要です。

受診形式が多様になるほど、予約状況の把握や領収書の回収といった事務作業は複雑化し、担当者の大きな負担となります。こうした煩雑なプロセスを効率化するには、「ハピネスパートナーズ」のような健康管理システムの活用が有効です。従業員自身がサイト上で予約・問診回答を行えるほか、未受診者への催促も自動化できるため、管理漏れを防ぎながらスムーズな経費精算の基盤を整えることができます。

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従業員全体を対象に人間ドックを実施した場合

一般的な健康診断より検査項目が多い人間ドックも、一定の条件を満たせば経費にできる可能性があります。

国税庁は、一定年齢以上の希望者が全員受診でき、受診した人の費用を会社が負担する制度について、通常の健康管理を目的とするものであれば、従業員や役員の給与として課税する必要はないとしています。

人間ドックの費用を福利厚生費として処理するためには、主に次の点が判断材料になります。

  • 役員や一部の従業員だけを優遇していない
  • 一定年齢以上など、客観的な基準を設けている
  • 条件を満たす従業員が平等に利用できる
  • 検査内容や費用が社会通念上、一般的な範囲である
  • 従業員の健康管理を目的としている
  • 会社が医療機関へ直接支払うか、領収書に基づいて実費精算している

「勤続10年以上」「35歳以上」など、合理的な基準を定めること自体は考えられます。ただし、実質的に特定の役員だけが利用できる制度になっている場合は、福利厚生費として認められない可能性があります。

役員も従業員と同じ条件で受診した場合

法人の役員が受けた健康診断も、従業員を含む全社的な健康診断制度の対象となっている場合は、福利厚生費として処理できる可能性があります。

たとえば、代表取締役を含む全従業員が同じ基本健診を受け、会社が全員分の費用を負担しているケースです。

国税庁の事例でも、役員または使用人の健康管理に必要なもので、一定の条件を満たす人が平等に受診できる場合には、会社が負担した費用を給与として課税する必要はないとされています。

ただし、従業員には簡易的な健康診断しか用意していない一方で、役員だけが高額な人間ドックを受けている場合などは注意が必要です。

健康診断の費用を経費にできないケース

個人事業主本人が受診した場合

個人事業主本人の健康診断費用は、原則として必要経費にはできません。

「健康でなければ仕事を続けられないのだから、事業に必要な費用ではないか」と考える人もいるでしょう。しかし、個人事業主自身の健康管理は、一般的には事業上の支出ではなく、個人的な生活費に当たると考えられます。

国税庁は、個人の家事上の費用は必要経費にならず、家事と業務の両方に関係する費用についても、業務上直接必要な部分を明確に区分できる場合に限って、その部分を必要経費にできると説明しています。

健康診断は本人の身体全体の健康状態を確認するものであり、通常は事業に対応する部分だけを分けることができません。そのため、個人事業主本人の健康診断や人間ドックの費用は、家事上の支出として処理するのが一般的です。

事業用の口座やクレジットカードから支払った場合も、支払手段が事業用であるという理由だけで経費になるわけではありません。

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個人事業主の家族が受診した場合

個人事業主の配偶者や子どもなど、家族が受けた健康診断の費用も、原則として必要経費にはできません。

家族であっても、実態として従業員または青色事業専従者として事業に従事しているケースがあります。この場合、他の従業員と共通の基準で健康診断制度の対象となっていれば、費用を福利厚生費として必要経費に算入できる可能性があります。

一方、家族だけを対象としている場合や、従業員としてではなく単に家族の健康管理のために費用を負担したと認められる場合には、必要経費として認められない可能性があります。

家族だけを対象に費用を負担しているケースは、福利厚生費としての公平性や事業との関係を説明しにくいため、慎重な判断が必要です。

役員だけに高額な人間ドックを実施した場合

法人であっても、役員だけを対象にした高額な人間ドック費用が、必ず福利厚生費になるとは限りません。

国税庁は、役員や特定の地位にある人だけを対象に費用を負担する場合には、課税上の問題が生じる可能性があるとしています。

福利厚生制度ではなく、役員個人への経済的利益と判断された場合には、役員給与として扱われる可能性があります。役員給与に該当すると、法人税上、損金に算入できないことがあるほか、役員本人への所得税の課税も問題になります。

特に、次のようなケースは注意が必要です。

  • 社長だけが健康診断を受けている
  • 役員だけが高額な人間ドックを利用できる
  • 健診制度に関する社内規程がない
  • 費用の上限や対象者の基準が決まっていない
  • 健診費用として定額の現金を渡している
  • 健康診断とは直接関係のないサービスが含まれている

役員のみの会社や、役員とその家族だけで運営している会社では、福利厚生費として認められるかどうかの判断が難しくなるため、税理士への確認をおすすめします。

希望者に現金を一律支給した場合

健康診断を受けたかどうかにかかわらず、従業員へ「健康管理手当」などの名目で現金を支給する場合は、福利厚生費ではなく給与として扱われる可能性があります。

健康診断費用として経費処理するのであれば、医療機関から会社へ直接請求してもらうか、従業員が提出した領収書に基づいて実際に支払った金額を精算する方法が適切です。

精算時には、会社が負担する金額の上限、対象となる検査、受診期限などをあらかじめ定めておきましょう。

健康診断費用を経費処理する際の注意点

対象者を公平にする

原則として、企業には、週の所定労働時間が通常の労働者の4分の3以上である従業員には健康診断を受けさせる義務があります。そのうえで、それ以上の健康診断費用を福利厚生費として処理するには、特定の人だけを不自然に優遇しないことが重要です。

必ずしも全員が実際に受診しなければならないわけではありませんが、少なくとも同じ条件に該当する従業員には、平等に受診の機会を設ける必要があります。

「経営者が指名した人だけ」「特定の役職者だけ」という制度では、福利厚生費としての説明が難しくなります。

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社内規程を作成する

税務調査などで費用の内容を説明できるよう、健康診断に関する社内規程を作成しておくと安心です。

規程には、次のような事項を記載します。

  • 制度の目的
  • 対象となる従業員
  • 受診できる健康診断の内容
  • 会社が負担する金額の上限
  • 受診できる医療機関
  • 費用の支払方法
  • 領収書や診断結果の提出方法
  • 受診の頻度や期限

小規模な会社で正式な規程を作ることが難しい場合でも、対象者や費用の上限を明記した案内文、従業員への通知メールなどを保存しておきましょう。

一般的な金額の範囲に収める

福利厚生費として処理するには、健康診断の内容や金額が社会通念上、一般的な範囲であることも重要です。

通常の定期健康診断や、一般的な人間ドックであれば問題になりにくいと考えられます。しかし、極端に高額な検査や宿泊サービス、美容・リラクゼーションを主な目的とするサービスなどが含まれていると、健康管理のための費用として認められない可能性があります。

人間ドックに多数のオプション検査を追加する場合は、会社が負担する検査の範囲と、本人が負担する部分を明確に分けておくとよいでしょう。

領収書や請求書を保存する

健康診断費用を経費にする場合は、医療機関が発行した領収書や請求書を保存します。

実費負担の証明として、医療機関が発行した領収書や請求書を適切に保存してください。

複数人分をまとめて支払った場合は、受診者名と一人あたりの金額がわかる明細も保存します。

膨大な数の明細を不備なく整理し、経理処理と紐づけて保存するのは非常に根気のいる作業です。エムスリーヘルスデザインの健診代行サービスでは、受診結果だけでなく、こうした支払状況のデータ化にもシームレスに対応可能です。紙やExcelによる非効率な管理から脱却することで、税務調査などの際も、即座に適切なエビデンスを提示しやすい体制を構築できます。

従業員が費用を立て替えた場合は、領収書に加え、経費精算書や振込記録も保管しておくと、会社が実費を負担したことを説明しやすくなります。

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健診結果の取り扱いに配慮する

健康診断の結果には、従業員の病歴や身体状態など、取り扱いに注意すべき情報が含まれます。

経理担当者が費用を精算するために必要なのは、原則として受診の事実と支払金額です。経費精算のためだけに、詳細な検査結果を社内で広く共有することは避けましょう。

健診結果を取り扱う担当者や保管場所を限定し、社内の健康管理と経理処理を分けて管理することが大切です。

こうした多様な受診形態を導入する場合、医療機関ごとに異なる契約や精算の手続きが必要になり、担当者の事務負担は急増します。エムスリーヘルスデザインの健診代行サービスを利用すれば、個別の予約調整からバラバラに届く請求書の一括管理までプロが代行するため、運用コストを大幅に抑えながら、従業員の利便性向上をサポートします。

健康診断費用と治療費を分ける

健康診断で異常が見つかり、その後、従業員が治療を受けることもあります。

会社が負担する定期健康診断費用と、個人が受ける診察・治療の費用は性質が異なります。健康診断後の再検査や精密検査の費用負担については、労使間の協議や就業規則などで定めておく必要があります。

請求書に健康診断と治療の費用が混在している場合は、医療機関に明細を発行してもらい、それぞれを分けて処理しましょう。

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経費にできない健康診断は医療費控除の対象になる?

個人事業主本人の健康診断費用を必要経費にできない場合、「医療費控除を受けられるのではないか」と考える人もいるでしょう。

しかし、人間ドックや健康診断は病気の治療を目的とするものではないため、費用は原則として医療費控除の対象になりません。

ただし、健康診断によって重大な病気が見つかり、その診断に引き続いて治療を受けた場合は、健康診断が治療に先立つ診察とみなされ、その費用も医療費控除の対象に含まれる可能性があります。

つまり、健康診断の費用については、次のように整理できます。

受診した人・状況

経費処理

主な勘定科目

個人事業主本人

経費に算入できない

企業の資金から出した場合は事業主貸で勘定

個人事業所の従業員

条件を満たせば可能

福利厚生費

法人の従業員

条件を満たせば可能

福利厚生費

従業員と同じ制度を利用する役員

条件を満たせば可能

福利厚生費

役員だけの高額な人間ドック

給与認定などの可能性あり

役員報酬・役員賞与など

健診後に重大な病気が見つかり、続けて治療した本人

経費ではなく医療費控除の対象となる可能性あり

事業帳簿には原則計上しない

参考:

国税庁「No.1122医療費控除の対象となる医療費」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122_qa.htm

国税庁「法第72条《雑損控除》関係」https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/16/01.htm

健康診断の実施・管理にかかる負担を減らすには

従業員の健康診断は、費用を正しく経費処理するだけでなく、対象者の確認、受診案内、予約状況の把握、未受診者への連絡、結果の保管など、さまざまな業務が発生します。

特に中小企業では、人事・労務担当者がほかの業務を兼任していることも多く、健康診断の時期になると対応に追われてしまうケースも少なくありません。また、担当者の経験や知識に依存した運用では、受診漏れや書類の管理不足が起こりやすく、法令に沿った対応ができているか不安を感じることもあるでしょう。

こうした負担を軽減する方法の一つが、健診代行サービスや健康管理システムの活用です。

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企業が健康診断を円滑に実施するためには、受診先の選定や日程の確保だけでなく、対象者への案内、問い合わせ対応、必要書類の処理、費用の精算、健診データの回収・整理など、さまざまな作業が必要です。

対象となる従業員や拠点が増えるほど担当者の負荷も高まり、採用活動や人材育成、人事制度の改善、働きやすい職場づくりといった、本来優先したい業務に十分な時間を割けなくなることがあります。

エムスリーヘルスデザインの健診代行サービスは、こうした煩雑な健診関連業務をまとめて支援し、人事・総務部門の負担軽減につなげるサービスです。

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    予約方法も、現在の運用に合わせて調整できます。たとえば、企業側であらかじめ予約枠を確保する方法や、従業員から希望日を集めて調整する方法など、状況に応じた進め方が可能です。

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ほかにも、定期健康診断だけでなく、次のような健診にも対応できます。

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